「勝ち組」「負け組」はアメリカにも・米属性別年収増加率

2012/09/04 06:50

このエントリーをはてなブックマークに追加
勝ち組と負け組アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年8月22日、アメリカにおける「中流階級意識」に関する調査報告書【The Lost Decade of the Middle Class】を発表した。今回はその中から、「各属性別の年収増加率」を見ていくことにする。安易な表現だが、要は「勝ち組・負け組」(原文にもそのまま「Winners and Losers」とある)についてである。


スポンサードリンク


今調査のうちPew Research Centerが調べた部分については、同社が2012年7月16日から26日にかけて、RDD方式で選ばれたアメリカ合衆国内に住む18歳以上の男女2508人に対して、電話の音声にて英語・スペイン語を用いて行われたもの。調査結果には国勢調査を基にしたウェイトバックがかけられている。

人生において「勝ち」「負け」を推し量る基準は多種多様に及ぶが、一番よく使われるのは「お金」、つまり「年収」。今回のPew Research Centerの報告書でも、2001年から2011年における所得の変化について、多種多様な属性別に算出を行った上で、「年収増加率」の順に属性の並びを再構築した結果を提示している。それが次のグラフ。なおタイトルにもある通り、属性は多分に重複しているので注意を要する(例えば65歳以上の未亡人ならば「65歳以上」「未亡人」の双方に該当する)。

↑ 2001年から2011年における属性別年収の伸び率(属性重複あり)
↑ 2001年から2011年における属性別年収の伸び率(属性重複あり)

一番の「勝ち組」は65歳以上の高齢者。次いで未亡人、さらに既婚で子供がいない人が続く。すでに現役を引退し、あるいは夫に先立たれて遺産などを得ている婦人など、「労働」の現場からは離れている人が上位についているのが目立つ。また、押しなべて既婚者は比較的上位層にいるようだ。

一方で18-29歳・30-44歳・45-69歳など労働現役世代の年収が落ちているのが目に留まる。これは2007年以降の金融危機で、労働対価の減少、さらには解雇による年収の減退が大きく反映されていると考えられる。実際、以前別記事で記した通り、過去のリセッション時期同様、2007年以降も各年収階層で年収は大きく減退している。

↑ 年収五分位における年収推移(ドル)(インフレ率考慮済み)
↑ 年収五分位における年収推移(ドル)(インフレ率考慮済み)(再録)

年収が増加した、いわゆる「勝ち組」だけを再構築したのが次のグラフ。高齢層のひときわ大きな伸び、既婚者の優位性、労働市場現役者を特定する区分が無いことなどが見て取れる。

↑ 2001年から2011年における属性別年収の伸び率(属性重複あり)(「勝ち組」)
↑ 2001年から2011年における属性別年収の伸び率(属性重複あり)(「勝ち組」)

気になるのは学歴区分が一切含まれていないこと。絶対額で見れば高学歴=高年収であることは過去の多様な記事で判明しているが、不況の波は学歴を問わず襲っていることになる。もっとも学歴部分だけを抽出すると一番マイナス値が小さいのは「大学卒業」(マイナス1.5%)で、やはり学歴の差はそれなりに現れているようだ。


■関連記事:
【アメリカの中流意識】


スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS