サラリーマンのこづかいと昼食代の微妙な関係(2012年版)

2012/07/06 07:05

先に【4万円には届かずも5年ぶりに上昇・2012年のサラリーマンのこづかい事情(2012年発表分)】でお伝えしたように、新生銀行が2012年6月28日発表した「サラリーマンの小遣い調査」によると、男性サラリーマンの昼食代は今年については額面で、昨年からわずかに増加していることが明らかになった。その原資となる小遣いも同様に増加しており、「小遣いに占める昼食代の割合」も微妙な変化を見せることになる。去年と比べてサラリーマンの昼食代における小遣いの圧迫度合いは、どのような変化を遂げたのか。去年のデータを引き継ぐ形で、関連する値を算出してみることにした(【発表リリース(PDF)】)。

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今調査は2012年4月23日から24日までの間にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2100人。男女比は1566対534で、年齢階層比は「男性サラリーマン」は20代から50代まで10年区切りで、「女性会社員」「男性パート・アルバイト」「女性パート・アルバイト」は20代・30代でそれぞれ均等割り当て。なお「男性サラリーマン」以外は今回が昨年に続き2回目の調査となる(ただし明記ない限り、データ・グラフはこれまで通り「男性サラリーマン」からのものについてのみ対象としている)。また今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではない。

サラリーマンの小遣いの主な使い道の一つが「昼食代」、そして小遣いそのものの平均もすでに公開されている。一か月あたりの平均出勤日数を単純に20日とし、休日は自宅で食べるので昼食代は使わない状況を想定する。その上で一日の昼食代を20倍して、一か月の昼食代を算出、小遣い額に占める割合を計算する。このあたりの計算方法は去年のものをそのまま踏襲している。なお実際には今資料で提示されている昼食代は「弁当持参時をのぞく」と定義されているため、現実的にはもう少し比率は低いものとなりうる(このあたりの考察は後程行う)。

サラリーマンの小遣いと昼食費が占める割合(2012年まで)
サラリーマンの小遣いと昼食費が占める割合(2012年まで)

このようにグラフ化すると、次のような推測が出来る。

・サラリーマンが昼食費として想定している配分は小遣いの2-3割。
・ITバブル崩壊、金融恐慌時(2002年以降)に激減した小遣いに対し、昼飯代を少しずつ削ることで対処しようとしたものの、当初は「昼食係数※」が上昇する。状況に対応するまでにはしばらく時間を必要とした模様。
・その後も少しずつ昼食費の節約は続き、昼食係数もじわじわと漸減。2004年をピークに昼食係数は減少し、小遣いの額も増えて、余裕が出てくる。
・だが「昼食以外の小遣いの使い道を増やす」ためか、昼食費を削る意向は止まらない。
・2007年にようやく昼食係数は「ITバブル崩壊」直後の水準にまで戻る。
・しかし2008年では昼食代の減少分を上回る割合で小遣い額が減り、さらに2009年では小遣いが減る一方で昼食代は増加。昼食係数は再び上昇のきざしを見せる。
・2011年は小遣い、昼食代共に大きく減少したが、昼食代の落ち込み以上に小遣いの減額が厳しく、結果として昼食係数は跳ね上がる。
・2012年は小遣い額が上昇、それに伴い昼食代も上昇するが小遣い額ほどの大きな伸びは無く、結果として昼食係数はやや下がる(≒余裕が出てくる)

※「昼食係数」……小遣い全体に占める昼食費の割合。かつて生活の豊かさを示すバロメーターとして使われていた「エンゲル係数」になぞらえて設定

少ない小遣いの中で、欠かすことはできず・なおかつ大きな割合を占める昼食費を少しずつ削る動きは、中長期的に続いている。2001年当時は710円だったものが2012年には520円と、200円近く削られているのがその証(もちろんデフレ傾向も一因だが)。2012年は小遣い額・昼食代共にやや持ち直しを見せているが、中長期的な流れの転換に至るとは考えにくい。

昼食形態の変化にも、サラリーマンの昼食事情が見て取れる。この項目は2009年分から設問として用意されたものだが、これによると、1週間のうち、持参弁当が1.5回を占めている。去年の1.5回からは0.3ポイントの下落。

昼食の内訳
↑ 昼食の内訳

弁当持参率減少と共に
コンビニ弁当などが増加。
社員食堂と共に
出来合い食の再評価か。
「社員食堂」以外に「弁当(コンビニなど)」も回数が漸増しているのが確認できる。お弁当を持参するのが直接的には一番安上がりには違いなく、健康的にもよさそうに見える。しかし「社員食堂」に加えて「弁当(コンビニなど)」が増加している動きを見ると、原文でも指摘されているが、中食的なコンビニ・惣菜店・スーパーなどのお弁当の単価漸減に加え、健康志向的な・栄養バランスのとれたお弁当の提供が増えることで、サラリーマンの選択肢として優先順位が上がりつつあるとも考えられる。【ローソンでタニタ食堂監修の「豚肉のオイスターソース炒め弁当」発売】などが好例だ。

ローソンのタニタ弁当イメージまた【ローソン、店内調理の揚げ物惣菜を充実・パック販売も促進】などにもある通り、大手コンビニにおける食品スーパー化(揚げ物品の充実やパック販売の開始)などの動きも見られ、サラリーマンの昼食事情は大きな変化の中にあることが分かる。

2012年はわずかに増加を見せたものの、サラリーマンのお小遣いの額は今後しばらくの間、低迷を続けることは間違いない。小遣い消費対象の中でもっとも大きな領域を占める昼食代が、どのように変化していくのか、今後も気になるところだ。



さて今回も昨年同様に、上で「このあたりの考察は後程行う」とした通り、別の視点から見た数字を算出しておく。上の「昼食の内訳(週当たり回数)」を見直すと分かるように、全部を足すと2009年は4.9日・2010年は5.0日・2011年は5.6日・2012年は5.4日となる。一週間は7日なのでこれより大きくなるはずはないが、従来土日が休みなら5.0日内外に留まるはず。「0.4日」分は土曜日の昼食込みの残業の可能性を示唆している。

さらに各値を考慮し、1か月を4.3週間(30日÷7日)と概算。その上で実質的な要昼食代日数を2009年以降において算出し(つまり上の「20日すべてを要昼食代」という仮定では無く、弁当持参日をのぞいて昼食代を積み重ねる。弁当持参時は1円も使わないと仮定する)、純昼食費と、その昼食費が小遣いに占める割合を求めた結果が次のグラフ。

↑ 月昼食費(実算、円)と小遣いに占める純昼食費率
↑ 月昼食費(実算、円)と小遣いに占める純昼食費率

昼食費が小遣いに占める比率は2割前後という現状に変わりは無い。弁当持参日が減り、1食あたりの昼食代も増えたため、月あたりの昼食費は増加。しかし小遣い全体が増加しているため、純昼食費率はわずかに減少している。

いずれにせよ、懐事情が厳しいことに変わりはない。

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