過去60年にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる(2012年3月分までデータ反映版)

2012/05/25 06:55

グラフイメージ先日から【年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)】などで、総務省統計局による【家計調査報告】を元にした記事の更新を行っている。その際、以前各記事を更新した時に、連動する形で消費者物価指数動向も古いデータで記事の展開をしていることが分かった。この短期間では大きな変動は無いはずだが、2011年分に関しては暫定値的な状態のままになっていることもあり、良い機会なので今回はこれを更新しておくことにする。

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モノやサービスの値段の高い・安いを判断する場合、単純に金額の移り変わりだけでなく、当時の物価を考慮して考えねばならない。昔の100円と今の100円では、金額は同じでも買えるものには大きな違いがあり、価値は当然違いがあるからだ。

そこでこれまでいくつかの記事で用いた、価値を標準化するための「指針」が「消費者物価指数」。消費者物価指数そのものは【総務省統計局の定義】によると、

全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの。すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもの

となる。全般的な視点から、物価が昔と比べてどれだけ上下したかを知る指針という次第。

総務省統計局の消費者物価指数のデータでは一定期間より前のものは掲載されていない。そこで日本銀行の【消費者物価指数に関する掲載データ(「昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?」)】のうち、「消費者が購入する際の商品およびサービスの価格(東京都区部)」から「持家の帰属家賃を除く総合(年平均)」を用いることにした。年ベースまで算出されている2011年はそのままトレースし、2012年分については総務省統計局の【平成22年基準 消費者物価指数 東京都区部 平成24年4月分(中旬速報値)】の「最新の詳細結果表(月報掲載表へ)」からe-Statで提示されている3月分までの中から必要なデータを抽出し、年平均値を算出。その上で、前回同様に1950年の値が1.000だった場合の、値の変動をグラフ化したのが次の図。

↑ 消費者物価指数推移(1950年-2012年)(1950年の値を1.000とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(2012年は3月まで)
↑ 消費者物価指数推移(1950年-2012年)(1950年の値を1.000とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(2012年は3月まで)

このグラフは例えば、1950年に100円だったものが2012年には約790円になっていることを意味する。もちろん【50年前の商品の価格を今の価格と比較してみる(日本編)】でも解説しているように、具体的な品目によって値上げ幅は大きく異なる。そしてそもそも論として「60年前と現在でまったく同じ品質・量・需給関係の商品が存在するのか」という問題もある(卵などごく一部の商品は、その品質・分量はほぼ一様だろうが、需給関係などは大いに変化している)。あくまでも概念・参考値としての物価変動の動きを知るためのデータとして見てほしい。

さてその「全般的な物価動向」だが、1990年代頭までは一様にして上昇傾向にある。言い換えれば「インフレが進んでいる」。特に1970年代から1990年前後までは急激な上昇が確認できるが、この期間に「高度経済成長」「二度のオイルショック」「ニクソン・ショック」などが含まれており、複数の要因が物価を押し上げたことが分かる。

そして1990年以降は物価はほぼ横ばい。【灯油+29.2、スパゲッティ+30.2%、即席めん+18.4%……必需品で急騰する物価】でも触れているが、消費者物価指数を構成する要素そのものに、消費者の一般生活とのかい離があるのではないかとする指摘もある。しかしそれを指し引いたとしても、この20年間ほどは物価が安定している、むしろ直近10年では下がる傾向を見せているのが分かる。

さらに最近の動向が分かりやすいよう、過去20年間に絞ったグラフも作成した。

↑ 消費者物価指数推移(1991年-2011年)(1991年の値を1.000とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(2012年は3月まで)
↑ 消費者物価指数推移(1991年-2012年)(1991年の値を1.000とした時、持家の帰属家賃を除く総合)(2012年は3月まで)

この20年間では物価は上昇してもせいぜい5%(1.05)、そして21世紀に入ってからは(数年前の資源高騰に伴う物価上昇がイレギュラーだが)全般的には下げ基調にある。いわゆる「デフレ感」を裏付けるものといえよう。

なお2012年はいくぶん戻しの動きを見せているが、これは元々3か月間のみという短期間で平均値を出したこと、この期間ではガソリン価格の上昇が著しく、それが多分に影響を与えたのが要因。できれば半年後位にもう一度機会を得て、再計算を行いたい。



物価の安定は消費最小単位の家計から見れば、決して悪い事では無い。ましてや昨今はデフレ傾向が強まり、消費財の価格が下落する傾向が見て取れる。この状況を見て、「喜ばしい事だ」とメディア上ではしゃぐ”自称”経済評論家も少なくない。

しかし外食産業やコンビニの事例に代表されるように、いわゆるデフレ化の傾向が続くと、小売業、さらにはそこに商品を卸す輸送・生産を行う製造業には負担が蓄積される。同じ数だけ商品を売っても、今までより売り上げが減るのだから、当然利益も減る。しかもコスト(原材料だけでなく人件費なども含む)はあまり変わらないので、利益は圧迫される。当然負担増は人件費などで対応せざるを得ず、従業員の給与引き下げ、さらには雇用調整の引き金となりうる。

物価のゆるやかな上昇は、経済の発展をも意味する(1970年以降の動きが好例である)。需給の関係を考えれば一目瞭然。その観点から物価を眺めると、この20年間日本経済はほぼ停滞していたことになる。そして昨今のデフレ化は、手放しで賛美する状況とは言いきれまい。

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