主要国の電力消費量をグラフ化してみる(「KWES 2011」対応版)

2012/07/17 06:45

電力消費先日、今サイトの記事の一つで、主要国の電力消費量をグラフ化し精査する記事を再確認する機会があったが、執筆から1年が過ぎ、そろそろ新しい元資料が公開されているはずとチェックをしたところ、電気事業連合会の「図表で語るエネルギーの基礎」は2011年2月に発行された【図表で語る エネルギーの基礎 2010-2011】が最新のままで、更新版は確認できなかった。震災に続く電力需給の混乱で、作業の優先順位が下げられているのだろう。そこで大本の資料を当たってみたところ、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)が発行している調査資料「Key World Energy Statistics」の最新版として【Key World Energy Statistics(KWES) 2011】がすでに公開されており、必要なデータの最新版(2009年分)を取得できることが分かった。そこで今回は「KWES 2011版」とし、該当記事の各種グラフの更新を行うことにした。

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まずは各国一人あたりの電力消費量。「日本の7833kWh/人ってどれくらいなのだろうか?」と思う人も多いかもしれない。これは通常の世帯が一年間で消費する電力を、世帯人数分で割った電力量と考えればほぼ間違いがない(ちなみにこれは年ベースなので、21.5kWh/人・日となる。単純に人口で計算しただけなので、実際には民間・企業・工場などの消費電力まですべてまとめて平均化してあることに注意)。【50年前の電気代を今の料金と比較してみる】や、手元にある電気料金の領収書の束と見比べてみると、理解度も深まるはず。

↑ 一人当たりの電力消費量(2009年、kWh/人)
↑ 一人当たりの電力消費量(2009年、kWh/人)

カナダの電力消費量が多いのは、同国が自然資源に恵まれており、電力料金が極めて安価なため。特に水資源に恵まれており、発電量全体のうち水力発電が占める割合が半数を超えている(【その電気、何から作られてるの? …主要国の電源別発電電力量の構成をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】参照のこと)。余剰エネルギーを他国に輸出できる余裕があるほどだ。そのお隣のアメリカの電力消費量が多いのはいわずもがな(工業の発展を電力消費が支えている)。逆に中国やインドは人口そのものが極めて大きいのと、都市化・電化エリアの国全体に占める割合が「他国と比べて」少なく、必然的に一人頭の電力消費量も小さなものとなる。

これを国単位で見ると、様相は一変する。国の並びを(手元にデータが存在する国に限り)あえて一つ目のグラフと同じにし、国全体の電力消費量を2009年とその10年前の1999年分、さらに昨年の記事の分2008年の値とを併記した上で書き記したのが次のグラフ。

↑ 主要国・国別電力消費量(1999/2008-2009年)(億kWh)
↑ 主要国・国別電力消費量(1999/2008-2009年)(億kWh)

・直近データでは電力消費大「国」はアメリカ、中国、日本、ロシア
・各国とも電力消費量は中期的には伸びる傾向にある。10年ベースではどの国も増加。しかし2008-2009年は省エネの技術革新、さらには景気後退のあおりを受けて電力消費量が減退している国が多い。
・中国の伸びは極めて著しい(10年で約3.1倍)。インド、ロシアなどがそれに続く

今回は前回の記事の2008年分のデータがあることから、2008年から2009年への変移を計算してグラフ化しておく。直上にある通り、直近の金融危機(特に2008年から連なるリーマンショック)に伴う景気後退の影響を多分に受けているのが分かる。

↑ 主要国・国別電力消費量(2009年における前年比)
↑ 主要国・国別電力消費量(2009年における前年比)

景気が後退すれば消費は減り、商品の生産やサービスの稼働率も減る。必然的に電力消費量も落ちる。当然電力消費の効率化もあるが、電力需給の増減が多分に人間の各活動の活性度合と深い関連性があるという事実が、改めて思い知らされる。中国やインドが1年単位でも大きな伸びを示しているのもまた、「経済の伸び」という点では理解できる。

そしてこれら3つのグラフを見比べることで、例えば

「国単位で考えるのはナンセンス。人口が多いから電力消費量も多いのは仕方がない」
「世界規模で電力問題を考える場合には、結局電力をどれだけ使うかが問題。国単位の消費で考察すべき」
「一人当たりの消費量が現時点で少ない中国で、すでに全体ではこのレベルに達しているのなら、アメリカやカナダのような水準になったらどうなるのだろうか?」

など色々な考えが頭に思い浮かぶ。今後ますます重要視される国際的なエネルギー問題において、今回の各表が、問題を解くカギの一つにもなるに違いない。

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