年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2011年分データ反映版)

2012/05/22 12:00

総務省統計局は2012年5月15日、【家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成23年平均結果速報-(二人以上の世帯)】を発表した。そこで今回から何回かに分けて、「家計調査報告(貯蓄・負債編)」を元にした過去の記事のデータ更新と内容の確認を行うことにした。今回は世帯主の年齢別、お金周りの動向をざっと知ることができる、年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化した記事の更新である。

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統計データなどは主に【家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成22年平均結果速報-(二人以上の世帯)】内の詳細レポートから。場合によっては不足データをe-Statで公開している詳細データで補完・独自算出する。なお「勤労者世帯」とは世帯主が勤め人である世帯。ただし社長などの役員は「勤労者以外」とする。つまり世帯主が役員、個人営業世帯、無職世帯(年金生活で世帯主が働いていない場合も含む)などは今件データには含まれない。

まずは年間収入の推移。

↑ 年間収入推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 年間収入推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)

30歳未満の収入が少ないのは当然として、あとは年齢が上がるにつれて収入も増えていくのは、年功序列制度と実績の積み重ねのたまものといえる。60歳以上になると一度定年退職をした後に(退職前よりは安い賃金にて)嘱託などで雇われた人、アルバイトなどで年金・退職金の補てんをする人なども含まれるので、平均的な収入は落ちることになる(それでも30代よりは多い)(【「年金」「給料」「私的年金」…60代前半シニア層の三大主要収入】)。一方、2002年以降の中期的動向においては、各世代において右肩下がり、つまり漸減しているのが確認できる。

次に「現在貯蓄高」。これは負債を考慮しない、単なる貯蓄の額(預貯金、生保の掛け金、有価証券、社内貯金、共済などの貯蓄の合算。個人では無く、世帯全体の貯蓄を意味する)。例えば借金が1億円あっても100万円の貯金があれば、貯蓄額は100万円になる。この例は冗談のように聞こえるが、多額の住宅ローンを抱えていれば有り得ない話ではない。

↑ 現貯蓄額推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 現貯蓄額推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)

60歳以上の平均値が2007年には急上昇している。これは、団塊の世代が定年退職を迎え、退職金を手に入れた該当年齢の人が急増したことによるものと思われる。最新の2010年にも似たような現象が起きているが(前年比プラス221万円)、起因も同じものだろう。

一方でその他の年齢層は横ばい-下降の傾向を見せているが、これは年収の動向と同じ。そして全体像としては、経年による蓄財の結果がそのまま数字に表れる形であることに違いは無い。つまり「歳を重ねるに連れて歳の分だけ蓄財も増えていく」、言い換えれば「若年層ほど蓄財年数が少ないので貯蓄額も小さい」という次第。

負債額の推移を見ると、以前の記事で言及したように、2007年、そして2008年に至るまで、特に30歳未満・30歳代が負債を大きく増やしているのが確認できる。

↑ 現負債推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 現負債推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)

2007年の全体的な貯蓄の減少・負債の増加は、景気の急激な悪化に対する影響が一端にあると見てよい。そして2010年においては再び似たような状況が生じていた。2011年には40代でやや改善されたが、30-40代の負債額の大きさは目に留まるところがある。これは主に住宅ローンのプレッシャーによるもの。それが確認できるのが次のグラフ。

↑ 住宅・土地のための負債額推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 住宅・土地のための負債額推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)

額こそ違えど「現負債推移」と「住宅・土地のための額推移」は、各年齢層毎の動向がほぼ一致しており、30歳未満-40代の層が2007年-2008年にかけて、少々背伸びをして住宅を購入したようすがうかがえる。逆にいえば、各世帯における負債のほとんどは住宅ローンで占められていると見てもよい。実際、年齢的にほとんど住宅ローンを返済し終えた60代世帯は、負債をあまり抱えていない。

また、2011年に焦点を当てると、各世代で額の縮小が確認できる。自らの収入に合わせた、手の届く範囲の住宅取得に切り替えて「背伸び」をしなくなったのか、あるいは取得そのものをあきらめた様子が想像できる。あるいは相場そのものが減退しているのも一因だろう。

世帯による負債の大部分が住宅ローンであることから、当然に純貯蓄額(単純貯蓄残高-負債現在高)も、負債の負担が小さい、そして経年による蓄財の大きい高齢層の方が高い値を見せる(【40代までは住宅ローンで首が回らず…二人以上世帯の貯蓄・負債・純貯蓄高をグラフ化してみる】などで示されたデータの裏付けともいえる)。

↑ 純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)

特に「背伸びをして住宅を購入した30歳未満・30歳代」は2006年以降、純貯蓄額がマイナスに落ち込んでいるのが分かる。住宅ローンは表現を変えれば「住宅という蓄財の証」でもあり、一概に負債としてネガティブにとらえるのは違和感もあるが、それでも毎年一定額をローン返済に回される限りにおいては、精神的・金銭的なプレッシャーは小さくない。



今回のデータでやや気になったのが、30歳未満・30歳代の傾向。特に30歳未満は貯蓄や住宅・土地のための負債額の動きで、近接世代とは異なる動きを見せている。そこで「二人以上の世帯のうち負債保有勤労者世帯」(≒住宅ローン保有者)から、全世代平均と若年層のみを抽出したのが次のグラフ。

↑ 住宅・土地のための負債額推移(二人以上世帯のうち”負債保有”勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 住宅・土地のための負債額推移(二人以上世帯のうち”負債保有”勤労者世帯)(単位:万円)

↑ 純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)(二人以上世帯のうち”負債保有”勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)(二人以上世帯のうち”負債保有”勤労者世帯)(単位:万円)

30代は(住宅)負債を減らし、貯蓄額が増加(絶対額はマイナスだが)している。年収が減っているので少しでも負債を減らす努力をした、あるいは稼ぎ相応のローンを組んだのかもしれない。ところが30歳未満になると負債額は増加し、その分貯蓄がわずかながら減退(さらなるマイナス化)の動きを見せている。景気動向を見極め、少しでも金銭的な余力を増やそうとする30代(以降)と、負債を積み増している(積み増さざるを得ない)30歳未満の間に、住宅取得に対する動きの違いが見えてくる。

もっとも中長期的に見ると「30歳未満…2007年-2008年以降は住宅取得の負債、純貯蓄額は横ばい」「30代……住宅取得の負債は漸増、純貯蓄額はマイナス値を積上げ」の動きを示している。【首都圏新築分譲マンション購入者の概況をグラフ化してみる(2011年分データ反映版)】にもローン借入総額平均が増加しているのが確認できるが、それと合わせ見ると納得するというものだ。

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