松屋で豚しゃぶ丼新発売による効果があり、マイナス幅は三社最小…牛丼御三家売上:2012年5月分

2012/06/06 06:45

[吉野家ホールディングス(9861)]は2012年6月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2012年5月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス10.5%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年5月における売上前年同月比はマイナス6.3%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス10.8%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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吉野家のこの1、2年での動向を確認すると、同社では2010年9月から、メインメニューの牛丼より安価な「牛鍋丼」を発売、これが売上高アップに大きく貢献した。しかしその後は大きな新商品展開のイベントなども無く、オプションメニューの「小鉢」も大きな影響は与えていなかった。そして【吉野家でカレー…吉野家から「こく旨カレー」「旨辛カレー」登場】の通り2011年8月から「こく旨カレー」「旨辛カレー」の発売を開始。さらにトッピングとしてチーズも登場させている。

2011年9月には昨年発売した「牛鍋丼」をリニューアルすると共に、「追っかけ」のバリエーションを変更(【吉野家、「牛鍋丼」を新味に・「おくらとろろ」「とろりチーズ」を「追っかけ」に追加】)。これらの動きを受けて客単価は大きく上昇していたものの、11月にはそれも失速。昨月2011年12月分では【吉野家の「焼味豚丼 十勝仕立て」 、販売累計数300万食突破】にもある通り同年12月8日から発売を開始した新メニュー「焼味豚丼 十勝仕立て」 が好評を博して客数・売上共に5か月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。

今回の2012年5月分では4月分からさらに売上を落としている。同月では牛丼と共に発売しているカレー「こく旨カレー」「旨辛カレー」の美味しさ向上をうたったアピールが行われているが(「新登場」としてのスタイル)、これよりはむしろ昨年同月に行われた「牛丼110円引きセール」による客単価下落・客数増加の反動で起きた、客単価上昇・客数減少(前年同月比で)の影響が大きい。

↑ 牛丼御三家2012年5月営業成績
↑ 牛丼御三家2012年5月営業成績

昨年夏以降「復調」「本格的な回復はまだ先」という表現を重ねていた吉野家の客数だが、2011年12月分でようやく前年同月比プラスを記録した後は、起伏の激しい動きをしていた。今計測月では上記にある通り、1年前の大セールスの反動を受けてマイナス化しているが、仮に「2年前比」を算出するとマイナス2.9%となる。確実に客足は遠のいている(ちなみに売上の2年前比はマイナス9.2%)。

松屋の豚しゃぶ丼松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続するスタイルを踏襲している。今回5月分では【松屋で豚しゃぶ丼新発売】【お好み豚しゃぶ定食新発売!】など豚系の新商品を相次いで投入し注目を集めた。一方で昨年同月にはカレーや丼飯系商品の期間限定値下げを行っており、”この影響による「客単価減」「客数増」”の反動が大きく出る結果となっている。

すき家も他の2社同様に「昨年同月(2011年5月)に」主力商品の牛丼値引きで攻勢をかけており、これによって生じた「客単価減」「客数増」の反動が大きく出る形となった。もっとも客単価のリバウンドが他社と比べて低いのは、単純に2011年5月時点での客単価減少幅が小さかったことに加え、すき家、200円での朝食メニュー「たまごかけごはん朝食」を発売開始】でも挙げた廉価メニュー「たまごかけごはん朝食」が影響している可能性もある。

↑ [参考]牛丼御三家2011年5月営業成績(再録
↑ [参考]牛丼御三家2011年5月営業成績(再録)

5月分を各社一言ずつでまとめると、まずは「3社共前年同月に実施した牛丼・牛めしの大幅値下げセールの反動が大きい」とした上で、「吉野家…客単価は大きな上げを見せるも客数大幅減で売上マイナス」「松屋…客単価それなりで客数下げても売上高減は他社より小さめ」「すき家…客単価の上昇が思わしくなく客数減で売上大幅減客数減」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年5月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年5月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響に加え、消費マインドの変化、活力向上祈願も兼ねた安売りセールの連発などで、客単価や客数、そして売上は大きく変化している。それらの動きの反動も一因だが、売上高の点では今年に入ってから低迷感を覚えるところがある。

上記で一部試算をしているが、「2年前比」で各値を算出しても、各社ともあまり思わしい値は出てこない。景気低迷の折にはむしろ牛丼御三家のようなファストフードは活況を見るはずではあるが、その動きも確認できない。

今年はこれから夏に向けて、昨年以上の電力事情の問題が発生しうる。各社がどのような対応を見せ、むしろこれをバネとし、売上に反映させていくのか。気になるところではある。


■関連記事:
【牛丼御三家の店舗数推移をグラフ化してみる(2011年12月版)】

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