モリモリ増える中国やインド…主要国の一次エネルギー消費量推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/08/12 05:11

イギリスに本拠地を構える国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」には、主要国のエネルギーに関する多彩なデータが盛り込まれており、これを用いることで各方面から諸国のエネルギー動向を推し量ることができる。今回はそれを活用し、中期に渡る主要国におけるエネルギー消費動向を見ていくことにする。

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10年間で消費が増える国、減る国


記事執筆時点で最新の「Statistical Review of World Energy」は発表リリース【Statistical Review of World Energy 2016】から取得可能。内容は2016年版(収録データはもちろん2015年分が最新)。ここから各自データを取得し、グラフを生成、状況精査を行う。

今記事で用いられている「一次エネルギー」とは、自然界に存在する形を用い、エネルギー源として使用されているものを指す。化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)、ウラン、そして水力・火力などが該当する。他方「二次エネルギー」も存在するが、これには電気やガソリンに代表される、一次エネルギーに手を加えて得られるエネルギーが対象となる。今回は「一次エネルギー」を対象にしているため、要は「国内外を問わず、どのような自然の恵みをどれだけ用いているか」について精査することになる。

以前の別記事【世界主要国のエネルギー源をグラフ化してみる(最新)】で記したように、最新の2015年分データでは、一次エネルギーをもっとも多く消費している国は中国、次いでアメリカ合衆国の順となっている。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2011-2015年)(再録)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2011-2015年)(再録)

直近の2015年時点における上位国10か国に関して、過去10年分をさかのぼり、その動向を追ったのが次のグラフ。上位5位に限っては折れ線グラフも別途生成した。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2006-2015年)(2015年時点の上位国)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2006-2015年)(2015年時点の上位国)

↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2006-2015年)(2015年時点の上位国)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2006-2015年)(2015年時点の上位国)

中国の工業化が急激に進んでいることは、他の各種資料でも明らかだが、それに伴い一般市民の生活水準も向上。それが元々人口の多い同国のエネルギー消費量増加に拍車をかける形となっている。つまり人口増加×一人あたりのエネルギー利用量増加で、累乗的に消費量は増えていく。産業面でも似たような状況なのは明白。

上記グラフにある通り、米中両国間でエネルギー消費量が逆転したのは2009年。アメリカが景気後退や省エネ化の促進でエネルギー消費量を漸減している一方(技術や経済力、工業力の伸張が、必ずしもエネルギー消費量の増加には連動しないことは要注意)、中国は漸増を続けているのだから、両国間でクロスが生じるのも当然の話。双方のエネルギー政策、消費動向に変化はなく、時間の経過と共に差異はさらに開く傾向にある。

また、インドと日本においては、米中同様に日本の漸減・インドの増加により、こちらも2009年に逆転現象を起こしている。ただしインドでは、中国ほど大規模な増加率はまだ示していない。もっとも2015年の前年比はプラス7.0%。非常に大きな伸び率に違いない。

エネルギー消費量の変化を確認する


これら諸国のエネルギー消費量について、前年比計算をした上でグラフとして生成したのが次の図。多数国を一枚に収めるため、多少見難くなるが、あえて棒グラフにしている。

↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比)(2006-2015年)(2015年時点の上位国)
↑ 主要国一次エネルギー消費量(前年比)(2006-2015年)(2015年時点の上位国)

多くの国で2009年の値が大きなマイナス値を示している。これはリーマンショックの直接の影響を受けて、産業・消費が停滞、その分エネルギー消費量も減退したのが原因。その反動もあり、2010年はそれなりにプラスを示しているが、それ以降は息切れしている国も少なくない。

一方で、上記に挙げた中国やインド、さらにはブラジル、イランでは金融不況やリーマンショックの影響もほとんど受けず、ほぼ継続的にエネルギー消費量を増やしている。特に中国とインドはその上げ幅も大きく、絶え間ない伸びを示しているのが分かる。他方、オリンピック開催中のブラジルでは伸びが失速し、直近の2015年ではマイナス値を示している。他の経済指標にも似たような動きがあり、同国の経済が複数要因で失速したことが表れている。



エネルギー系の記事では繰り返し述べているが、そして本文でも言及しているが、「エネルギーの消費量」はあくまでも産業・経済の発展を示す一つの指標に過ぎず、絶対的なものでは無い。例えば他の条件が同じなら、人口が多い国の方が量も大きくなるのは当然の話である。また、エネルギーの消費効率(要は無駄遣いしているか否か)でも大きな変化か生じる。単に多ければ良いわけでは無い。GDPなどと同等に、一律に扱うのは難がある。別途定点観測をしていた「大口電力」と似たようなもの。

今件「一次エネルギー消費量」はそれらを把握した上で、眺めることをお勧めしたい。


■関連記事:
【大口電力需要量】
【エネルギー消費量とGDPの関係をグラフ化してみる(エネルギー白書)】
【世界の二酸化炭素排出量比率をグラフ化してみる】
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