大きな動き無く上位はギリシャとキプロスのまま(国債デフォルト確率動向:2012年5月)

2012/05/15 12:00

2010年12月17日にて掲載した記事で説明したように、経済動向を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つCPDを元に、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月から1か月単位で確認している。今回は2012年5月分として、15日時点の数字についてグラフ化を試みることにした。

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国公債のデフォルト確率を表すCPD(5年以内のデフォルト可能性)そのものの細かい定義、データの取得場所、そして各種概念は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で解説済み。そちらを参照してほしい。

今件のグラフは日本時間で2012年5月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。今回は前回からあまり大きな変動は無く、上位10位の登場国・地域はすべて継続されている。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年5月15日時点)

2か月前に「デフォルト扱いされて『確率』の上で100%となり掲載対象外になった」「CAC(ギリシャ債務交換において発動された集団行動条項)でランキングのはるか下までCPD値が減少した」のいずれかの理由で10位内からは脱落していたギリシャは先月、何も無かったかのように高値で復活したが、今月も同じような状況が続いている。CPD市場では「CAC周りでハードルを超えていても、ギリシャのCDSリスクは高いまま」という認識と考えられる。

さらに昨今ではそのギリシャの組閣が思うようにいかず、状況次第ではユーロ圏の離脱もありえるのではないかとの話も「以前と比べて」高い確証度で持ちあがるようになり、ヨーロッパの債務リスクは再びかさ上げされつつある。最大当事国のギリシャ自身のCPDがやや低めに動いたのは、単なる誤差か、それとも何らかの皮肉か。

先月からの動きと比較すると、アルゼンチンの比較的大きな上昇(プラス4.6ポイント)を除けば、ヨーロッパ諸国で状況の悪化が確認できる。また上位陣を良く見直すと、【スペイン・ギリシャ共に若年層の失業率50%超でなお増加中…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2012年3月分)】などでも示しているように、失業率の高い国と一致する事例が多く、財務状態と雇用市場の連動性を改めて知る事ができる。

他方、前月でもやや奇妙な動きとしてチェックを入れたアメリカ合衆国内のイリノイ州の公債CPDが今回も第9位に位置している。「上位常連のスペインより上」と表現すれば、そのリスクが容易に理解できるはずだ(経費削減のため、刑務所の食事について週末・祝日は一日二食にするという話も漏れ伝わっている(【刑務所は週末ブランチに=経費削減で米イリノイ州】))。

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版[2012年第1四半期リスクレポート(CMA Global Sovereign Debt Credit Risk Report、PDF)]で確認できる。それによると、CPDは8.0%・格付けはa+で順位は16位。2011年第4四半期の値がCPD値11.2%・格付けaa-・順位20位なので、状況は改善、世界各国との相対的なリスクも低下している。ただ、格付けが一段階下がったのが気になるところ。

先月「結局付け焼き刃的な雰囲気」と評したギリシャ問題も、早速関連する別方面から新たな火が上がってきた。まさに「一見消えたように見えた火種」が、実は消えておらず延焼を始めた状態にある。このような状況だからこそ失業率の動向と合わせ、債券リスクに絡むCPDの値は、各国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなりえる。今後も失業率同様、CPD値には注意深く監視の目を向けたいところだ。


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