広告が減り、記事量が増える…新聞の広告掲載「量」と「率」動向(2012年発表)

2012/05/28 06:50

先に【1年間で98万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2011年分・新聞業界全体版)】なとで日本新聞協会が提示しているデータを元に、日本国内の新聞業界における各種状況を精査した。これらのデータは大きく「年明けと共に」「年度切り替え後」「初秋」の3期間のタイミングで更新されており、今は2つ目以降について最新の数字への切り替えを待っていた状態。そして先日そのうち、新聞の広告掲載「量」と「率」に該当する部分の値の更新が確認できた。そこで今回はその記事・グラフの最新版を作成し、新聞の広告掲載「量」と、掲載文面全体における広告の「率」についてグラフ化、昨今の新聞事情を推し量ることにした。

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データ取得元は【新聞広告費、新聞広告量の推移】(前回記事からURLが変化しているので注意)。ここから新聞広告量と新聞総段数を取得。総段数から広告量を差し引いて「記事量」を算出する。厳密には広告以外がすべて記事ではないのだが、誤差の範囲に収まるレベルなのでここではまとめて「記事」としておく。なお「段」とは言葉通り、新聞の文字列を構成する横線の段組み。左端から右端までの1ライン分で1段として構成単位をカウントする。

↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)
↑ 新聞広告量・新聞記事量推移(万段)

総段数は数年前まで増加の一途をたどっていたが、広告量は横ばいか漸減を見せていた。明らかに大きな動きが確認できるのは2007年以降。記事総段数も多少は減っているものの、それ以上にダイナミックなまでの総広告量の減少が見て取れる。

そもそも論としてこの時期には新聞発行・購入部数の減退に歯止めをかけるため、文字数の大型化・段数の減少化、いわゆる「見やすくするためのリニューアル」を図っており、それが多少なりともその動きが影響している。記事総段数の減少はそれによるものと思われる。しかし総広告量の減少はそれだけでは説明が出来ない。この数年で2割に届かんばかりの広告「量」の減少である。

2011年の動向としては、記事の量はやや増加したものの、それ以上に広告量は減少。結果として総段数も減っている。広告量の減り方は記事のそれとは比べ物にならないくらいダイナミックで、当然「新聞全体に占める広告の総段数率」は減少していく。

↑ 新聞広告掲載率推移(段計算)
↑ 新聞広告掲載率推移(段計算)

総段数グラフでは「さほど」変化がないように見えていた広告掲載率も、実はこの10年強の間少しずつ減少していたこと、直近の数年では下げ方がキツいものになっていることが分かる。ただし、2000年前後の数字を見ると、前回の不景気(俗に言うITバブル崩壊、インターネットバブル崩壊時)にも1年で1ポイント強の下落率が確認できており、「不況のたびに広告掲載率が下がり、景気が回復しても広告は回復しない」という新聞の状況が把握できる。そしてこの数年は、金融不況により広告の掲載率が急降下状態にある。

2011年においては下げ幅は再び加速し、下落傾向に弾みがついた形。「このままのペースで進むと、早ければ2011年、遅くとも2012年には1/3、すなわち33.3%を割り込む事態も考えられる」とは昨年の記事の言い回しだが、今回2011年分で早くも割り込んでしまった。



後ほど記事をあらためて解説・分析することになるが、新聞の広告掲載「量」と「率」の減少だけでなく、実は概算ではあるものの単位分量あたりの広告「料」減少も確認できる。昨年までの分は【企業が払う新聞広告費と広告費相場の変化をグラフ化してみる(2010年分反映版)】にある通りで、これも後ほどデータを更新する予定。毎月定期的に報告している経済産業省の広告費推移(直近では【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2012年5月発表分)】)を見ても軟調動向を続けているのが分かるように、新聞の広告料は減少を続けているのは確かな話。

広告単価を下げても出稿「量」の減少にはどめがかからず、広告掲載率も減少の一途をたどっている。新聞というメディアが社会にとって必要不可欠なものに違いはないが、多種多様な要素から構成されるメディア全体の中で、立ち位置が変わりつつあることも否定できない。そしてそれと同時に、新聞というシステムそのものだけでなく、新聞を構成するコンテンツ、さらにはそれを創る「中の人達」への精査、あるいは自己改革を求める声が、広告周りの動きに現れているとする考え方も、あながち飛躍したものではないともいえよう。

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