ルーマニアなどの悪化が目に留まる・若年層の失業率、スペイン51.5%・ギリシャ52.7%…EU失業率動向(2012年4月分)

2012/06/03 06:40

ヨーロッパ各国でも他国・他地域同様に「先進国病」とされる状況「若年層の高失業率」が深刻化している。それに関連する形で以前の記事にて、【EU統計局(Eurostat)】のデータを基に精査を行った。以降毎月定期的に、EU統計局の発表資料を元に最新情報のチェックをしている。今回はその2012年6月1日発表・同年4月分の値を基に各種グラフを更新。状況の把握を試みることにした(該当リリース:【April 2012 Euro area unemployment rate at 11.0%(PDF)】)。

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文中・グラフ中にあるEA17やEU27については一覧ページ【ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】上の解説部分を参考のこと。

ILO基準における2012年4月時点の発表データによる失業率は次の通り。なおこのグラフもあわせ今記事では、直近2月分のデータが未掲載(調査途中)の場合、原則としてその前の月分のデータを代用している。

↑ 2012年4月時点での失業率(季節調整済)
↑ 2012年4月時点での失業率(季節調整済)

スペインは相変わらず2割強の値を示し、ギリシャもそれに続いている。たかだか一か月ほどで状況の大きな変化があろうはずは無い(概して悪化の方向を進んでいるのだが)。そして、やはり債務問題でしばしば報道に登る国が上位についている状況を見ると、失業問題と経済・債務問題が密接な関係にあることが容易に推測できる。

今回も前回同様、前月(2012年3月)の値との差異を計算し、グラフ化を行う。失業率については(次の若年層周りでも同様だが)、国によって細かい修正が過去にさかのぼって行われることが少なくない。そこで前月比の算出の際に、今回計測月より前の月のものでも、最新のデータへ差し替えられているものがあれば(今回の場合は2012年3月分などが該当)、新しい値を入力し直した上で計算を行う。

↑ 失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2012年3月→2012年4月)(またはデータ最新一か月前→最新)
↑ 失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2012年3月→2012年4月)(またはデータ最新一か月前→最新)

最初のグラフでワースト2に挙げられた国は双方とも悪化。他にルーマニアなどの悪化が目に留まる(今グラフでは「プラス」は「悪化」を意味する)。

そして冒頭にあるように、特に問題視されているのが、若年層の失業率。25歳以下の失業率はEA17か国で22.2%・EU27か国でも22.4%を記録しており、5人に1人以上が失業状態。中でもスペインの51.5%、ギリシャの52.7%(2012年2月)を筆頭にポルトガルやイタリアなど、経済的に弱い国や労働市場での問題点を抱える国での高さ、急激に経済が冷え込んだ国の失業率増加が確認できる。

↑ 2012年4月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(4月データが無い国は直近分)
↑ 2012年4月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(4月データが無い国は直近分)

↑ 2012年4月時点での25歳以下の失業率・前月比(季節調整済)(4月データが無い国は直近分)
↑ 2012年4月時点での25歳以下の失業率・前月比(季節調整済)(4月データが無い国は直近分)

スロバキアの若年層失業「率」が急激に悪化しているが、人口(500万人強)の少なさによる「ぶれ」の可能性はあるものの、詳細は不明(他国同様、経済状態の悪化によることに違いは無い)。とはいえ直近の過去データを参照すると、2012年1月の時点で34.0%だったのが、3か月で5.3ポイントの悪化を見せている状況は留意しておく必要がある。

各国とも総じて若年層の失業率が高いのは、産業構造の変化、そして若年層が手掛けることが多い「技術が未習得で比較的容易な作業」が機械化され、為替レート上で相対的賃金の安い新興国に割り振られるのが主な要因。

さらに債務問題により国レベルで財政が悪化しており、その対策として緊縮財政が取られていることも大きな要素。一般的に緊縮財政をとれば国内の産業が冷え込み、経済は低迷してしまう。当然、労働市場も緊縮する。その上、高齢化により就労年齢が上がっていることから、必然的に「席が空かない」状態になり、若年層が割を食う事態に陥っている。その上すぐには利益の上での成果が出ない「若年層の労働訓練・修練」は「即戦力にならない」「結果が出ない」とばかりに軽視されるため、若年層の立ち位置はますます悪化する。

また、意図してか、結果論なのかは判断が分かれるが、【欧州の若年失業問題の整理に役立ちそうな記事】の例にあるように、「高齢者優遇」「若者冷遇」の雇用対策の結果(「(既存)労働者」の権利を手厚く保護するため、業績が悪化しても容易に現行労働者の解雇はできず、必然的に若年層を雇う余裕はこれまで以上に無くなる)が、若年層の失業率増加の大きな原因の一つとなっている。

日本でも2011年分の速報として労働力調査の最新データが公開されている。これを受けて【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】などを記事化したが、若年層の状況はやや改善したものの、やはり他世代と比べれば高い失業率は維持されたまま。労働市場、失業対策においては「他国と比べればマシだから我慢するように」では無く、「失業率の低い国々から有益な手法を学び、自国の状況改善に役立てられるかを検証」し、積極的かつ先行きが明確に明るい見える政策を「切実に」求めたいところだ。

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