上位陣は変わらず、米イリノイ州の動向が気になる(国債デフォルト確率動向:(2012年7月)

2012/07/15 12:00

国債・公債のデフォルト確率上位国をグラフ化し精査した、2010年12月17日付けの記事で説明したように、経済動向を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つCPDを元に、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月から1か月単位で確認している。今回は2012年7月分として、15日時点の数字についてグラフ化を試みることにした。

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国公債のデフォルト確率を表すCPD(5年以内のデフォルト可能性)そのものの細かい定義、データの取得場所、そして各種概念は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で解説済み。そちらを参照してほしい。

今件のグラフは日本時間で2012年7月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。今回は前回からあまり大きな変動は無く、上位10位の登場国・地域はすべて継続されている(順位のみ変動している)。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年7月15日時点)

しばらく前に「デフォルト扱いされて『確率』の上で100%となり掲載対象外になった」「CAC(ギリシャ債務交換において発動された集団行動条項)でランキングのはるか下までCPD値が減少した」のいずれかの理由で10位内からは脱落していたギリシャはその次の月、何も無かったかのように高値で復活、そして今月は再び100%にその値を近づけつつある。一昨年の年末にCPD周りの記事を書き始めた際には、同国のCPDが50%台だったとはとても思えない。

また先月でも指摘したが、上位陣は【若年層の失業率、スペイン・ギリシャ共に52.1%…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2012年5月分)】などでも示しているように、失業率の高い国と一致する事例が多く、財務状態と雇用市場の連動性を改めて知る事ができる。ただし今月はヨーロッパ勢は幾分ではあるが、状況の改善が見られる。

ストックトン市破綻一方「目立つ事例」として取り上げる機会が大きくなった、アメリカ合衆国内のイリノイ州の公債CPD。今回は第7位と順位が上がり、CPD値そのものも上昇。現米大統領のオバマ氏が同州選出の議員だったことを考えると、色々と複雑な思いを寄せる人も少なくあるまい。【バフェット氏:地方自治体の破綻、増加の可能性-抵抗感後退 (ブルームバーグ)】などでも伝えられているように、アメリカ国内の行政区単位での破産法申請がちらほらと出始め、状況の悪化が懸念される。このまま事態の好転化が見られなければ、複数のアメリカ国内の地方自治体発行による公債が上位入りする可能性も否定できまい。

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2012年第1四半期リスクレポート(CMA Global Sovereign Debt Credit Risk Report、PDF)】で確認できる。それによると、CPDは8.0%・格付けはa+で順位は16位。2011年第4四半期の値がCPD値11.2%・格付けaa-・順位20位なので、状況は改善、世界各国との相対的なリスクも低下している。ただ、格付けが一段階下がったのが気になるところ。

先月「直近の山場を再選挙の17日に迎える」と評したギリシャの再選挙そのものは無事に通過したものの、同国の債務問題の根本的な解決には至らず、失業率も悪化をたどるばかり。さらに先日、金融取引の世界的な基準金利を担うロンドン銀行間取引金利(LIBOR:London Inter-Bank Offered Rate)の不正操作問題が発覚(2005年頃からの操作との話もある)。これをイギリス当局側も認めておきながら放置していたことなどが暴露され、国際的な金融取引の信用そのものが「ゆらぎ」を見せ始めている。一時は100円超にまで戻った円・ユーロも再び100円を切り、先が読めない状態に。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年7月13日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2012年7月13日)

このような状況だからこそ失業率の動向と合わせ、債券リスクに絡むCPDの値は、各国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなりえる。今後も失業率同様、CPD値には注意深く監視の目を向けたいところだ。


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