男性21.2%・女性55.3%は非正規…就労者の正規・非正規社員率をグラフ化してみる(最新)

2019/07/19 05:21

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2019-0708厚生労働省は2019年7月2日、平成30年版(2018年版)の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。今件調査は国民生活の基本事項を調査し、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われており、多彩な方面から日本の社会生活の実情を確認することができる。今回はその中から「役員以外の雇用者における、正規・非正規社員比率」に関して具体的値を算出してグラフ化を行い、状況の把握を試みることにする(【発表ページ:平成30年 国民生活基礎調査の概況】)。

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男性正規率78.8%、女性44.7%


今調査の調査要件および注意事項は、先行記事の【平均世帯人数と世帯数の推移をグラフ化してみる】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

今回スポットライトをあてるのは、役員以外の働き人(雇用者。雇われている人。自営業者や家族従業者、内職者などは含まれない)における、「正規(社員・職員)」と「非正規(社員・職員)」の比率。両者の定義としては「正規…正社員。一般社員」「非正規…パート・アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託など」となる。

それでは早速、最新データとなる2018年分における「雇用者の正規・非正規比率」を確認する。

↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業者・家族従業者など含まず、男性、年齢階層別)(2018年)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業者・家族従業者など含まず、男性、年齢階層別)(2018年)

↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業者・家族従業者など含まず、女性、年齢階層別)(2018年)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業者・家族従業者など含まず、女性、年齢階層別)(2018年)

男性は10代では正規率が4割足らずでしかない。20代前半になると約2/3となるが、まだ非正規率は相当なもの。これは中卒・高卒者による就労以外に、高校生や大学生によるパートやアルバイトも含まれるため。20代後半以降は8-9割台と高い値を占め、60代に入りようやく定年退職によって正規社員率が下がり、非正規率が上昇する。とはいえ65歳以上でも3割強は正規の立場を確保している。

今調査では詳しい比率は確認できないが、高齢者の非正規雇用の多分は、一度定年退職や早期退職制度を適用した上で、同じ、あるいは関連企業に嘱託などの立場で再雇用されている事例があるものと考えられる。他調査ではそれを裏付ける結果も出ている。

一方女性は若年層でも正規率は男性より低く、20代後半をピークとする。これは「寿退社」などによる退社で若年女性正社員が辞めていくことに加え、世帯を持った主婦が子育てのさなかにパートなどの非正規就労に就くことで、非正規の数が底上げされるのが要因。時折今件数字だけを呈して「女性の非正規率が高いのは差別的雇用の結果に他ならない」とする論説を見かけるが、男女それぞれの就労事情の認識が欠けているだけの話でしかない。

昨年比を算出して状況変化を確認


今回分と前回2017年分それぞれにおける、正規率を比較して、その差異を算出したのが次のグラフ。

↑ 15歳以上の就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業・家族従業者など含まず、正規の前年比、男女別・年齢階層別、ppt)(2018年)
↑ 15歳以上の就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業・家族従業者など含まず、正規の前年比、男女別・年齢階層別、ppt)(2018年)

0.5%ぐらいまでは誤差領域とも読み取れるので、おおよその属性で正規雇用率は増加していると見ることができる。企業側の従業員確保施策の一環としての、待遇改善の姿勢の表れだろう。

15-19歳で大きな減少が見られるが、パートやアルバイトの雇用条件の改善に伴う学生の非正規就業者の増加、大学進学者の増加による正規就業者の減少などが考えられる。単純な実数を参照すると、前年2017年は男性で正規175万人・非正規246万人なのに対し、直近年の2018年は正規154万人・非正規260万人となっている。

学歴による正規雇用率の違い


今件動向を回答者の学歴別に見たのが次のグラフ。世間一般のイメージ通り、高学歴ほど正規社員率は高い。男性では大学院卒で9割を超えている。

↑ 15歳以上の就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業者・家族従業者など含まず、男女別・学歴別)(2018年)
↑ 15歳以上の就業者の正規・非正規構成比率(役員・自営業者・家族従業者など含まず、男女別・学歴別)(2018年)

女性では既婚者による就労の場合、本業として・世帯主としての就労ではなく、家計をサポートするためのパート・アルバイトの可能性が高い。一概にこの値だけで「女性は押しなべて非正規率が高い」として嘆く必要はなく、また上記のように労働市場のあり方に反発するいわれも無い。男性とは前提条件が違うことから、違う結果が出て当然。無論女性の中にも、結婚した上で本業として正規の立場で就労する人も大勢いる。



世間一般には今記事の題名の通り「男性21.2%・女性55.3%は非正規」との部分だけ注目され、労働市場の問題として提起されることが多い。しかし実態としては女性のパート・アルバイトが多分に値を動かしている実態を忘れてはならない。

さらにいえばこの非正規率の換算には、役員や自営業者が抜けている。仮にこれらの人たちも計算に含めれば、就業者全体に占める非正規社員比率はさらに落ちることになる。この点について、十分以上に留意しなければならない。


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