レディースコミック堅調なるも女性向けでトップ変動あり…少女・女性向けコミック誌部数動向(2012年4月-6月)

2012/08/14 06:50

先日まで【社団法人日本雑誌協会】が2012年8月6日に発表した、2012年4月から6月分の印刷部数データを元に、いくつかの定期発刊雑誌の動向をグラフ化し、分析した。今回は少女・女性向けコミック誌の雑誌について、グラフ化と状況の把握を試みることにする。なお記事執筆者(不破)は男性で女性誌には疎いことから、数字そのものは別としても、内容分析については的外れなことを述べている可能性もある。その点はあらかじめご了承願いたい。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少女向けコミック誌。少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」の立ち位置に「ちゃお」がついている。これは前回と変わりなし。

2012年1-3月期と最新データ(2012年4-6月期)による少女向けコミック誌の印刷実績
↑ 2012年1-3月期と最新データ(2012年4-6月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」のように100万部超の世界には届かないものの、他誌に比べて「ちゃお」が言葉通り「群を抜いている」様子が分かる。直近データでは59.7万部。販売実数はこれよりも少なくなるので、50万部強くらいと見てよい。第2位の「別冊マーガレット」の3倍近くに及んでいる。ただしこの59.7万部も、データが確認できる2008年4月-6月期以降における最盛期の値92万部から比べれば、30万部強ほど数を減らしている計算になる。

直近の動きとしては青棒より赤棒の方が短い、つまり前期から部数を落とした雑誌が多く見受けられる。単純な雑誌離れ以外に、前回記事以上に「年度末に向けて進学や就職などによる、定期購入雑誌の差し替えが行われた」ことも重なった結果といえる。

続いて女性向けコミック誌。こちらは横軸の区切りが小さめ(2万部単位)ということもあるが、少女向けコミック以上に大きな変動が確認できる。

22012年1-3月期と最新データ(2012年4-6月期)による女性向けコミック誌の印刷実績
↑ 2012年1-3月期と最新データ(2012年4-6月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

トップは前回第二位の「BE・LOVE」がトップに。元々「週刊ヤングレディ」の増刊漫画誌で、1980年の創刊。女性の大人向け(30-40代)のレディースコミック誌。トップの座を明け渡した「YOU」同様、レディースコミックの強さを再認識させる。

その「YOU」だがトップの座を譲り渡した原因は、大幅な部数減退が原因。テレビドラマも始まった『トッカン 特別国税徴収官』を表紙に据えるなど、人気を裏付けする要素は数多く確認できるのだが、印刷部数には結びつかなかったようだ。

「別フレ2012(2011)」は発売間隔が2か月おきで、本来なら毎四半期単位で印刷実績の公開があってしかるべきなのだが、この1年では四半期ごとに公開・非公開を繰り返している。今回は非公開の期のようでデータが開示されず、当然前期との比較は不可能となる(もっとも昨今では別フレ2012の発行スパンはやや不規則になっている感はある。現時点での最新号は7月21日発売の『9月・夏号』)。

さて「少女・女性向けコミック誌」としての記事は今回が7回目となり、一年前の同期データも参照が可能な状態にある。そこで他の分類同様に、印刷数変移を「前期」「前年同期」の双方の視点からグラフ化する。まずは最新期と前期の変移率。要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったのか、その割合を示すもの。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年4-6月期、前期比)

赤対象、つまり誤差の範ちゅうを超えた下げ幅を示す雑誌が、前期の1誌から今期は3誌に増えている。一方で上げている雑誌も1誌から2誌に増加。二極化が進んでいるということか。もっとも上昇雑誌2誌の上げ幅は双方とも誤差領域内なので、「概して軟調」と評する方が適切かもしれない。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)
↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2012年4-6月期、前期比)

以前の記事でも触れているが、「コーラス」からリニューアルを果たした「Cocohana」。リニューアル時の大規模な部数引きあげの反動を受けて、今期も前期同様にもっとも大きな下げ幅を示している。どうやらリニューアルに伴っての「背伸び」はやや無理があったようだ。

また下げ幅はさほど大きくないが、「Cookie」は【Cookieリニューアル、月刊誌から隔月刊誌へ】にある通り、今回該当期の直後の号から隔月刊誌化する。同誌も印刷部数の低迷は継続しており、発売間隔を延ばして作品を整理し、質のかさ上げを模索するのも、一つの手法といえる。

続いて「前年同期比」の値も算出する。いわゆる「季節属性」を考慮しなくても済む(例えば今回なら、2012年4-6月と、その1年前の2011年4-6月分の比較)ので、純粋な雑誌の販売数における、年ベースでの伸縮率が把握できる。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年4-6月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年4-6月期、前年同期比)

前回記事と比べれば、かなりマイナス値が抑えられているが、これはひとえに比較対象となる2011年4-6月分が、震災起因で値を抑えられていた雑誌が少なからずあったため。ただし「りぼん」は2011年4-6月では19.8万部、その次の期では20.6万部にまで回復し、その後も地道に数字を伸ばしている(上記の「前期比」でも「りぼん」はプラス圏にある)。これでもようやく2011年初頭の水準に戻ったほどだが、他誌の動向と比べれば大健闘といえる。

一方、前期から赤表記が続く、特に10%超減を記録している「別冊フレンド」は、そろそろ本格的にテコ入れが必定な状態にある。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2012年4-6月期、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2012年4-6月期、前年同期比)

前回から続き「CIEL」のプラスが目立つ。以前紹介したように、同誌はいわゆる「ボーイズラブ(BL)」系のコミック誌で、同ジャンルの人気の根深さと浸透拡散ぶりがうかがえる。直近印刷部数は3.7万部。取得しうる最古のデータである2008年4-6月期では2.3万部で、そこから少しずつ、確実に部数を伸ばしている。

他方、「FEEL YOUNG」や「Cocohana」など、牽引力のある作品で引き揚げられたり、リニューアルに伴い大きく値を伸ばした雑誌の大幅減退が目に留まる。基礎体力の増強を伴わないドーピングでは、効果が薄れた後に失速するのも仕方がない、というところか。



今期は「前年同期比では震災起因の減少による反動で大きなプラスが期待できる」環境下におけるデータだったが、結果としてはマイナス値が目立つ「いつもの」様相を呈していた。「CIEL」の「ボーイズラブ・ストーリー」に代表される、「オンリーワン」的特性を持つ雑誌の輝きぶりはまだかすんでいないものの、全般的に息切れ感は否めない。リニューアルや有力タイトルに伴う数字のかさ上げの反動の大きさが目立つ形となった。

もっとも、前回記事における前年同月比と比べると、やや数字は抑え気味なので、これでも「震災の反動」の影響は加味されているのだろう。見方を変えれば「震災による減少の反動という底上げを受けてなお、大きく減退している」という業界の実情を再認識させられる。

複数ラインで「大家」あるいは「大きな底上げをする」ビックタイトルがあれば、継続的な飛躍が期待できる。しかしそれは少年・男性向けコミックをはじめ他ジャンル同様、今では難しい。

「少子化だから仕方ない」という、反論が難しい説明がされることもあるが、この数年でここまで落ち込むのは、少子化だけでは説明がつかない。趣味趣向の多様化、メディアの上での選択肢の増加、可処分所得の変化など、複数の要因が考えられる。数少ない、堅調なセールスを見せる雑誌を元に、なぜその数字を維持できるのかを検証すれば、各誌とも困難な現状を打破できるヒントを見いだせるかもしれない。

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