業界規模は3.2兆円・お菓子の売れゆき具合をグラフ化してみる(2011年版)

2012/05/30 06:55

お菓子以前「全国菓子卸商業組合連合会」と「全日本菓子協会」が共同で設立した「e-お菓子ねっと製販代表会議」運営による【e-お菓子ねっと】で公開されているデータを元にした、日本のお菓子業界の動向を記した記事を掲載してからほぼ一年が経過した。改めてデータを調べてみると値が最新の2011年分のものに更新されていることが確認できた。そこで今回はその最新データ【元データ、2011年版、PDF】を基に、各種グラフを再構築することにした。

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元々お菓子は比較的景気動向の影響を受けにくい(単価が安く買いやすい趣向品は不景気でも買われる。むしろストレス解消のために購入頻度が高まる動きすら想定できる)傾向があり、さらに昨今では【82.8%が「購入経験あり」・女性はやっぱりコンビニスイーツが大好き】などでも触れているように、コンビニのスイーツへの注力に伴う洋菓子の低価格化が推し進められている。他方コンビニ来場客のシニア層の増加に伴い、【ローソンで新和菓子シリーズ「あんこや」スタート】などのように和菓子への注目も高まりを見せている。

昨年2011年に限った事象としては原材料の高騰に加え、震災に伴う物理的な損害、物流網の混乱、原材料調達の困難化、電力不足に伴う安定生産への懸念など、ネガティブな要因が相次いだ。それと同時に被災地に向けた支援物資としての調達需要、さらには今後の防災用として菓子需要の拡大も見られ、全体としては2010年比でほぼ横ばいを維持できた。

大きく動いた三項目を例に概況を抽出すると次の通りとなる。

・チョコレート
チョコレートは、企業間でのバラツキが見られたものの、東日本大震災発生以降、秋口にかけての需要が旺盛になり、数量・金額ともに前年を上回る結果となった。金額におけるプラス要因としては、高価格商品の投入や比較的高価格の定番商品が多く動いたことが挙げられる。

・チューインガム
チューインガムは、東日本大震災に起因する原料及び包材の供給不足の影響を受け、生産体制の見直し、商品の絞り込み及び新商品の発売中止や延期などの対応を余儀なくされたものの、夏場以降、生産状況は正常化している。ただし、震災発生後、遠出を控える風潮により顕著になったチューインガム消費の減退、若年層の車離れやガソリン価格高騰による運転機会の減少など、外向き消費の傾向が強いチューインガム市場にとっては厳しい状況が続いたことから、数量・金額とも前年を下回る結果となった。

・和生菓子
コンビニエンスストアで販売される和菓子の売上げが伸長している等の報道がある中で、一般家庭での消費については、若干の購入単価の低下がみられたものの、健康志向の高まり等による販売数の増加がみられたこともあり、ほぼ横ばいで推移した。贈答品需要については、東日本大震災以降の景気低迷の影響による購入価格の低下と購入数量の減少があり、また、法人需要も引き続き低調であることから、売上げは減少を余儀なくされている。全体として、規模の大小に関わらず売上の状況については事業者間の格差が拡大する傾向が続いている。

震災に影響を受けたこと自体は同じであっても、どのような作用が生じて売上を上下させるかはお菓子の種類それぞれ。上下方向への動きの違いという差異の現れは、興味深いものがある。「チョコレート」の増加は多分に非常食代わりとしての部分があるし、「チューイングガム」は震災の直接影響以外に中長期的な運転機会の現状も影響を与えていること(運転機会の減退そのものは、震災後の自粛ムードなども大きく関わっていることを考えれば、やはり震災起因によるものが大と見なすべきか)、「和菓子」は「震災以降、贈答品の単価・数量で減退傾向」「法人需要も低迷」という、お菓子業界の視点における景気動向がかいま見れ、注目すべき点が多い。

さて分野別の売り上げ高だが、和生菓子がトップで約4650億円。次いでチョコレートが約4400億円。和菓子、スナック菓子などが続き、合計は3兆1953億円(小売りベース)。前年比82億円減(-0.3%)。

↑ 菓子小売金額の構成比率(2011年)
↑ 菓子小売金額の構成比率(2011年)

↑ 菓子小売金額(2009-2011年、億円)
↑ 菓子小売金額(2009-2011年、億円)

上記でも触れているが昨今の高齢化の後押しを受けてか、和生菓子のシェアが伸びていること、チョコレートが大きく飛躍したことが分かる(チョコのシェアは前年2010年の3位から2位に浮上している)。

最後は売上高の前年比。他業種の同様のグラフと比べると2ケタ台のような下げ率は無く減退率は少なめ。ただし震災に影響を受けた区分では、やや大きめな動きが起きていることが分かる。

↑ 菓子小売金額前年比(2009-2011年)
↑ 菓子小売金額前年比(2009-2011年)

和菓子は個人消費ベースでは伸びているものの、個人贈答品ベース、さらには法人ベースでの減退が大きく、この数年はマイナスが続いている。チューインガムの減り様は元々自動車の利用性向の減り様が作用していたが、震災によってさらに下げ幅を拡大した雰囲気がある。

また、個人消費の窓口として欠かすことが出来ないコンビニで、取り扱われることが多い項目は、チョコレートを除けば押し並べて軟調であるのも見て取れる。昨今では各社がさらにお菓子、特に和生菓子に注力するにあたり、お菓子業界全体にどのような影響を及ぼすのか。そして今件のような年間計測値に変化が生じるのか、今後の動きが気になるところだ。



おせんべい冒頭でも触れているように、お菓子、特に甘味系のものは景気後退時にも手堅いアイテムとして知られている。しかし贈答品としてのお菓子の活躍の場が減り、旅行機会が減ることで土産品としてのお菓子の売り上げが落ちるなど、少なからぬ影響を受けている状況も確認できる。

今件2011年分では震災による影響が大きいものの、プラス要素とマイナス要素が入り混じり、個々の種類別では大きな変化が現れたが、全体としてはほぼ前年と変わらない結果に終わった。他方、震災による影響以外でも、上記で触れた「外出をひかえる傾向・自動車離れに伴うチューイングガムの売上減少」「贈答品需要の減少に伴う和生菓子の売れ行き不振」のような、社会的現象に伴うお菓子販売の動きが随所に確認できる。一般消費者ベースでの経済の動きを知る上で、お菓子業界の動向は良い判断材料となるに違いない。

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