信頼を失いつつある米学校や銀行、信頼を積み増す軍や警察

2012/07/15 06:40

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米軍先に【信頼を失いつつある米新聞やテレビニュース】でアメリカの調査機関【ギャラップ社】が2012年7月10日に発表した、アメリカにおける各メディアや団体、組織に対する信頼性に関する調査結果を元に、アメリカの新聞やテレビニュースに対する信頼性の推移にスポットライトをあてた。同調査結果資料にはその他にも、主要団体・組織などに対する信頼度の経年推移が盛り込まれている。そこで今回はその中から、いくつか気になる対象のデータを抽出・グラフ化し、その動きを見ていくことにする(【発表リリース】)。


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今調査(直近)は2012年6月7日から10日にかけて無作為抽出で選択されたアメリカ国内に住む18歳以上の1004人に対し、電話口頭インタビューにて行われている。使用言語は英語とスペイン語。回答結果は国勢調査の値に従いウェイトバックがかけられている。

今調査はほぼ1年に1度行われているが、項目によっては非調査の年がある場合や、途中から調査が始まっているものもある。今回は比較がしやすいよう、すべてのグラフで横軸をそろえる(1973年以降にする)ことにした。

まずは政治周り。

↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、政治周り)
↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、政治周り)

大統領への信頼性は1991年の湾岸戦争直後に最大の72%を示したものの、あとは戦争や選挙で多少の起伏を見せつつ、全般的には減少傾向。2001年のいわゆる「9.11.」以降は継続的な下げを見せるも、オバマ大統領の当選で再び上昇。しかしその後はすぐに低迷傾向に戻っている。一方で議会は大統領ほど起伏は無く、中期的に、かつ一様に「湾岸戦争までは下げ」「それ以降は上昇」「9.11.以降は下落」の動きを見せる。直近では13%と、ほとんど信頼されていない。

続いて銀行。

↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、銀行)
↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、銀行)

銀行への信頼度も「湾岸戦争までは下げ」「それ以降は上昇」だが、「9.11.」でもあまり大きな動きは見せず、むしろ2007年以降の「金融危機」で一様な下げを示す。2008年のリーマンショック以降は、むしろそれを底値とし、ほぼ横ばいの動き。金融危機は銀行に対する権威・信頼性をも失墜させたことに違いは無い。

心の上で支えとなりそうな、教育機関や宗教団体に対しても、状況はさほど変わらない。

↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、教育・宗教)
↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、教育・宗教)

前述項目のように戦争や選挙などの社会的異変で大きな変化を見せることは無いものの、漸減傾向にあることには違いない。そして先の記事でも触れたように、今世紀に入ってから下落カーブがキツくなっているのが分かる。

最後に軍や警察。

↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、軍や警察)
↑ 対象メディア・団体へ信頼性推移(米、軍や警察)

実力行使(治安維持、軍事行動だけでなく、各種救難活動なども含む)、あるいはその力の提示による間接的威圧組織として、やもすると敬遠されがちなイメージがあるが、その「頼り甲斐」を評価されているのか、高い水準で警察は横ばい、軍は漸増する動きを見せている。軍の最大値は湾岸戦争直後の85%だが、直近値は75%と10ポイントしか違わない。「為すべきことを成している」事実の積み重ねによる評価と考えても良い。



先の記事では各値のターニングポイントの一つとして、「今世紀に入ってからインターネットという新しい選択肢・情報収集手段が云々」と解説した。それ自体は決して間違いではないのだが、21世紀初頭においては上記でも触れている「9.11.」があり、これがアメリカ全体におけるマインドを大きく揺さぶった、下落なり上昇なりの動きを加速化させた可能性が高い。

そして昨今では携帯電話、スマートフォン、タブレット機などのデジタルメディアの普及と技術進歩が、さらに情報取得と検証という点で、多くの価値観を揺さぶり、変移を起こさせつつある。その動きがどのような方面に影響を与えていくのか。気になるところではある。


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