光回線浸透継続の一方で意外なモノの伸びも-自宅パソコンのネット接続回線の種類をグラフ化してみる(2011年分反映版)

2012/06/12 12:10

ブロードバンド総務省は2012年5月30日、平成23年(2011年)調査における通信利用動向調査を発表した(【発表ページ】)。日本におけるインターネットや携帯電話など、情報通信関連の各種調査結果を反映した調査結果で、毎年7月頃に発表される【情報通信白書】のベースにもなる、同省の情報通信統計としては非常に重要なものである。現時点では概要、及び統計データのe-Statへの収録のみで報告書の類は完成していないが、今回は「自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(世帯別)」についてグラフ化を試みることにする。ブロードバンド化がいかに進んでいるか、昨年の値と比較して、どのタイプの回線が普及を進めているかが理解できよう。

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今調査(通信利用動向調査)は2012年1月-2月に、地域及び都市規模を層化基準とした層化二段抽出方式による無作為抽出で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員4万0592世帯に対して行われたもの。有効回答数は1万6580世帯・4万7158人(企業に対して行われたものは常用雇用者規模100人以上5140企業/有効回答数1905企業)。調査方法は郵送による調査票の配布および回収なので、各媒体の保有率は調査結果に影響を与えていない。

最新版「通信利用動向調査」によると、2011年12月末時点のインターネットの普及率(過去1年間にインターネットを利用したことがある人の率)は79.1%・利用者人口は9610万人。この調査結果における「インターネット利用」とは、6歳以上で、過去1年間にパソコン・携帯電話(スマートフォンやPHS含む)・ゲーム機・タブレット機などあらゆる端末でインターネットにアクセスした経験があるか否かのみで判断している。アクセス対象の機器を自分が保有しているか否か、利用目的が私的・仕事上・学校の学習用であるかなどは一切問われていない。要は「インターネットカフェで、備え付けの端末でネットサーフィンをした」「携帯ゲーム機でインターネットブラウザを使ってアクセスした」でも「利用者」に該当する。

「自宅」の「パソコン」など(タブレット型端末、インターネットテレビなど。携帯電話やスマートフォンの単独利用は、今件では含まれない)に対するインターネット接続回線の種類はブロードバンド(光、DSL、ケーブルテレビなど)・ナローバンド(ISDN、電話回線)のいずれなのか、そしてその普及率はどれほどのものなのか。複数回答なので双方を並列導入している・していた場合もあるが、ナローバンド回線は2007年から2010年の間は、毎年普及率が確実に減退していたことが分かる。ところが2011年では若干ながら増加の動きを見せた。ちなみに今件の母体は「自宅からパソコンなどでインターネットを利用している世帯」、2011年末なら1万1180世帯となる。

自宅パソコン等のインターネット接続回線の種類(世帯)
↑ 自宅パソコン等のインターネット接続回線の種類(世帯)

ブロードバンド回線の普及率(世帯比)は2011年末で81.9%。パソコンなどでインターネットを使っている世帯では、大体5世帯に4世帯が導入している計算。2006年から2011年までに10ポイント強増加している。ナローバンド普及率の減少に比べるとブロードバンド普及率の伸びが鈍いように見えるのは、インフラの整備が遅れていることや、「ブロードバンド・ナローバンド双方を使用していた人が後者の利用を取りやめただけで、ブロードバンドは元々利用していたから、ブロードバンドの普及率向上には寄与しない」と考えることができる。また詳しくは後述するが、2011年においてナローバンド回線利用率が再び増加しているのは、PHS回線を利用した事例の増加によるもの。

ブロードバンド・ナロードバンド双方において、具体的にどのような種類の回線を利用しているのかを示した利用率グラフが次の図。

自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(世帯/詳細)
↑ 自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(世帯/詳細)

【ADSLと光回線の転換点は2005年】【ブロードバンド契約数は2644万件、うちFTTHは33.3%に・DSLは微減】でも示しているように、かつてブロードバンド環境を一挙に浸透させた、ADSLに代表されるDSL回線は緩やかにその普及率を下げ、一方で光回線が急速に伸びを見せているのが分かる。

2011年においては、光回線は伸び率を縮め、DSL回線やケーブルテレビ回線、第三世代携帯電話回線(※パソコンなどに接続した事例のみ)が前年比で再び増加している。計測値の「ぶれ」以外にサービスの多様化や、各サービスの仕様上の向上が寄与した可能性がある(特に第3世代携帯電話回線は「データ通信専用」の定額プランなどで展開している、SIMカード利用者による動きの可能性が高い)。

一方でナローバンド回線では、ISDN回線・ダイヤルアップ回線共に減少を続けている。ところが一番目のグラフにある通り、ナローバンド回線そのものは2011年では増加傾向に転じた。資料に目を通すと「ナローバンド回線には上記以外に携帯電話回線(第3世代携帯電話回線及びLTE以外)、PHS回線がある」との表記があり、PHSが底支え・増加の後押しをしていることが想像される。

実際、電気通信事業者協会(TCA)の公開データからPHSの契約件数を調べると、2011年頭を底値とし、それ以降はこれまでの減少傾向とは逆に、増加する動きを見せている。通話プランやインターネット接続の手法の柔軟化(通信カードとして)が大きく寄与しているようだ。

PHS契約数推移(TCAデータから)(万件)
↑ PHS契約数推移(TCAデータから)(万件)



かつてナローバンド回線からインターネット接続環境の主役を奪ったDSL回線は、今や光回線とケーブルテレビ回線から、同じような主役争奪戦を挑まれて、劣勢に立たされている。2011年末時点では普及率順で光回線・ケーブルテレビ回線・DSL回線の順。

一方トップをいく光回線の普及率は52.3%。2011年でも「2世帯に1世帯」「過半数」の域に達してることは変わらないものの、やや普及スピードが足踏み状態となった感はある。自宅の固定回線でのブロードバンド化が進む状況は今後も変わらないが、スマートフォンやタブレット機の浸透などからも分かるように、機動力の高いインターネット端末の高速化に大きな需要が生じており、これに即した動きも見え始めている。

昨年の記事では「モバイル端末の進化・連動性と合わせ、劇的な変貌を待ち伸び見たいところだ」としめくくった。これについて、2011年分は急激な変化ではなく、少しずつ確実な動きの気配を感じさせる結果が出ていると評せよう。

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