プラス圏でポジティブな動きを示すもの無し・前年同月比でマイナス1.8%(2012年7月分大口電力動向)

2012/08/22 12:00

電気事業連合会は2012年8月20日、2012年7月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年7月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で685億kWhとなり、前年同月比でマイナス6.3%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス1.8%を記録し、わずかではあるが、2か月連続で前年同月の実績を下回ることになった(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめた一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そのページでチェックしてほしい。

2012年7月においては大口全体で前年同月比マイナス1.8%。「前年同月比」ではあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2012年06月-2012年07月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2012年06月-2012年07月)

今月は前年同月比プラスの項目は一つ「鉄鋼」だけとなり、そのプラス度合いも低迷。「繊維」「化学」「機械」は下げ幅を縮小しているが、「紙・パルプ」「窯業・土石」はむしろ拡大している。プラス圏でポジティブな動きを示すものが無く、マイナス圏でも半ばもみ合い状態なのが気になる。

1年前の記事と比較すると、昨年大きく下げた「紙・パルプ」がさらに今回も下げており、昨月のコメント同様に同部門の状況があまり思わしくないことが分かる。もっともこの動き「昨年は下げ、今年も下げている」状況は、「化学」「非鉄金属」「機械」でも起きており、中でも「化学」「非鉄金属」は下げ幅を拡大中(見方を変えれば下げ幅に加速がついている)。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また2012年2月までは多くの項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。

2012年3月以降は「震災による大きな減少」からの反動の色合いが強く、多数の項目で大きく跳ねている。しかしリバウンド的な跳ねも一時的なもので、4月以降は失速、今月7月では完全に低迷状態に陥ったことが分かる。ちなみに今回の2012年7月・全体値の「前々年」同月比はマイナス6.4%という計算になる((100%-4.7%)×(100%-1.8%))こともは、合わせ知っておいて損は無い(昨年は電力使用制限令の影響で電力消費量が小さくなったが、今年も同様の節電要請が出されており、節電状況は昨年・今年でほぼ変わらない)。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、(電力の安定供給を含めた)回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、節電対策による消費電力減退、景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そして今年も夏期は節電「要請」(だが企業にとっては実質的に電力使用制限令と同程度のプレッシャーがある)に伴い、「インフラに携わる者も含め」多くの企業や市民が難儀を強いられ、大きな負担を背負う羽目に陥っている。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。次回8月分は昨年が電力使用制限令により東日本、今年は節電要請により主に西日本が大規模な節電を半ば強いられており、これがどのような変異を全体的にもたらすのかが気になるところだ。

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