「紙・パルプ」は今年も下げ幅を一定以上・前年同月比でプラス2.0%(2012年5月分大口電力動向)

2012/06/17 12:00

電気事業連合会は2012年6月15日、2012年5月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年5月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で655億kWhとなり、前年同月比でプラス1.8%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス2.0%を記録し、わずかではあるが3か月連続して前年同月の実績を上回ることになった(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめた一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そのページでチェックしてほしい。

2012年5月においては大口全体で前年同月比プラス2.0%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)増えたことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2012年04月-2012年05月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2012年04月-2012年05月)

今月は複数項目で前年同月比プラスだが、プラス幅が前月から大きく落ち込んでいる。「化学」は先月のプラスからマイナスに転じた。先月大きな下げを見せた「繊維」「紙・パルプ」は今月もマイナスなものの、ほんのわずかばかり状況が改善の方向にあることが、数少ないポジティブな動き。

1年前の記事と比較すると、昨年大きく下げた「鉄鋼」「非鉄金属」「機械」が今回はプラスにあるのは反動の意味合いが強いのが分かる。他方「紙・パルプ」は昨年に続き今年も下げ幅を一定以上見せていることから、現在進行形であまり思わしくない状況下にあるのが容易に見て取れる。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月ほど前までは多くの項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。

2012年3月以降は「震災による大きな減少」からの反動の色合いが強く、多数の項目で大きく跳ねている。しかしリバウンド的な跳ねも一時的なもので、今月5月では半分ほどの項目が失速状態なのが分かる。今回の2012年5月・全体値の「前々年」同月比はマイナス1.37%という計算になる((100%-3.3%)×(100%+2.0%))ことも合わせ知っておいて損は無い。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、(電力の安定供給を含めた)回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、節電対策による消費電力減退、景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そして使用量が増える夏期に向けて、電力周りの問題はクローズアップされていく。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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