コンビニ来訪客の世代分布をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/07/07 05:02

少子化と高齢化の人口構成の変化、さらに昨今では大量の団塊世代の定年退職に伴い、小売業界各方面でもシニア層に向けたシフトの動きが随所で見られるようになった。小売店舗でも歳を召した人の買物風景を見る機会が増えたと実感する人は多いはず。今回はセブン&アイホールディングスが毎年この時期(6月から7月)に最新版の公開を行う、同グループ企業各社の動向をまとめた【事業概要(投資家向けデータブック)】の最新版(2015年度版)をはじめ、過去の各種データを基に、セブン-イレブンを例示案件とし、コンビニ来訪客の世代分布について確認をしていくことにする。

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セブンイレブンではPOSシステムのデータを活用し、「来店客調査」などの情報を逐次収集し蓄積している(【セブン銀行とは?>お客さまの声から生まれた銀行(セブン銀行の言及ページ)】)。しかしこれは当然のことながら内部データのため一般公開はされておらず、大本のデータを取得することはかなわない。だがそのごく一部は時折コーポレートアウトラインで公開され、その内容を推し量ることができる。先日発表された2016年2月期(2015年度)版の「事業概要(投資家向けデータブック)」をはじめ、各年の資料を元に取得可能な限り過去の値を逐次収集し、作成したのが次のグラフ。同時に総務省統計局の【人口推計】を元に、直近数年間分の日本の総人口の年齢階層別人数比率を加え、まとめている。

↑ セブン-イレブンにおける来客年齢階層比
↑ セブン-イレブンにおける来客年齢階層比

セブン-イレブン・ジャパンの内部データ「来店客調査」ではもっと詳細なデータがあるに違いない。しかし公開データを調べた限りでは「年度の歯欠け」「年度によって%の表記が整数値まで」(今件グラフでは表示を統一するために、すべて整数化している)と、かなり精度の荒いものとなってしまった(直近でも2010年度、2012年度、2014年度分が非公開のため年度が飛んでいる)。しかし状況は十分につかみとれる。

状況をざっと箇条書きにすると次の通りとなる。

・コンビニの来客層は確実に高齢化しつつある
 (1店舗当たりの総来場者数は漸増、高齢者は全体に占める比率・店舗当たり人数共に増加)

・人口構成比と比較するとコンビニは中堅層(20-40代)の比率が大きく、20歳未満と50歳以上が小さい。コンビニは主に中堅層世代が多用している実態が浮かび上がる

・高齢層の増加傾向は人口の高齢層化、区分の変化と比較すると、増加する動きそのものは類似している。ただしこの数年に限ると加速感はある

・30代-40代の利用層に大きな変化はなく、人口構成比と比べればむしろ多い傾向があった

・20代までの「コンビニ離れ」傾向が顕著化している

・20歳未満は2007年度を底に、わずかずつだが再び増加の気配があったが、2013年度以降は急速に減退している

・直近の2015年度では40代以降が大幅に増加、その分20歳未満が大きな減少を示し、記録の確認できる範囲では最小値となる6%を示した。お客が17人来店してもその中に20歳未満は1人の計算

大勢としてはこれまでと変わらないものの、一部領域で状況の加速化が確認できる。

若年層のコンビニ離れ傾向は顕著で、年齢階層別構成比で見ると、この20年で半減以下となっている。その分30-40代がやや増加しているので、1980-90年代にコンビニを利用した若年層がそのまま中堅層化した可能性もあるが、それに続くべき世代の利用がやせ細っているのは看過すべきではない。【一人暮らしの食生活、どこを頼りにしてきたか…過去20年間の食料の買い入れ先の移り変わりをグラフ化してみる】などを見ると、若年単身者の食料品購入先としてのコンビニは、支出額比率が今世紀に入ってから減少する傾向があり、関連性が浮かび上がる。

他方40代以上の割合は着実に増加。【100円ショップ来訪客の世代をグラフ化してみる】で紹介した100円ショップの「高齢者の来客頻度の高さ」と比べるとまだまだ割合は小さめだが(100円ショップでは40代以降で約6割を占めている)、今後人口構成比の変化と共に確実に人数・客総数に占める比率共に増えていくものと想像できる。

この数年の動きとして「50歳以上層の増加」以外に「20歳未満層の漸増から急減」が目に留まる。比率の上では2007年度から2011年度にかけてゆるやかな増加にあり、「若年層のコンビニ離れ」という言葉が当てはまらない状況だった。理由としては「若年層向けのスイーツや食玩系アイテムの多数展開」「IT系サービスの導入」などいくつかの要因が考えられる。

ところが2013年度以降はその期待の星的存在の20歳未満が減るトレンドに転じ、特に2015年度は前回分2013年度比で4%ポイントも低下する結果が出てしまった。50歳以上の大幅増(3%ポイント増)と合わせ、大いに注目すべき動きといえる。

高齢者の比率増加の動きは、団塊世代の定年退職に伴うプライベート時間の増加によるコンビニ利用機会の増加、「買い物困難者」対策の意味合いも持つ(高齢者の人口比率が高い)地方へのコンビニの積極進出、各種サービスの多様化など、色々と(後付ながらも)説明ができる。しかしながら20歳未満の急速な減り方は(人口構成比と比較しても)理由付けを探すのは難しい。カウンターコーヒー、そしてそれに合わせる形でドーナツの導入、子供向けの商品(カードゲーム用カードや特典系景品)の展開で、子供のみ、あるいは親子連れの形で20歳未満の来客増加の機会は色々と整備されているのだが。



今回データを精査するにあたり、併記されている数字を元に二次的な値を算出したのが次のグラフ。各階年齢層ごとに「全体比」ではなく具体的な人数を算出したもの。年度によって取得できる比率が整数までのために「ぶれ」が生じてしまうのは否めないが、そしてデータが一部欠けているために横軸の「年度」が等間隔ではないが、大まかな動きはつかみ取れる。

↑ セブン-イレブンにおける来客年齢階層別人数(1日1店舗あたり、概算、人)
↑ セブン-イレブンにおける来客年齢階層別人数(1日1店舗あたり、概算、人)

元々コンビニの主力客だった20歳未満と20代だが、前世紀末から漸次その来客数を減らしていく。その世代の人口そのもの減少も一因だが、それ以上に「コンビニ離れ」も少なからぬ要因と考えられる(同世代の単純人口はこれほど急激には減っていない)。一方で中堅層以上は少しずつ数を増やし、特に50歳以上の伸びは急上昇のカーブを描く。そして2008年度には他の世代を抜き、「50歳以上の来客数が一番」な状態になる。この時、20歳未満は今世代区分では一番少ない値を示している。

直近の2015年度分においては、過去数年間やや持ち直しを示していた20歳未満の人数が前回の2013年度分からさらに大きく減り、漸減していた20代と合わせ、「若年層のコンビニ離れ」をさらに印象深いものとしている。他方、上記でも触れたが50歳以上が大きく伸び、さらなる上昇機運にあるような勢いを示す形となった。

ともあれ、コンビニ(今件はセブン‐イレブンを対象としているが、他のコンビニも大きな違いは無いはず)は「単純人口構成比と比べれば」、まだかろうじてではあるが、若年層から中堅層向けの店ではある(ただし若年層に限定すれば、すでに「コンビニの若者離れ」化が起きている)。一方で、中堅層からシニア層の利用が増加しているのにも違いは無い。昨今のコンビニにおける数々の商品展開、例えば和菓子系食品の積極開発、おつまみ系食材の提供開始、宅配サービスのスタートなどの動きを見ると、「常に目の前の、そしてこれからのお客を見ている」との点で、納得も行く次第ではある。


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