増えるモバイル利用、目立つ男性若年層のテレビ離れ……メディアへの接触時間推移(2012年)

2012/06/27 12:00

メディア環境研究所は2012年6月13日、毎年2月に実施している「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査・2012」の抜粋編を発表した。それによるとメディア全体の接触時間は、若年層と高齢者(シニア層)が長く、中堅層は短めの傾向にあることが分かった。一方でメディア毎の接触時間は年齢階層毎に大きな違いを見せており、「20代男性はテレビの視聴時間以上の時間をパソコンでネットに接続している」「男性は10代から40代・女性は10代でテレビよりも、パソコンと携帯電話を合わせたインターネットへの接続時間が長い」「10代・20代は携帯電話からのインターネット接続時間が長め」「60代男性は全年齢層で最長時間のメディア接触時間を記録している」など、昨今のメディア事情を顕著に表す特異な傾向が多数見られる結果となっている(【発表ページ】)。

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今調査は郵送調査方式で行われ、2012年2月3日に発送、2月16日投函を締め切りとしたもの。東京・大阪・愛知・高知の4地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15-69歳の男女に対し調査票が送付され、2651通が回収された。デジタル手段ではなく郵送方式で調査が行われたことから、比較的片寄りの無い、昨今の状況を表したデータと評価できる。なお、特記無き限りデータは基本的に(今回公開対象となった)東京地区のもの。また各値はウェイトバックがかけられている。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の既存4大メディア(4マス)と、パソコン・携帯電話(スマートフォン含む。特記無き限り以下同)それぞれからのインターネット接続の計6つに限定したメディアの接触時間の総計は、 2012年においては351.4分/日という結果が出ている。また、性別・年齢階層別に見ると、60代男性がもっとも長く389.9分の値を見せている。次いで長いのは20代男性で381.7分。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(2012年)(一日あたり、分)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(2012年)(一日あたり、分)

全般的には男女とも30-40代の壮年層の時間が比較的短く、若年層・高齢層の時間が長めの傾向が見られる。また、10-20代男女の時間が長いのは、ひとえに携帯電話からのインターネット接続時間が他年齢階層と比べてきわめて長いことによるもの。

これを各メディア毎の時間配分で区分すると、さまざまな特徴が見えてくる。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2012年)(クリックで拡大表示)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2012年)(クリックで拡大表示)

・男女とも20代までは携帯電話の利用が大きな割合を占めている。30-40代もそれなりの時間。
・パソコンの利用時間は男性の方が長い。仕事での活用場面が多いのが原因か。
・テレビ視聴時間は男性が30代、女性は10代がもっとも短い。以降(ほぼ)年齢経過と共に増えていく。また、男性よりも女性の方が長い傾向。
・ラジオは30代以降利用時間が長くなる。ただし男性に比べると女性は利用時間は短め。
・男女とも歳の経過と共に、全体に占める既存4大メディア(4マス)の割合が増え、新メディア(インターネット)の割合、時間が減る。
・男性若年層の「テレビ離れ」が目立つ。
・女性50代のメディア接触総時間は女性の中ではもっとも長い値を示している。テレビ視聴時間が極めて長いのが原因。
・20代男性ではパソコン経由のネット接続単独で、テレビの視聴時間を上回っている。30代男性もほぼ同時間。
・男性は10代-40代まで、女性は10代で「パソコンと携帯電話のネット接続総時間」が「テレビ接続時間」を上回っている。

以前ヤフーバリューインサイトが公開した自主調査の結果【10代は動画投稿サイトが大好き!! 年齢階層別に見た「従来四大メディア」と新情報メディアのせめぎ合い】などで示したように、「若年層はデジタルメディア、高齢層は既存4大メディア(4マス)への注力が大きい」という傾向が改めて裏付けられている。

・若年層はパソコンやモバイル経由の
ネットアクセス時間が長い。
→デジタルメディアに慣れ親しむ。
・高齢者はテレビや新聞などの
既存4大メディアの利用時間が長い。
→旧来メディアが浸透。
・男女とも携帯経由の
ネットアクセスが増加傾向
→スマートフォンの浸透が一因。
また今年も去年同様に20代男性において「テレビの視聴時間<<パソコン経由のインターネット使用時間」というデータが確認できた。30代でもほぼ横並びとなっている。要は「テレビを見るよりパソコンでネットをする時間が長い」ということだ。10代においては(メディアに触れる機会そのものが家族や学校などに制限される場合もあり)まだテレビの影響力が強いが、若年層のデジタルメディア(とりわけ携帯端末)への傾注が加速している形。特に注目されている20代男性のメディア接触時間を、全体接触時間に占める割合でグラフ化しておこう。

↑ 20代男性におけるメディア接触時間(一日あたり、全体接触時間に占める割合)
↑ 20代男性におけるメディア接触時間(一日あたり、全体接触時間に占める割合)

ややイレギュラーな動きを見せた昨年から転じて、テレビの視聴時間比率は再び減少。またパソコン経由のネット接続時間も減り、その分携帯電話経由のネットアクセスは増加する一方である。

テレビといえば視聴時間は男女別では女性が、年齢階層別では高齢層が長い傾向が確認できる。これはそれぞれ別調査で【女性はテレビが大好き!? 若年層のテレビ視聴時間をグラフ化してみる】【新聞記事や特集7割・テレビ番組8割……シニア層の情報源、テレビや新聞が圧倒的】で同様の結果が出ており、今回データも(昨年まで同様に)それを裏付けた形となる。

また、パソコン・携帯電話双方におけるインターネット接続時間を見ると、今年は男女ともに10代で「携帯電話>>パソコン」、20代以降は「パソコン>>携帯電話」の位置関係が確認できる。20代に入ると(社会人になることから)(私用が多い)携帯電話の利用時間は減少し、(業務としての)パソコン利用が増加するものと考えられる。



世代別の「世代間ギャップ(ジェネレーションギャップ)」やジャネーの法則に類する形での、新世代メディアと旧世代メディアの接触時間に関する考察、可能性は昨年と変わらない。新世代メディアに触れている時間が「全人生時間比」で長い若年層ほど、「慣れ」「信頼し」て当然ということだ。

新世代メディアの展開を10年と仮定した時の、各年齢における「自分の人生全体における新世代メディアとの接触年数」(概念図)(再構築版)
↑ 新世代メディアの展開を10年と仮定した時の、各年齢における「自分の人生全体における新世代メディアとの接触年数」(概念図)(再構築版)(再録)

一方で今年のデータからは、特にインターネット周りで留意しておく動きが出ている。これは性別・世代別の各メディア毎の接触時間の「2011年から2012年に至る変移」を計算したもの。それなりの調査母体数は揃えてあるが、詳細区分になるとやはりやや母数が不足しているようで、一部にぶれが確認できる。しかし全体的な傾向はつかめられる。

↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2011年から2012年への変移、分)
↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2011年から2012年への変移、分)

気になる動きとして、

・男性若年層のテレビ視聴時間の減少。
・パソコン経由のインターネット接続時間の増加。しかし女性中堅層は減少。
・携帯電話経由のインターネット接続時間の増加。若年-中堅層に顕著。

などが確認できる。携帯電話周りの動きはスマートフォン普及によるところが大きいと元資料の解説でも言及されているし、別項目(後日掲載予定)でも具体的な値として、その動きが把握できる。また動きは小さいものの、紙媒体の元気がなさそうな雰囲気は見て取れる。

特に若年-中堅女性層では、パソコン経由が減る一方で携帯電話経由のネット接続が増加しているのが気になるところ。パソコンに近い機能を持つスマートフォンの浸透で、スマートフォンに注力する時間が増えた、と考えれば道理が通るというものだ。

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