主要国の法人税率をグラフ化してみる(2011年分反映版)

2012/07/19 07:10

グラフ先日アクセス解析をしていたところ、一時的にだが2年前に掲載した、主要国の法人税率をグラフ化して精査する記事を読む人が急増しているのが判明した。掲載からほぼ2年が経過したこともあり、丁度良い機会でもあるので、今回データを最新のものに差し替えることにした。今回は現時点で確認が取れる最新の値、2011年分までを反映したものとなる。

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用いるデータはOECD(経済協力開発機構、Organisation for Economic Co-operation and Development)の加盟諸国における法人税の推移を示した【OECD Tax Database】内にある、「C. Corporate and capital income taxes」の部分。このうち「Table II.1」が対象となる。このファイルには1981年-2011年のOECD加盟諸国(全加盟国では無い)法人税の推移が記載されている。もっとも、古いデータは具体的な値が記載されていなかったり、複数の様式が併記されているので、単純比較は少々困難。

掲載されている法人税は「中央政府が徴収する法人税」「実効税率を反映させた法人税」「地方政府(地方自治体、州)が徴収する法人税(法人住民税や法人事業税)」「最終的な実効税率の法人税」が記載されている。例えば日本の場合は、法人事業税は損益として算出されているなど、ややこしい計算が必要になる(単純に法人税+法人住民税+法人事業税=実効税率の法人税、では無い)。OECDのデータではその仕組みを計算した上で「最終的な実効税率の法人税」が算出されており、わざわざ国別の事例を調べる必要は無い。

データを見ると「地方政府(地方自治体、州)が徴収する法人税(法人住民税や法人事業税)」の項目で多くの国が空白のまま。つまり法人住民税が存在せず、これが法人税全体を低い水準にしているのが分かる。

ともあれ、法人税の実効税率について最新データの2009年、そして10年前の1999年の値をグラフ化したのが次の図。日本を赤塗りして、分かりやすくしておいた。

↑ 各国法人税(実効税率)(2001年)
↑ 各国法人税(実効税率)(2001年)

↑ 各国法人税(実効税率)(2011年)
↑ 各国法人税(実効税率)(2011年)

後ほど改めて触れるが、ほぼすべての国で法人税は減少傾向にあることが分かる。これは各国の企業における競争力の充足と、他国からの企業誘因を目指してのもの。単純に例えれば、宿屋が並ぶ宿場町で、宿泊料金の値下げ競争をしているのと同じ。もちろん企業の競争力や拠点国の選択は、税金だけを決定要素とするものではない。しかし税金の高い・安いは単純明快にして、重要な要素の一つなのも事実。

例えば2001年時点で日本に続く法人税率を見せていたカナダは、2011年時点で10ポイント強の法人税引き下げを果たしている。これは企業の競争力回復に期待してのもの。また、同国は財務的に安定していることにより、付加価値税の引き下げも行っている。

日本も法人住民税の変更などで幾分実効税率は下がっているが、焼け石に水。2011年の時点でも「OECD諸国中もっとも法人税の高い国」という、あまり嬉しくない冠を得ていることになる。

ちなみに実効税率で、この10年間にどれだけ変移を見せたかを算出したのが次のグラフ。並びは2011年時点での実効税率の順位に従っている。

↑ 10年の間の法人税の変移(2001年-2011年)
↑ 10年の間の法人税の変移(2001年-2011年)

直上に挙げた、財政状態が健全なカナダに加え、昨今何かと話題のギリシャもまた大きな引き下げを果たしている。日本はといえば1%強の下げ。アメリカ合衆国などと比べれば下げ幅は大きいが、諸外国の中では見劣りする(元々法人税率が高いだけに、なおさら)。



国内の産業を活性化し、さらに海外から有力な企業を呼び集めるためには、負担となる法人税の減税は有効な手立ての一つとなる。今回のデータを見ると、日本は世界有数(どころか、今回取り上げた国の中では最高比率)の高法人税国であることが確認できる。

さらに日本の場合、先進諸国と比べると法人税(国税)に加えて法人住民税などの地方税も高いことが、最終的な法人税の高さを招いていることが分かる。

↑ 各国法人税(法人税、法人住民税など、実効税率)(2011年、一部)
↑ 各国法人税(法人税、法人住民税など、実効税率)(2011年、一部)

これだけ法人税(実効税率)が高いにも関わらず、日本国内に企業が留まる理由には、税金以外の面でのメリットがあり、企業全体としてのそろばん勘定が合うからに他ならない。「交通機関などのインフラの整備」「安定した治安」「安定した電力供給」「市場の大きさ」など、企業のスタイルによっても影響の違いはあるものの、「勘定」が合うことになる。

企業を国内に留まらせること、さらには海外からの誘致を推し量るには、法人税の実効税率の引き下げも一つの手ではある。しかし、その他のメリットをさらに強固なものとし、それを積極的にアピールするのも一つの手といえる(無論十分な為替対策も必要)。むしろその手法を採用した方が、国内の環境整備につながり、国そのものを富ませるという点では、賢い切り口といえるだろう。

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