男性21%・女性57%は非正規…就労者の正規・非正規社員率をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/07/19 05:01

厚生労働省は2016年7月12日、平成27年版(2015年版)の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。今件調査は国民生活の基本事項を調査し、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われており、多彩な方面から日本の社会生活の実情を確認することができる。今回はその中から「役員以外の雇用者における、正規・非正規社員比率」に関して具体的値を算出してグラフ化を行い、状況の把握を試みることにする(【発表ページ:平成27年 国民生活基礎調査の概況】)。

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男性正規率78.9%、女性43.5%


今調査の調査要件及び注意事項は、先行記事の【平均世帯人員と世帯数推移をグラフ化してみる】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

今回スポットライトをあてるのは、役員以外の働き人(雇用者。雇われている人。自営業者や家族従業者、内職者などは含まれない)における、「正規社員・職員」と「非正規社員・職員」の比率。両者の定義としては「正規社員…正社員。一般社員」「非正規社員…パート・アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託など」となる。

それでは早速、最新データとなる2015年分における「雇用者の正規・非正規比率」を確認する。

↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2015年)(男性)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2015年)(男性)

↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2015年)(女性)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2015年)(女性)

男性は10代では正社員率が約5割に留まる。20代前半になると7割近くとなるが、まだ非正規社員率は相当なもの。これは中卒・高卒者による就労以外に、高校生や大学生によるパートやアルバイトも含まれるため。20代後半以降は8-9割と高い値を占め、60代に入りようやく定年退職により正規社員率が下がり、非正規社員率が上昇する。とはいえ65歳以上でも3割近くは正社員の立場を確保している。

今調査では詳しい比率は確認できないが、高齢者の非正規雇用の多分は、一度定年退職や早期退職制度を適用した上で、同じ、あるいは関連企業に嘱託などの立場で再雇用されている事例があるものと考えられる。他調査ではそれを裏付ける結果も出ている。

一方女性は若年層でも正社員率は男性より低く、20代後半をピークとする。これは「寿退社」なとによる退社で若年女性正社員が辞めていくことに加え、世帯を持った主婦が子育てのさなかにパートなどの非正規労働に就くことで、非正規の値が底上げされるのが要因。時折今件数字だけを呈して「女性の非正規雇用率が高いのは差別的雇用の結果に他ならない」とする論説を見かけるが、男女それぞれの就労事情の認識が欠けているだけの話でしかない。

昨年比を算出して状況変化を確認


今回分と前回2014年分それぞれにおける、正規雇用者率を比較して、その差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 15歳以上の就業者(役員、自営業者、家族従業者など含まず)における正規構成比率変移(2014-2015年、男女別)
↑ 15歳以上の就業者(役員、自営業者、家族従業者など含まず)における正規構成比率変移(2014-2015年、男女別)

大よそどの年齢階層・性別でも正規社員比率が増加している。失業率が低下している中で正規社員比率が増加しているのを見るに、労働市場の状況が改善しているようすがうかがえる。

また65歳以上女性で大きなマイナス値が出ているが、これは見方を変えると非正規率が増えていることになる。同年齢階層の就業者数が大幅に増加している実情も合わせると、正規社員の増加数をはるかに上回る形で非正規社員が増加した結果、比率が大きく非正規側に傾いたことになる。

学歴による正規雇用率の違い


今件動向を回答者の学歴別に見たのが次のグラフ。世間一般のイメージ通り、高学歴ほど正規雇用率は高い。男性では大学・大学院卒で9割に近づいている。

↑ 15歳以上の就業者(役員、自営業者、家族従業者など含まず)の正規・非正規構成比率(2015年)(男女・学歴別)
↑ 15歳以上の就業者(役員、自営業者、家族従業者など含まず)の正規・非正規構成比率(2015年)(男女・学歴別)

女性の場合は既婚者就労の場合、本業として・世帯主としての就労ではなく、家計をサポートするためのパート・アルバイトの可能性が高い。一概にこの値だけで「女性は押しなべて非正規社員の比率が高い」として嘆く必要はなく、また上記のように労働市場の有り方に反発するいわれも無い。男性とは前提条件が違うことから、違う結果が出て当然。無論女性の中にも、結婚した上で本業として就労する人も大勢いる。



世間一般には今記事の題名の通り「男性21%・女性57%は非正規社員」との部分だけ注目され、労働市場の問題として提起されることが多い。しかし実態としては女性のパート・アルバイトが多分に値を動かしている実態を忘れてはならない。

さらにいえばこの非正規社員比率の換算には、役員や自営業者が抜けている。仮にこれらの人たちも計算に含めれば、就業者全体に占める非正規社員比率はさらに落ちることになる。この点について、十分以上に留意しなければならない。


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