日米安保のアメリカ側評価は約8割(2014年)(最新)

2014/11/11 08:14

外務省は2014年11月7日付で、アメリカ合衆国での対日世論調査の結果を発表した。その内容によれば調査対象母集団では日米安全保障条約(日米安保)に対し、約8割の人が維持すべきだと考えていることが分かった。また日米安保が日本・極東の平和・安定へ貢献していると考えている人は8割近くから9割近く、アメリカ自身の安全保障にとっても重要と考える人の割合は8割強の値を示している(【発表リリース:米国における対日世論調査(結果概要)(2014年)】)。

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昨年の急降下から半戻しを見せる「安保」維持への支持


調査概要に関しては先行記事【アメリカの日本への一般人信頼度73%・有識者は90%に(2014年)(最新)】を参考のこと。

現在において日本の安全(国防、軍事的な国の保安を中心とした「安全」)は、自衛隊、そして日米安全保障条約に基づいた安全保障体制の二本柱で守られている。このうち日米安保について、アメリカ側がこのまま維持すべきか、そうでないのかを聞いた結果が次のグラフ。2008年に一般人の意見でやや凹みが確認できるが(これは2008年に行われた大統領選挙において、現大統領のオバマ氏を推す民主党が日本からやや距離を置く政策を取ったのが遠因と考えられる)、一般人は概して漸増、有識者は8割後半から9割の高水準で「維持すべき」と肯定的意見を持っていたのが分かる。

↑ 日米安全保障条約の維持について(「維持すべき」「そうは思わない」「分からない」のうち「維持すべき」の回答者)
↑ 日米安全保障条約の維持について(「維持すべき」「そうは思わない」「分からない」のうち「維持すべき」の回答者)

ところが2013年分では一般人肯定者が22%ポイント、有識者の肯定者が16%ポイントと大幅な下落を示しており、データが残っている1996年以降においては一般人・有識者共に最低の値となってしまった。また、2013年分のデータを精査すると、その前年2012年から「維持すべき」で減った分のほとんどが、「分からない」に流れていることが確認できる。

この下落については2008年の時のような特段の理由も想定できない(日本におけるオスプレイに関する過剰な否定的報道がアメリカ側の反発を誘った可能性はゼロではないが、その程度でここまで下がるような情勢には見えない)。後述するが、多分にイレギュラー的なところがあったと見た方が道理は通る。

直近2014年は一般人・有識者共に、株式市場における半戻し的な状況を呈している。それぞれ14%ポイント、8%ポイントの増加となったが、同時にその大部分が「分からない」の減少で補われている。同時に「そうは思わない」、つまり安保維持に反対する意見は調査開始以来一貫して1ケタ台のままなことに留意しておく必要はあろう。

日米安保はアジア、そしてアメリカ自身に貢献しているか


ではその日米安保は、日本と極東の平和と安定へ寄与貢献しているものなのか否か。軍事的、戦略的、政略的な現実問題の上での判定は別として、「貢献している」と認識・判断をしている人の割合は次の通り。

↑ 日米安全保障条約は日本と極東の平和と安定へ貢献しているか(「非常に貢献している」「やや貢献している」「わずかしか貢献していない」「全く貢献していない」「意見無し」のうち「非常に貢献している」「やや貢献している」の回答者合計)
↑ 日米安全保障条約は日本と極東の平和と安定へ貢献しているか(「非常に貢献している」「やや貢献している」「わずかしか貢献していない」「全く貢献していない」「意見無し」のうち「非常に貢献している」「やや貢献している」の回答者合計)

有識者は高い値で安定、一般人は2008年の大統領選時に多少の凹みを見せるも全般的には漸増傾向を見せている。一般人の方が選挙運動で心境を左右されやすいとの点でも注目するべき内容だが、ともあれ直近データでは一般人77%・有識者89%が「日米安保は日本と極東の平和と安定へ貢献している」と評価をしていることが確認できる。

直近2014年では前年から続き一般人における値の低下が気にかかるが、これは主に「わずかしか貢献していない」と「意見無し」の回答値増加によるところが大きい。「まったく貢献していない」は前年の6%から3%に減少している。

最後に、日米安保が日本やアジア諸国では無く「アメリカ合衆国自身の」安全保障にとって重要か否かの問題。これは日本サイドでも気になる項目だが、結果としては直近で8割強から「重要視している」との回答が得られた。

↑ 日米安全保障条約は米国自身の安全保障にとって重要か(「極めて重要」「ある程度重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」「分からない」のうち「極めて重要」「ある程度重要」の回答者合計)
↑ 日米安全保障条約は米国自身の安全保障にとって重要か(「極めて重要」「ある程度重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」「分からない」のうち「極めて重要」「ある程度重要」の回答者合計)

興味深いのは、この点、つまり日米安保におけるアメリカへの直接的な利益という観点においては、一般人も有識者もさほど変わりないレベルで高評価を与えている点。これをどのように解釈するかは人それぞれだが、少なくとも【「安保は日本の平和と安全に役立つ」はじめて8割を超える】と合わせて考えれば、日米安保はお互いにとって重要度が高いという認識が、一般レベルでは浸透していると考えて問題はなさそうだ。

もっとも日本と極東の平和と安定への貢献に関する意見同様、一般人の値がやや下げているのが気になる動きではある。



2013年分のデータの「安保維持」の項目で「支持」の値が急落し、「分からない」がその分急増している、そして2014年でも半ば程度の回復に留まっている件に関する補足をしておく。先行記事【アメリカから見た一般の日米協力・相互理解関係の推移をグラフ化してみる】で詳しく解説している通り、今調査では2013年以降において、2012年までとは結果の項目こそ変わりはないものの、複数面で異なる手法・様式が用いられている。2012年までの動きとは明らかに挙動が異なり、原因がつかめない値が出た項目にでは、連続性に疑問符が生じると評しても無理はない。

とはいえ調査様式の変更後にあたる2013年以降を見ても、少なくとも一般人において日米安保に対する関心がいくぶん薄れている動きは否定できない。他項目の動向を合わせ見るに、あるいは安保に限らず、全体としての興味関心の薄れの流れか出ているのかもしれない。


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