デジタル系、屋外広告などの非4マス系の一部が堅調(電通・博報堂売上:2012年7月分)

2012/08/10 06:45

[博報堂DYホールディングス(2433)]は2012年8月9日、同社グループ主要3社の2012年7月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年8月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2012年7月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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グラフ生成のために用いたデータの取得元に関する解説、各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で記述している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2012年7月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2012年7月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災による直接的な広告費(額面)のへの影響は、数字の上ではほぼ終息。そして現在では震災以前からの広告業界・メディアの流れ「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っているが、テレビがやや戻しの動きを見せる」「デジタル系、屋外広告などの非4マス系の一部が堅調」的状況がそのまま継続する動き(これは後述するように一昨年比の試算で分かる)。

一方で7月分の特徴としては、3月以降からの流れにもあるように、一部で大きなプラスへの動きが把握できる。これは一年前の記事で解説している通り、昨年同月が東日本大地震・震災を原因としたマイナス値を示したのが原因。それと比較した結果のため、(一部で)リバウンドでプラスに振れた影響によるもの。

ところが4マスのうち「テレビ」は堅調だが、残りの「新聞」「雑誌」「ラジオ」の状況は軟調。昨年同月では震災の直接影響がまだ残っているかのようなマイナス値を示していたが、そこからさらに下げており、3メディアの不調ぶりが改めて認識できる形となった。

参考値として電通における「一昨年前の値」との比較を算出し、グラフを生成する。基準値を設定してその値に「前年における前年同月比」「今件の前年同月比」を順番に掛けただけだが、各項目の実情が良く分かる結果となっている。なお「その他」が大きく下げているのは、「ワールドカップ効果」がプラスに影響した2年前との比較のため。

電通2012年7月度単体売上(前々年同月比)
↑ 電通2012年7月度単体売上(前々年同月比)

大きく下げた前年同月との比較にもかかわらず今回も下げた「ラジオ」「新聞」「雑誌」が中期的には下落傾向であることや、「インターネット(インタラクティブメディア)」「屋外などの一般広告」の堅調さといった、広告業界全般の、そして間接的には媒体そのものの「勢い」が垣間見れる動きをしているのが分かる。

なお今件記事中最上位にあるグラフに記された値について説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ。そして個々分野を会社毎に比較した額面上では、電通の方が上となる。

電通・博報堂HDの2012年7月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2012年7月における部門別売上高(億円、一部部門)

電力需給のひっ迫感は相変わらずどころか政治的要因などで昨年よりも悪化し、春先までの中期天気予想とは反して猛暑となったことも合わせ、今夏は西日本地域などにおいて昨年以上の電力供給力不足が生じる状況下にある(【関電管轄に15%節電「要請」…今夏電力需給対策発表】にもある通り、すでに「節電要請」が発動中)。そのような電力事情下の中、自動販売機や電灯など、電力を常用する公的あるいはそれに準じる施設・機器では、加速度的に節電機能が開発、搭載され、実働を果たしている。

節電体制自動販売機新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ」もまた、地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは復帰しているものの、積極的な節電の「雰囲気」は深く浸透し、以前ほどの活力・積極性は見られない。「全国規模で」電力浪費(「に見える」「叩かれやすい」)による非難リスクを自然に避ける、自主規制をする傾向がある。デジタルサイネージが撤去されたり、各小売店でも昨年以上・過剰とも見えるまでの節電状況が随所で確認されている(マーケティングの上では確実に売上にマイナスの効果が出る場合すらある)。

そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告に注目が集まるのは自然の流れ。昨今の「4マスとネット以外の堅調さ」も、社会的状況が影響しているものと考えられる。

これからは従来型・4マス・ネットそれぞれの長所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、「慣習だから」との理由だけで効果の無い・薄い手法にとらわれることなく、コストパフォーマンスの高い、そして同時に効果が分かりやすい広告手法が求められる。本来なら自然の流れとして発するべき、発想面で優れた広告に注目が集まり、採用され、トレンドとして消費者の目に留まる機会が増えてくる。その動きはすでに見え始めている。


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