「繊維」は2ケタ台のマイナス・前年同月比でマイナス2.0%(2012年6月分大口電力動向)

2012/07/21 06:40

電気事業連合会は2012年7月20日、2012年6月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年6月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で640億kWhとなり、前年同月比でマイナス0.2%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス2.0%を記録し、4か月ぶりに前年同月の実績を下回ることになった。節電の効果が多分に出ているのかもしれない(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめた一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そのページでチェックしてほしい。

2012年6月においては大口全体で前年同月比マイナス2.0%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2012年05月-2012年06月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2012年05月-2012年06月)

今月も複数項目で前年同月比プラスだが、プラス幅が前月から大きく落ち込んでいる。「窯業・土石」「機械」は先月のプラスからマイナスに転じた。「繊維」「紙・パルプ」などは先月からさらにマイナス幅を拡大しており、特に「繊維」は2ケタ台のマイナスを示してしまっている。先月と比べた場合、ポジティブな動きを見せる項目が皆無なのも気になる。

1年前の記事と比較すると、昨年大きく下げた「鉄鋼」「非鉄金属」が今回はプラスにあるのは反動の意味合いが強いのが分かる。他方「紙・パルプ」は昨年に続き今年も下げ幅を一定以上見せていることから、現在進行形であまり思わしくない状況下にあるのが容易に見て取れる(「機械」は下げ幅を縮小したが、去年から続き下げ基調なのも目に留まる)。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月ほど前までは多くの項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。

2012年3月以降は「震災による大きな減少」からの反動の色合いが強く、多数の項目で大きく跳ねている。しかしリバウンド的な跳ねも一時的なもので、今月6月では過半数の項目が失速状態なのが分かる。今回の2012年6月・全体値の「前々年」同月比はマイナス4.74%という計算になる((100%-2.8%)×(100%-2.0%))ことも合わせ知っておいて損は無い。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、(電力の安定供給を含めた)回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、節電対策による消費電力減退、景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そして使用量が増える夏期に向けて、電力周りの問題はクローズアップされていく。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。特に次回の7月分は、昨年が東京・東北電力管轄での電力使用制限令による、そして今年が北海道・西日本地区での「節電要請」の影響が大きく出る月となる。電力需要実績では管轄単位での変移は確認できないものの、全体としてどのような動きを示すのか、気になるところだ。

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