リニューアル反動で「Cocohana」が大きなマイナス…少女・女性向けコミック誌部数動向(2012年1月-3月)

2012/05/22 06:55

先日まで【社団法人日本雑誌協会】が2012年5月8日に発表した、2012年1月から3月分の印刷部数データを元に、いくつかの定期発刊雑誌の動向をグラフ化し、分析した。今回は少女・女性向けコミック誌の雑誌について、グラフ化と状況の把握を試みることにする。なお当方(不破)は男性で女性誌には疎いことから、数字そのものは別としても、内容分析については的外れなことを述べている可能性もある。その点はあらかじめご了承願いたい。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少女向けコミック誌。少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」の立ち位置に「ちゃお」がついている。これは前回と変わりなし。

2011年10-12月期と最新データ(2012年1-3月期)による少女向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年10-12月期と最新データ(2012年1-3月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」のように100万部超の世界には届かないものの、他誌に比べて「ちゃお」が言葉通り「群を抜いている」様子が分かる。直近データでは63.5万部。販売実数はこれよりも少なくなるので、50万部強くらいと見てよい。第2位の「別冊マーガレット」の3倍近くに及んでいる。ただしこの63.5万部も、データが確認できる2008年7月-9月期以降における最盛期の値86.7万部から比べれば、20万部強ほど数を減らしている計算になる。

直近の動きとしては青棒より赤棒の方が短い、つまり前期から部数を落とした雑誌が多く見受けられる。単純な雑誌離れ以外に、年度末に向けて進学や就職などによる、定期購入雑誌の差し替えが行われたことも重なった結果かもしれない。

続いて女性向けコミック誌。こちらは横軸の区切りが小さめ(2万部単位)ということもあるが、いくつかの雑誌で大きな変動が確認できる。

2011年10-12月期と最新データ(2012年1-3月期)による女性向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年10-12月期と最新データ(2012年1-3月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

トップは前回に続き「YOU(ユー)」がそのポジションを維持できた。今誌はいわゆるレディースコミック誌で、元々は「月刊セブンティーン」の特別別冊。数々のテレビドラマ化作品も生み出した、足掛け30年以上の歴史を持つ老舗雑誌でもある。第2位の「BE・LOVE」同様、レディースコミックの強さを再認識させる。

また前回の記事でも言及したが、以前「コーラス」という名前だった雑誌について、今回から「Cocohana」と表記を代えている。これは2011年11月28日に「コーラス」が「Cocohana」にリニューアルしたことを受けてのもの。前回解説したように、新創刊的な意味合いの強いリニューアルが行われ、それに合わせて発行部数も大きく引きあげられたものの、今期では早くも失速してしまった。

さらに「別フレ2012(2011)」は発売間隔が2か月おきで、本来なら毎四半期単位で印刷実績の公開があってしかるべきなのだが、この1年では四半期ごとに公開・非公開を繰り返している。今回は公開の期のようでデータが開示されたが、前期との比較は叶わない。

さて「少女・女性向けコミック誌」としての記事は今回が6回目となり、一年前の同期データも参照が可能な状態にある。そこで他の分類同様に、印刷数変移をグラフ化する。まずは最新期と前期の変移率。要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったのか、その割合を示すもの。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年1-3月期、前期比)

赤描写対象の雑誌名は異なるものの、経常的には前期の同グラフとほぼ同じ形。つまり「ごく少数がプラス、多数はややマイナス圏だが誤差範囲、一誌が大きくマイナス」。やや下値安定と表現可能な状況で、決して安穏とできる結果ではない。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)
↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2012年1-3月期、前期比)

前回の記事、そして上記でも触れたように、「コーラス」からリニューアルをした「Cocohana」だが、リニューアル時の大規模な部数引きあげの反動を受けて、今期ではもっとも大きな下げ幅を示している。「この伸びが雑誌の内容・人気に沿うものであれば、次期以降も初期実績(13.0万部)は維持できるはずだ」とは前回のコメントだが、それは難しかったことになる。

今回期では上部横軸のメモリを見れば分かるように、プラス圏の雑誌が無い。前期がその前の期の震災起因による下げからの反発による上げを見せたからなのも一因だが、ここまで一律にマイナスを示されてしまうと、「5%未満は誤差の範囲」という表現だけでは片づけにくいものがある。

なお前回期で、「うさぎドロップ」がアニメ化・実写映画化ことを受けて大きく部数を伸ばした前々回期の反動から値を落とした「FEEL YOUNG」だが、今回は引き続き大きな下げを示している。勢い余って失速が加速化した感は否めない。

続いて「前年同期比」の値も算出する。いわゆる「季節属性」を考慮しなくても済む(例えば今回なら、2012年1-3月と、その1年前の2011年1-3月分の比較)ので、純粋な雑誌の販売数における、年ベースでの伸縮率が把握できる。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年1-3月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年1-3月期、前年同期比)

前年同期比も厳しいのは男性向けのコミック誌同様で、少女向けコミック誌ではすべてマイナス。しかも5%超の下げ幅を見せた雑誌が10誌、10%超は6誌に及んでおり、前期からはさらに悪化しているのが分かる。特に後者、10%超マイナスの雑誌は常連的顔ぶればかりで、そろそろ本格的にテコ入れが必定、お尻に火がついている状態にある。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2012年1-3月期、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2012年1-3月期、前年同期比)

こちらは唯一「CIEL」がプラス。前回期の記事では「Cocohana(コーラス)」も共にプラス圏にあったが、上記にあるように部数そのものが失速したため、前年比でもプラスを維持することは叶わなかった。また、「ARIA」は1年で部数が30%以上落ち込んでいる。元々2010年7月創刊の比較的新しい雑誌ではあるが、直近データでは部数1.2万部。今年の第2四半期以降はこの値を1年間継続している。ある意味安定期だが、1年前の同期との比較の為、このような結果となった次第。「非日常的ガールズコミック」がキャッチコピーの今誌、今後は持ち直して、印刷部数面での「非日常」を見せてくれるだろうか。



今期は「前期比では震災の各種影響もほとんど姿を消す」「前年同期比では震災起因の減少による反動で大きなプラスが期待できる」環境下における結果であったものの、フタを開けてみれば双方ともマイナス値ばかりが目立つ結果となった。「CIEL」の「ボーイズラブ・ストーリー」に代表される、「オンリーワン」的特性を持つ雑誌の輝きぶりはまだかすんでいないものの、全般的に息切れ感は否めない。2期前の「別冊花とゆめ」の「ガラスの仮面」、「FEEL YOUNG」の「うさぎドロップ」のような、掲載誌を大きく活性化させるタイトルも見つからず、苦戦が続いている。

複数ラインで「大家」あるいは「大きな底上げをする」ビックタイトルがあれば、継続的な飛躍が期待できる。しかしそれは少年・男性向けコミックをはじめ他ジャンル同様、今では難しい話というのが現状。

次期は「前年同期比」では震災起因で大きく減った2011年4-6月期との比較となるため、前年同期比ではやや荒い動きが予想できる。ただし現時点で震災以降の動向を確認した限りでは、2011年4-6月期で大きく値を落とした雑誌の多くが、そのまま低迷を継続しており、状況はさらに複雑化の様相を呈するかもしれない。

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