個人の携帯インターネット利用率の推移(2011年分反映版)

2012/06/19 07:00

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個人の携帯電話利用2012年5月30日、総務省は同省公式サイトなどで、平成23年(2011年)調査の通信利用動向調査を公開した(【発表ページ】)。これは日本のインターネットや携帯電話など、情報通信に絡む各種調査結果を反映した白書的報告書で、毎年7月に発表される予定の【情報通信白書】の素材にもなる、同省の情報通信統計として重要なものである。現時点では概要、そして及び統計データのe-Statへの収録のみで報告書の類は完成していないが、今回は完成版的な報告書の登場前に、そのデータから「個人の携帯インターネット利用率の推移」をグラフ化してみることにする。なお内容的に幾分【携帯電話でのインターネット利用率(2011年分反映版)】とかぶるところもあるので、そちらも合わせて目を通すことをお勧めする。


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調査概要や調査対象母集団数などは調査そのものに関する仕様は、2012年6月12日付の記事【光回線浸透継続の一方で意外なモノの伸びも-自宅パソコンのネット接続回線の種類(2011年分反映版)】にある通り。そちらを参照してほしい。

先の記事【携帯電話でのインターネット利用率(2011年分反映版)】にもあるように、2011年末における全体・年齢階層別のグラフ、つまり過去一年間に携帯電話(PDA、PHS、スマートフォン含む)を経由してインターネットにアクセスしたことがある人の割合は次の通りとなっている。

携帯インターネットの利用率(2011年末)(過去1年間において、PHS・PDA・スマートフォンも含む、全体比)
↑ 携帯インターネットの利用率(2011年末)(過去1年間において、PHS・PDAも含む・スマートフォンも含む、全体比)(再録)

携帯電話そのものの利用率・インターネット全体の普及率同様に、20-30代がピークでその後定年退職前後までは緩やかな、そしてそれ以降は急激な下り坂を描いているのが分かる。

このデータも反映させた、過去の記録が確認できる2001年末以降のものについてその推移を折れ線グラフで示したのが次の図。

↑ 携帯インターネットの利用率推移(人口比)
↑ 携帯インターネットの利用率推移(人口比)

全体値(6歳以上全体)は2005年以降上昇率がゆるやかになっているが、これは20歳以上-中堅層が伸びているのに対し、「6歳-12歳」「13-19歳」がほぼ横ばい、そして下落していることで、伸びを押しとどめているのが推測できる。前者はパケット定額制の普及が大きな後押し要因となっているのは明らか。一方で20歳未満の横ばい、さらに2009年以降では(青矢印にあるように)「6-12歳」「13-19歳」で大きな下落が見えるのは、定額制の普及以上に安全面・倫理面の問題から「携帯はダメ」「防犯面で仕方ないから携帯電話を所有しても良いが、インターネットは使用禁止」などの規制を保護者などからかけられていることが要因だと推測される(【子供のネットトラブル、「コミュニティサイト」では2008年以来初の減少(2011年データ反映版)】)。

他方、高齢層では元々普及率が低めだったことも一因だが、グラフ中でも赤矢印で示した60歳代以降での順調な伸びが確認できる。導入・利用ハードルがパソコンより低い携帯電話(そしてその他のモバイル端末)は、シニア層のインターネットの窓口として、着実に普及しているようだ。

今後は今まで以上に高齢者(シニア層)に携帯電話も含めた、モバイルインターネットに対する注目が集まる。「【お年寄りのネット嫌い その理由は?】でも指摘しているアクセスまでの技術的・操作上のハードルがパソコンより低い」「元々普及率が低いだけに伸びしろが大きい」「基本的に有線ではなく電波・無線でつながるので、『ラストワンマイル』問題を気にしなくて済む」など、理由はいくらでも挙げられる。さらに高齢層の可処分所得・金融資産を考えれば、企業側もビジネス的に色々とアプローチをかけるだけの魅力的市場余地が残されている。突き詰めるところ、金銭面云々をのぞけば、その問題は新興国におけるインターネット普及のプロセスと非常に似通っていることが分かる。

その上今後、この年齢階層の「人口そのものの増加」を合わせて考えれば、コンテンツ提供側もさまざまな考察が必要になるのは言うまでもあるまい。


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