上場企業で電力不足見通しは6割、しかし対策実行済み4割・検討中4割強…うち9割は作業場の省エネ化

2012/05/20 06:50

電力不足経済成長フォーラムは2012年5月18日、上場企業経営者に対する経済成長と今夏電力不足への対応に関する調査結果を発表した。それによると調査母体企業においては、今夏の見通しとして「電力不足になる可能性が高い」とする企業がもっとも多く6割強に達していた。一方で回答時点ですでに電力不足対策をしている企業は4割程度に留まっている(【発表リリース】)。

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今調査は2012年4月20日から27日にかけて国内上場企業経営社(者)201社に対して行われたもので、業種分布は製造業34.3%・その他サービス業11.9%・小売業10.4%・卸売業6.5%など。

先日【関電管轄に15%節電「要請」…今夏電力需給対策発表】でも示したように、5月18日に開催された「電力需給に関する検討会合(第6回)・エネルギー・環境会議(第8回)合同会議」において、今夏の電力需給対策に関する各種決定・発表が行われた。地域によっては昨年以上の電力需給の厳しさが予想される。

4月下旬時点での調査であることに留意した上で。今夏の電力不足見通しについて聞いたところ、不足する可能性が高いという意見は6割強に達した。低いとの見通しは3割程度。

↑ 今夏の電力不足見通し
↑ 今夏の電力不足見通し

「電力不足」という言葉が何を意味するのか、今件設問は曖昧・抽象的なとらえ方をされかねない表現であり、解釈の違いによる錯誤が多分に生じている可能性はある(これは今調査に限らず世間一般にいえること)。

自分の手元の灯りが戦中・戦後の動乱期のようにしばしば消えたり、電圧不足で暗くなる状態ではじめて「電力不足」を意味するのか、通常ならばありえない・想定されない「電気機器の24時間100%完全正常稼働が成されない供給不足」が懸念されるのか、「2010年夏期以前と同様の節電レベル」を超えた節電を需給上の問題から要求されるのか。今件は上場企業の回答である以上、最初の選択肢の可能性は無いと思われるが、そして4月下旬の調査であるとはいえ、やや目算が甘いと思わざるを得ない。

さらに電力不足に対する具体的な手立てを打っている企業は4割に留まっている。検討中の企業が4割強いるのが幸いだが、何もしていない企業(検討すらしていない)が16.4%もいるのが気になる。

↑ 今夏の電力不足に対する具体的な対策
↑ 今夏の電力不足に対する具体的な対策

対策済み、あるいは対策検討中とした企業に具体的な方策を聞いた結果が次のグラフ。トップは工場や事務所などの省エネルギー化。LEDの導入や待機電力周りの節約が出来るタップスイッチの利用、エアコンフィルタのこまめな掃除の仕組みを取り入れる、機器の省エネタイプへの更新など、細かい部分まで含めれば打てる手は山ほどある。

↑ 電力不足対策(複数回答)(対策済み・検討中企業限定)
↑ 電力不足対策(複数回答)(対策済み・検討中企業限定)

第二位は実行率が大きく下がるが「休日や休業日変更」。要はピーク時の利用電力量の減少を狙ったもの。一見合理的な話に聞こえるが、関連企業や顧客との関係を考えれば容易にできるものではなく、実施したとしても周囲企業・顧客に負担を増やすことになる(場合によっては実施した企業自身にも)。

ほぼ同じ値で第三位についたのは「自家発電設備の新設や増設」。これは主に計画停電、そして不足の停電に備えたもので、半ば保険のようなもの。従来から整備している企業も(上場企業である以上)多いはずだが、リスクが生じる可能性が増えた以上、あらかじめ「チップ」を積み増しておくのは当然の対応となる。

懸念されている産業の分散、海外移転はまだ少数意見だが、今件が上場企業の回答であることを考えると、例え少数比率のものでも無視することはできない。これもまた「電力需給問題から生じる国富の海外流出」と見なされるべきではある。



無理な省エネは逆にコスト増・現場スタッフの負担増となり、間接的に省エネに反する行為になりうる。安売りの卵を購入するためだけに、自動車に乗って遠くのデパートまで買い物に行くようなものだ。特に企業においては、生産性の減退は巡り巡れば反・省エネに結びつくことも多分にあるため、バランス感覚が求められよう。

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