中国・米国・インド・ロシア・日本の順で米中逆転は2009年、コロナ禍でも増える中国…主要国の一次エネルギー消費量推移(最新)

2021/07/22 03:56

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2021-0714イギリスに本拠地を構える国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」には、主要国のエネルギーに関する多彩なデータが盛り込まれており、これを用いることで各方面から諸国のエネルギー動向を推し量ることができる。今回はそれを活用し、中期にわたる主要国におけるエネルギー消費動向を見ていくことにする。

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10年間で消費が増える国、減る国


記事執筆時点で最新の「Statistical Review of World Energy」は発表リリース【Statistical Review of World Energy 2021】から取得可能。内容は2021年版(収録データはもちろん2020年分が最新)。ここから各自データを取得し、グラフを作成、状況精査を行う。

今記事で用いられている「一次エネルギー」とは、自然界に存在する形を用い、エネルギー源として使用されているものを指す。化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)、ウラン、そして水力・火力などが該当する。他方「二次エネルギー」も存在するが、これには電気やガソリンに代表される、一次エネルギーに手を加えて得られるエネルギーが対象となる。今回は「一次エネルギー」を対象にしているため、要は「国内外を問わず、どのような自然の恵みをどれだけ用いているか」について精査することになる。

以前の別記事【世界主要国のエネルギー源】で記したように、最新の2020年分データでは、一次エネルギーをもっとも多く消費している国は中国、次いでアメリカ合衆国の順となっている。

なお単位のEJ(エクサジュール)はJ(ジュール)の10の18乗を意味する。とてつもないエネルギー量だが、例えば東日本大震災のマグニチュードは9.0で、その際に放出されたエネルギー総量は2.0EJとされている。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(EJ)(再録)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(EJ)(再録)

直近の2020年時点における上位国10か国について、過去10年分をさかのぼり、その動向を追ったのが次のグラフ。上位5位に限っては折れ線グラフも別途作成した。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(2020年時点の上位国、EJ)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(2020年時点の上位国、EJ)

↑ 主要国一次エネルギー消費量(2020年時点の上位5か国、EJ)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(2020年時点の上位5か国、EJ)

中国の工業化が急激に進んでいることは、他の各種資料でも明らかだが、それに伴い一般市民の生活水準も向上。それが元々人口の多い同国のエネルギー消費量増加に拍車をかける形となっている。つまり人口増加×一人あたりのエネルギー利用量増加で、累乗的に消費量は増えていく。産業面でも似たような状況なのは明白。

上記グラフにある通り、米中両国間でエネルギー消費量が逆転したのは2009年。アメリカ合衆国が景気後退や省エネ化の促進でエネルギー消費量を漸減している一方(技術や経済力、工業力の伸張が、必ずしもエネルギー消費量の増加には連動しない)、中国は漸増を続けているのだから、両国間でクロスが生じるのも当然の話。双方のエネルギー政策、消費動向に変化は無く、時間の経過とともに差異はさらに開く傾向にある(アメリカ合衆国は経済が復調してきたこともあり、ここ数年はほぼ横ばいとなっている)。

また、インドと日本においては、米中同様に日本の漸減・インドの増加により、こちらも2009年に逆転現象を起こしている。ただしインドでは、中国ほど大規模な増加率はまだ示していない。

直近の2020年では多くの国において前年比で消費量が減少している。これは新型コロナウイルスの流行による経済の低迷がもたらしたもの。見方を変えればそのような中でも前年比で増えた中国やイランは驚きに値する。

エネルギー消費量の変化を確認する


これら諸国のエネルギー消費量について、前年比計算をした上でグラフとして作成したのが次の図。多数国を一枚に収めるため、多少見難くなるが、あえて棒グラフにしている。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比、2020年時点の上位国)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比、2020年時点の上位国)

中国やインド、イランなどでは金融不況やリーマンショックの影響もほとんど受けず、ほぼ継続的にエネルギー消費量を増やしている。また2020年において新型コロナウイルスの流行が多くの国でエネルギー消費量を減らした実情がよく分かる。特にアメリカ合衆国、日本、ドイツで減り方が大きい。他方、中国やイランがそのような状況下でも(上げ幅は前年と比べて縮小しているが)前年比プラスを維持している実態がつかみ取れる。



エネルギー系の記事では繰り返し述べているが、そして本文でも言及しているが、「エネルギーの消費量」はあくまでも産業・経済の発展を示す一つの指標に過ぎず、絶対的なものではない。例えば他の条件が同じなら、人口が多い国の方が量も大きくなるのは当然の話である。また、エネルギーの消費効率(要は無駄遣いしているか否か)でも大きな変化が生じる。単に多ければよいわけではない。GDPなどと同じように扱うのは難がある。別途定点観測をしていた「大口電力」と似たようなもの。

今件「一次エネルギー消費量」はそれらを把握した上で、眺めることをお勧めしたい。


■関連記事:
【大口電力需要量】
【エネルギー消費量とGDPの関係(エネルギー白書)(最新)】
【世界の二酸化炭素排出量比率(最新)】
【最上位は米国22兆ドル、ついで中国の16兆ドル、日本はその次…IMFのデータベースから主要国のGDP動向を確認(最新)】

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