数十年にわたるEU諸国の失業率推移動向 (-2012年7月)

2012/09/05 12:10

【若年層の失業率、スペイン52.9%・ギリシャ53.8%、共に悪化中…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2012年7月分)】にもある通り、EU諸国の就業状況は非常に悪い。2012年7月時点でEU27か国では10.4%、ユーロ圏17か国では11.3%の値を示しており、スペインでは25.1%に達している。この失業率の動向につき、毎月データを取得している【EU統計局(Eurostat)】では、数十年単位で過去の値を記録しているのが確認できた。そこで今回はEU全体と気になる数か国について、失業率の長期的変遷の確認を行うことにした。

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文中・グラフ中にあるEA17やEU27については一覧ページ【ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】上の解説部分を参考のこと。

EU統計局ではデータベース上に1983年以降の月次レベルでの、ILO基準による失業率が収録されている。もちろん個別の国毎の事情(統計局に未提出、未調査、国そのものがまだ無いなど)で、過去のデータや最新月のものが空欄のものもある。それらも考慮した上で、EU、EuroArea、そして比較対象としてアメリカ合衆国と日本の失業率をグラフ化したのが次の図。

↑ EUとアメリカの失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)
↑ EUとアメリカの失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)

【米リセッション2009年6月終了宣言・期間は戦後最大の長さと確認】の表と照らし合わせると分かるが、アメリカの失業率は同国のリセッション(経済不況)とほぼタイミングを合わせる形で上昇している。直近のリセッションにおける失業率上昇は、少なくともグラフ中にある限りでは1981年-1982年のリセッションに相当するものだったことも確認できる。

肝心のEUやEuroAreaだが、アメリカの不景気=失業率上昇にほぼ連動する形でグラフ上の値を上げている。元々失業率はアメリカよりもはるかに高めだったものの、直近ではアメリカに追いつかれ、ほぼ同じレベルに達している。

興味深いのは最近の動向で、アメリカ、そして日本がリーマンショック(2008年後期)以降少しずつ失業率の改善(低下)の動きが見られるのに対し、EUなどでは再び上昇を始めてしまっていることだ。これを分かりやすいように、2005年以降に限定したのが次のグラフ。

↑ EUとアメリカの失業率推移(月次、季節調整済み)(2005年-)
↑ EUとアメリカの失業率推移(月次、季節調整済み)(2005年-)

ターニングポイントは2010年末。2009年中盤以降、リーマンショックからの立ち直りを受け、上昇続きだった失業率が少しずつ横ばいから漸減の方向に動きを変えている。ところが2010年末あたりでアメリカや日本が減少を続けるのに対し、EUなどでは再び上昇に転じてしまっている。直近の2012年7月では、2ポイント近い違いを見せている。

構造上問題も少なくないが、少なくともアメリカが景気回復の方向に歩み始めているのに対し、EU圏では債務問題に足をとらわれてしまい(緊縮財政による経済の縮退が諸要因と考えられる)、状況の改善どころか悪化の方向を突き進んでしまっている現状が、失業率の動向を通して手に取るように見えてくる。

せっかくなのでEU諸国のうち、失業率周りで取り上げられることが多いスペインとギリシャ、そして優等生の立場にあるドイツ、さらにはEU加盟・Euro非加盟でやや他国とは距離を空けているイギリスの計4か国における失業率動向を確認しよう。

↑ EU諸国の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)
↑ EU諸国の失業率推移(月次、季節調整済み)(1983年-)

↑ EU諸国の失業率推移(月次、季節調整済み)(2005年-)
↑ EU諸国の失業率推移(月次、季節調整済み)(2005年-)

ギリシャは1998年3月以前のデータが無いので確認できないが、少なくともスペインは元々不況時には高い失業率を見せる傾向にあることが確認できる。またドイツは21世紀の初頭の好景気時期にはむしろ失業率が高めで、それ以降は値を漸次改善させていること(リーマンショック時の上昇も最低限のものに留めている)、イギリスも失業率は高めだが、それでも前世紀末の不景気時の状況(失業率10%超)と比べればいくぶんはマシな状態なのが分かる。

一方、スペインとギリシャについては、やはりリーマンショック後の対応でイギリスやドイツのようなスマートな結果を出すことが出来ず、急激に上昇しているようすがうかがえる。両国の失業率カーブの急上昇ぶりがいかに異様かは、1983年以降のグラフを見直してみれば理解できるはずだ。



今件のデータ取得にあたっては、合わせて25歳未満(いわゆる若年層)の動向も確認ができた。こちらについては機会があれば今件と同じようにグラフ化し、動向を確認していこう。


■関連記事:
【若年層の失業率、スペイン52.9%・ギリシャ53.8%、共に悪化中…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2012年7月分)】

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