米仏中露韓の順…各国原発の発電量動向をグラフ化してみる(最新)

2018/07/30 04:57

2018-0723国際石油資本BP社が各種調査集計の上、毎年発行・無料公開しているエネルギー関連の動向をまとめた白書「Statistical Review of World Energy」では、主要国の多彩な時系列的データが盛り込まれている。記事執筆時点では2018年6月13日付で発表された【Statistical Review of World Energy 2018】が最新のものである。今回はこのデータを用い、各国における原子力発電所(原発)の発電量動向を見ていくことにする。

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トップはアメリカ合衆国、ついでフランス


今資料では1965年から2017年に至る各国原発の発電・消費量推移を、エネルギーとしての石油換算で算出し、計上している。そこから最新値などを取得し、必要に応じて加工した上でグラフ化などを行う。

なお今件は基本として「自国内で発電=消費した電力」に限定している。例えば【原発世界地図とヨーロッパの電力融通の図】にある通り、フランスでは電力の販売を自国産業の一環と見なしており、自国内の多数の原発で大量の電力を生み出し、周辺各国に輸出しているが、この場合輸入先(好例としてイタリア)ではこの値は「原発由来の電力消費」としては勘案されない。あくまでも自国内で生み出された電力のみの話である。

まずは直近2017年における発電・消費量。アメリカ合衆国が群を抜いて多い。

↑ 原子力発電所発電による電力消費量(国内電力供給のみ、100万トン(石油換算))(2017年)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(国内電力供給のみ、100万トン(石油換算))(2017年)

↑ 原子力発電所発電による電力消費量(国内電力供給のみ、対世界総計シェア)(2017年)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(国内電力供給のみ、対世界総計シェア)(2017年)

続いて電力売り手としても名を知られているフランス、そして中国が続く。その次にロシア、韓国、カナダ、ウクライナ、ドイツが名を連ねている。普段よく耳にする国以外でも、小規模ながらも発電をしていることに「え、あの国も?」と驚く人も少なくあるまい。

そして日本だが、2011年の震災に絡んだ政治的要因もあり、発電量は大幅に縮小。2010年の66.2から2013年は3.3(×100万トン・石油換算)、そして2014年ではついにゼロとなった。直近2017年では再び値を計上し始めたが、わずか6.6(×100万トン・石油換算)でしかない。量的にはベルギーやインドより少なく、チェコやフィンランドなどより多い。

経年変化で主要国の動向を探る


次いでこの値を、過去の類似記事にならう形で1997年までさかのぼり、いくつかの注目すべき国について逐次確認をしたもの、さらにはそれぞれの前年比について算出したものをグラフ化する。主要国の原発政策・エネルギー政策もすけて見えてくる。なお日本は上記の通り2014年分はゼロを計上しているため、前年比で2015年の値が異常値を示している(ゼロでの除算となるためエラーが出てグラフ上ではゼロ扱いとなる)。また2016年も2015年の値がごくわずかだったことから、突出した値となっている。形状的に首を傾げる人もいるかもしれないが、特殊事情であるためご容赦願いたい。

↑ 原子力発電所発電による電力消費量(主要国、国内電力供給のみ、100万トン(石油換算))
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(主要国、国内電力供給のみ、100万トン(石油換算))

↑ 原子力発電所発電による電力消費量(主要国、国内電力供給のみ、前年比)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(主要国、国内電力供給のみ、前年比)

↑ 原子力発電所発電による電力消費量(主要国(日本除く)、国内電力供給のみ、前年比)
↑ 原子力発電所発電による電力消費量(主要国(日本除く)、国内電力供給のみ、前年比)

アメリカ合衆国は前世紀末までは急速な伸びを見せていたが、今世紀に入ってからほぼ横ばいに推移している。フランスも状況としては似たようなもので、増やそうという雰囲気が無ければ、減らす思惑も見受けられない。一方でロシア、中国は確実に増加傾向にある。特に中国は積極的に増設、新設を続けており、猛烈な勢いを示している。2016年にはロシアを追い抜き、アメリカ合衆国、フランスに続き世界第3位となった。

日本はといえば以前【日本の一次エネルギー供給推移をグラフ化してみる】でも示した通り、アメリカ合衆国・フランスよりも早い時期、前世紀末あたりから打ち止め、漸減傾向を示している。さらに2011年以降は大きな下げを継続し、グラフそのもののバランスを崩す形となっている。これは言うまでも無く震災とそれに続く「要請」などをはじめとする、政治・行政上の混乱の結果。2014年は上記にある通り、絶対量の上でもゼロとなってしまった。2015年は再稼働を果たし、ほんのわずかだが値を計上し、その後も増加を示しているが、2011年より前に比べればまだ微細な量でしか無い。

最初のグラフに挙げた国は全部で31の国や地域だが、白書には微量・不明な発電量のものは未記載、あるいは「その他の国」でまとめられている。また、存在はしているものの稼働していない国、これから建設を始める国もある。

主要国ではどの国においても、エネルギー政策の柱の一つとして挙げられている原子力発電。日本の動向はもちろんだが、漸増を続ける中国やロシア、そして電力そのものを輸出する施策を継続しているフランスや、シェールガス・オイルの開発でエネルギーに関する方針に変化が生じているアメリカ合衆国の挙動も気になるところ。2018年以降の動きも、逐次確認していくことにしよう。


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