ソフト・ハード共に前年以上の不振…2011年の家庭用ゲーム総出荷額は1兆4757億円

2012/08/01 07:00

ゲーム社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は2012年7月30日、「2012CESAゲーム白書」の発刊を公知すると共に、2011年における国内外の家庭用ゲーム市場の概要を発表した。それによると2011年の日本国内ゲームメーカーによる家庭用ゲーム総出荷金額は1兆4575億円であることが分かった。今回は発表された数字を基に、これまでの直近では去年記事にした、家庭用ゲーム総出荷額の動向グラフの更新作業を行うことにする(【発表リリース】)。

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同白書内では各種データが公開されているとのことだが、リリース上では国内外出荷額やソフト・ハード別の出荷額数など一部のみが明らかにされている。そこでリリース一覧からさかのぼれる過去データをもとに、直近8年間、具体的には2004年-2011年の「ソフト・ハード別」「国内外別」家庭用ゲーム総出荷額をグラフ化する。

まずはソフト・ハード別出荷額。全体に占める比率も算出し、合わせてグラフ化を行う(※以後、リリース上からの数字を基に再計算をしているので、末尾1ケタの値がリリースと異なる場合がある)。

↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額(ソフト・ハード別、国内外合計)
↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額(ソフト・ハード別、国内外合計)

↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額比率(ソフト・ハード別、国内外合計)
↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額比率(ソフト・ハード別、国内外合計)

以前の記事でも触れたが、2007年は2006年の年末にWiiやプレイステーション3などの最新世代機種が次々と発売され、それらのハードの売れ行きが堅調に推移したこともあり、ハードが大きく売れ行きを伸ばすことになった。その反動から、2008年は2007年と比べるとハードの売上が落ちている。しかしハードの減退ぶりをソフトの売れ行きでカバーした形だ。

2009年はハードの売上の下落ぶりが加速し、ソフトもハードも売れずに総額は大いに落ち込んでしまった。以降2011年までその状況が継続しており、額全体は減退を続けている。ソフト・ハード比率は「ハードの台数販売数が落ち着き」を見せる一方で、ソフトは市場の円熟化で廉価版の発売も増え、販売金額も落ちる形となり、両者間で均衡が取れた形となっている。今公開資料には具体的数字を見つけることができないが、ハード保有者一人あたりのソフト平均保有本数も減っている可能性はある。

続いて国内外別。こちらも全体に占める比率も算出し、合わせてグラフ化を行う。

↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額(国内外別、ソフト・ハード合計)
↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額(国内外別、ソフト・ハード合計)

↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額比率(国内外別、ソフト・ハード合計)
↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム総出荷額比率(国内外別、ソフト・ハード合計)

日本国内は直近では2007年を天井に、景気後退に合わせるような形で減少を見せ、2011年では4028億円にまで落ち込んでいる。ただし2009年以降の減少ぶりは海外でも同様で、むしろこの数年は金額比率において、日本国内率が戻しを見せている。これは同一地域における前年との比較論としての減少の他に、円高が進んだことが一因と考えるべきだろう。



今回グラフ化した金額は出荷額であり、世間一般にいうところの「家庭用ゲーム業界市場規模」を表す数字としては、やや意を異にする。元資料にある「ソフトウェアおよびハードウェアの国内総出荷規模から推計した、国内における総市場規模は5019億円でした。内、ソフトウェアの国内市場規模は3185億円、ハードウェアの国内市場規模は1834億円となりました」という、小売販売時の額を「市場規模」と見なすのがより確からしい。そこで「家庭用ゲーム機市場の国内規模推移」をグラフ化したのが次の図。

↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム国内市場規模(推測、億円)
↑ 2004-2011年における家庭用ゲーム国内市場規模(推測、億円)

出荷額同様に2004年以降では2007年をピークとし、漸減状態にあることが分かる。かつては(周辺産業も合わせ)1兆円市場とも呼ばれていた国内ゲーム市場だが、今ではギリギリ5000億円程度でしかない(周辺業界も含めれば、もう1-2割は上乗せできるかもしれないが)。

また、昨年と同じように平均小売マージンを計算すると、「全体で24.6%」「ソフトは33.9%」「ハードは11.2%」という値が出てくる。昨年分と比べるとソフトのマージンが随分と上昇しており、ソフトの販売本数の減少分を補おうとしているのか、ハードの逆ザヤをソフトでカバーする動きが強化されているのかなど、さまざまな可能性が見えてくる。

ゲーム毎週逐次掲載しているゲームソフトランキングを見ても、ごく一部の有名タイトルをのぞけば、セールスは堅調であるとは言い難い。ゲームハードも昔と比べれば新型機の登場を望む声は随分と大人しくなり、特に据え置き型は携帯ゲーム機との連動が主に注視されるほど(要は「これ以上性能がアップするくらいなら、パソコンと同じでは」という臨界点に達した感はある)。

以前と比べれば随分と比重の増えた携帯ゲーム機だが、「携帯型デジタルデバイスを複数持ち歩くのは面倒」「ゲーム機としても十分以上の機能を持つ(ネットワーク周りは当然ゲーム機以上)」などの理由で、むしろモバイル端末、特にスマートフォンにそのお株を奪われつつある。客層がそのまま丸ごと重なるわけではないが、やはりある程度妥協してでも「ゲームも電話もパソコンのような役割も一台にまとまっている」メリットは大きい。

本来「家庭用ゲーム(機)」はさまざまな面で利用ハードルが低く、安全性に優れているという点が、最大にして皆が納得のできる長所だった。ところがゲームに「ネットワーク」「ソーシャル」という要素が求められることで、スマートフォンがその場に立ち入りつつある、市場を奪いつつあるのが現状。供給側は単に「携帯ゲームとスマートフォンは市場が違うから」と自分の目を覆い隠すでは無く、双方それぞれで出来ること・出来ないこと、優れていること・劣っていることを見極め、長所を伸ばし短所を少なくしていく、特に後者を無視できるような前者の促進を模索しなければならない。

スマートフォンの浸透は今後も継続的なものとなる。ゆっくりと腰を据えて考えている時間は無いと考えたほうがよさそうだ。

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