世界中からお世話になってます…日本の石油・石炭・LNGの輸入元をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/08/14 05:14

国内産業を支え、多くの人の生活の糧となるエネルギー源。中でも取り扱いのしやすさや効率の良さから、昔より多用されていたのが石炭、石油、ガスのような化石燃料。ところが日本では【国産原油供給量をグラフ化してみる】などで説明されている通り、地質学上、国土面積の問題などから、化石燃料の埋蔵量にはあまり恵まれていない。必然的に足りない分は海外からの輸入に頼ることになるわけだが、今回はその輸入元について状況を確認していくことにする。

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今回参照するのは電気事業連合会の【原子力・エネルギー図面集】など。一次データとして「石油連盟統計資料」や「財務省貿易統計」が挙げられている。なお各グラフの数字(比率)は重量・体積比であり、価格比では無い。

まずは石油。いわゆる「ジャスミン革命」やその後の各国における政情不安を発端に中近東における政治的不安定感が積み増しされ、それに伴う原油価格の高騰化が続いていた。また昨今ではガザ地区の騒乱やIS問題など、新たな火種が生じており、不安定感はさらに高まるばかり。昨今ではアメリカ合衆国におけるシェールガス・オイルの採掘量増加や、中国の景況感の問題などを受けて需給バランスが崩れ、いくぶん値は落ち着いている。逆に一時期は値が下がり過ぎ、石油関連企業の業績に不安感が生じたほど。

一方で日本は石油(原油)に関して、その中東に大いに頼っているのが分かる。直近データでは輸入石油の82.7%を中東地域から得ていることになる。

↑ 日本の石油の地域別輸入比率(2014年度)
↑ 日本の石油の地域別輸入比率(2014年度)

赤系統で着色したのが中東地域。リスク回避の観点とオイルショックなどの影響から、1987年度には日本の石油における中東依存度は68%程度にまで減少している。しかしその後再び増加に転じてしまう。これは【産油国が「石油輸入国」になる日】でも解説しているように、いくつかの産油国が経済発展と共に自国内での石油消費量を増やし、石油輸入国に転じたことが要因。各資料でも繰り返し「石油の安定確保を図るためには、産油国への経済協力などによる国際協調の推進、そして輸入先をさらに分散化することが必要」との主旨の内容が強く語られている。

続いて石炭。日本においてもエネルギー源として、石炭は再び注目を集めるようになっている。

↑ 日本の石炭の地域別輸入比率(2014年度)
↑ 日本の石炭の地域別輸入比率(2014年度)

6割強をオーストラリア、2割近くをインドネシア、1割足らずをロシアから輸入している。なお中国は年々輸出量の減退・輸入量の増加傾向を見せている(国内生産量は増加している。つまり工業化で消費量も増え、かつての産油国が石油輸入国へ転じた歩みと同じパターンを踏襲しつつある)。

【世界各国の石炭埋蔵・採掘・輸出入量などをグラフ化してみる】を見ても、2012年は採掘量と消費量がほぼ同量で、輸出量より輸入量の方が多い。今後採掘量に余裕がある、オーストラリア、インドネシア、ロシアの比重はさらに高まるだろう。実際、昨年度2012年度分(現時点でのEIAの最新データ)と比較しても、中国からの輸入比率は1.4%から1.2%に減少している(手元にあるもっとも古い値、2008年度は7.9%だった)。

最後にLNG。Liquefied Natural Gas、つまり液化天然ガスの略で、天然ガスを運びやすく・貯蔵しやすくするため、凝縮して液化させたもの。

↑ 日本のLNGの地域別輸入比率(2014年度)
↑ 日本のLNGの地域別輸入比率(2014年度)

石炭や石油と比べ、バランスの取れた輸入国区分であることが分かる。これは天然ガスそのものが環境負荷の少ないエネルギーであること、産出地域的な偏在が少ないことが原因。日本は【天然ガス輸入量の動向をグラフ化してみる(最新)】にもある通り、世界では最大のLNG輸入国となっており、2014年度実績では8907万トンもの輸入量が確認されている。今後も石油や石炭と比して「地球にやさしい」「地域リスクの小さい」エネルギーとして注目を集めることには間違いない。



今件データからは石油・石炭・LNGに限っても、日本が多くの国に頼ってエネルギーを確保しているのかが把握できる。これらは実際に素材を運ぶ輸送手段の担当会社はもちろん、売り買いをまかなう商社や輸入元の開発業者、そして国レベルで多種多彩な交渉・駆け引きを行う人たちの、これまでの努力が蓄積されて得られた成果に他ならない。

別記事でも触れているが、電力やガソリンに「●×産」のような産地名が描かれているわけではない。それゆえに、自分達が普段何気なく利用しているエネルギーの取得元など、考えたこともない人が多い。しかしそれらはすべてこれまでの、そして今現在懸命に働いてきた・いる人たちの存在あってこそのものだと認識する必要がある。気まぐれや薄っぺらな虚栄心、独りよがりな主義主張で投げ捨ててはならない、日本全体の「蓄財」に他ならないのだから。


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