家族との生活はそこそこ、でもお財布事情は…米中流意識者に見る、昨今の日常生活への満足度

2012/08/30 07:00

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お金と住宅アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年8月22日、アメリカにおける「中流階級意識」に関する調査報告書【The Lost Decade of the Middle Class】を発表した。今回はその中から、「中流意識」を持つ人における、昨今の日常生活についての満足度を見ていくことにする。


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今調査のうちPew Research Centerが調べた部分については、同社が2012年7月16日から26日にかけて、RDD方式で選ばれたアメリカ合衆国内に住む18歳以上の男女2508人に対して、電話の音声にて英語・スペイン語を用いて行われたもの。調査結果には国勢調査を基にしたウェイトバックがかけられている。

以前【アメリカの中流意識】でも伝えたように、全体では約半数の49%の人が「自分は中流階級にある」という意識を持っていた。「上流」は17%、「下流」は32%となる。

↑ 自分は上流・中流・下流のどの階層にいると思うか(米、2012年)
↑ 自分は上流・中流・下流のどの階層にいると思うか(米、2012年)(再録)

そこでその「中流意識」保有者に、日常生活を「家族との生活」「住宅環境」「教育環境」「家計財政環境」の4視点から、満足度を尋ねた結果が次のグラフ。「家族との生活」では78%の人が「満足」と答えている。

↑ 日常生活において次の点で満足しているか(米、2012年)(自分を「中流」と回答した人限定)
↑ 日常生活において次の点で満足しているか(米、2012年)(自分を「中流」と回答した人限定)

少なくとも「家族との生活」や「住宅環境」ではそれなりに満足した生活を過ごせているようだ。ところが「教育環境」「家計財政環境」、特に後者においては不満を持つ人が少なくない。中流意識保有者でも、お金周りは辛い場合が多いということ。

これを各属性別に見たのが次のグラフ。公開されているデータが欠けており、その部分は空白で記している。

↑ 日常生活において次の点で満足しているか(米、2012年)(「満足」回答者)(自分を「中流」と回答した人限定)
↑ 日常生活において次の点で満足しているか(米、2012年)(「満足」回答者)(自分を「中流」と回答した人限定)

性別では男女の差異はほとんどない。世代別では「家族との生活」「住宅」「家計財政」について若年層が低い状態にあるのが確認できる。歳の経過による蓄積が少ないとはいえ、若年層の不満が生じるのはどこの国も同じようだ。

また、未婚より既婚の方が、子供無しより有りの方が、「家族との生活」の点で満足度が高い一方、「住宅」の面で低い値を示しているのは興味深い。養う家族が増えてコミュニケーションの点では満足を得られているが、物理的な人数の増加で家への不満は増していくと考えられる。

「家への不満」といえば「賃貸」よりも「購入」住宅の方が「家族との生活」「家庭財政環境」双方の面で高い値が確認できる。特に後者は「余裕のあるお財布事情だからこそ、住宅を購入できた(ので満足できる)」と考えれば道理が通る。



最後の「賃貸」「購入」と「住宅環境」だが、「住宅環境」では現在所在地別のデータも収録されている。

↑ 日常生活において住宅環境の点で満足しているか(米、2012年)(「満足」回答者)(自分を「中流」と回答した人限定)
↑ 日常生活において住宅環境の点で満足しているか(米、2012年)(「満足」回答者)(自分を「中流」と回答した人限定)

生活の上では都市部の方が暮らしやすいはずではあるが、その分住宅環境の点では十分な広さを取得できず、結果として地方の方が高い値を示してしまう。そのままアメリカ以外で当てはまるとは限らないが、興味深い動きとして記憶しておいても損は無い。


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