生活意識は全体と比べややゆとり…高齢者の生活意識の変化をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/07/22 05:13

先に【生活意識の変化をグラフ化してみる(最新)】において、厚生労働省が毎年実施し結果を発表している【国民生活基礎調査】の結果をもとに「生活意識の状況」の変化について状況の精査を行った。今項目では他に「高齢者世帯」「児童のいる世帯」など、世帯条件を限定した設問もあり、こちらも経年データを取得確認できる。そこで今回は「高齢者世帯」にスポットライトをあてて、生活意識の変化を見ていくことにする。

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今調査の調査要件及び注意事項は、「国民生活基礎調査」に関する先行記事【平均世帯人員と世帯数推移をグラフ化してみる】で解説しているので、そちらを参考のこと。

今回対象とする「生活意識の状況」は毎年調査が行われており、複数年の調査結果の値を取得できる。これは生活意識について「大変苦しい」「やや苦しい」「普通」「ややゆとりがある」「たいへんゆとりがある」の5選択肢から1つを選んでもらい、その回答を集計したもの。そのうち高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)における各年の結果を抽出し、グラフ化したのが次の図。

なお2001年以降は概要報告書に具体的値が掲載されているが、それ以前は詳細データを収録しているe-Statから値を取得し算出している。またグラフについては全体構成比の変化の他に、個々の項目の動きを把握しやすいよう、構成比棒グラフ以外に折れ線グラフも併記する。

↑ 生活意識別世帯数の構成割合の年次推移(国民生活基礎調査、1996-2015年)(構成比棒グラフ)(高齢者世帯)
↑ 生活意識別世帯数の構成割合の年次推移(国民生活基礎調査、1996-2015年)(構成比棒グラフ)(高齢者世帯)

↑ 生活意識別世帯数の構成割合の年次推移(国民生活基礎調査、1996-2015年)(折れ線グラフ)(高齢者世帯)
↑ 生活意識別世帯数の構成割合の年次推移(国民生活基礎調査、1996-2015年)(折れ線グラフ)(高齢者世帯)

昔から現在に近づくに連れて「苦しい派」(赤系統)が増加するのは「全体値」での動向と同じだが、「普通」の減少が2005年前後でほぼ止まり、最近ではむしろ微増の動きすら見られたのが「全体値」との大きな違い。「全体」では「大変苦しい」「やや苦しい」「普通」の値が互いに近づきあう雰囲気すらあるが、高齢者世帯に限ればその動きは無い。時代の流れと共に生活への厳しさが積み増される点では変わりないが、「全体」と比べて非常にペースはゆるやかといえる。

2014年分は「苦しい派」が大きく上昇している。消費税率の引き上げは高齢者世帯の景況感には大きく左右したようだ。直近となる2015年分では生活の苦境感がいくぶん減退を見せているのは全体値と変わらないが、その動きはやや鈍い。高齢者はネガティブな印象を強く覚え続ける傾向があるとの話もあるが、それを思い起こさせる。あるいは収入に対する消費額比率が大きい(貯蓄率が実質マイナス)のため、消費税の心理的影響が大きいのかもしれない。

この状況を分かりやすくするため、全体・高齢者世帯共に「大変苦しい」「やや苦しい」を合わせた「苦しい派」の動きを見たのが次のグラフ。

↑ 生活意識別世帯数の構成割合の年次推移(国民生活基礎調査、1991-2015年)(「大変苦しい」+「やや苦しい」の推移、全体と高齢者世帯
↑ 生活意識別世帯数の構成割合の年次推移(国民生活基礎調査、1991-2015年)(「大変苦しい」+「やや苦しい」の推移、全体と高齢者世帯)

1998年前後と2005年前後にはほとんど差異が無い状態になったものの、それ以外の期間では概して5ポイント前後の違いが生じている。

ただし一つ前のグラフを見返し、「苦しい派」のみで動きを見ると、2005年で約半数に達した後は大きな動きは無いものの、内部では確実に「大変苦しい」が増加しているのが分かる。「苦しい派」の中でも「大変苦しい」が増加していること、それが「苦しい派」を底上げしているのが、最近の高齢者におけるトレンドといえる。



今件データは「世帯が調査日時点での暮らしの状況を総合的にみてどう感じているかの意識」を選択肢から選んでもらったもの。回答者一人一人の主観によるところが大きい。例えばエンゲル係数や可処分所得の推移のような具体的な数字の変化ではないため、その点を留意しておく必要がある。つまり心理的影響が多分にある。

また、2014年の時のように、調査直前に経済的な事象が生じると、イレギュラー的な影響が数字に反映されることがある。それこそ該当年は毎月同様の調査を行い、その平均値を年ベースの値とすれば、ぶれも小さくなるのだろうが、それは不条理でしかない。単年での動きもさることながら、数年単位での変動にこそ、注視をすべきだろう。

その上で、高齢者世帯においては全体平均と比べ、生活の切迫感の点ではやや余裕がある状態が続いている。この実情は把握しておいても損はあるまい。


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