公立中3、私立は小6がピーク…塾費用などの補助学習費実情(最新)

2023/01/13 03:02

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022-1223よい学校に進学させるのに欠かせないハードル「受験」をクリアするために、多くの保護者は自分の子供を塾に通わせたり、家庭教師を雇っている。これらの費用は平均でどれほどのものなのだろうか。文部科学省が2022年12月21日に発表した、2021年度(2021年4月1日-2022年3月31日)版の「子供の学習費調査」の概要を基に、これら家庭教師や学習塾の費用がメインとなる「補助学習費」の動向について、学年別の詳細を確認し、その現状を見ていくことにする(【子供の学習費調査】)。

スポンサードリンク


子供の学習にかかる費用は総じて「学習費(総額)」と呼ばれている。これは「学校教育費(授業料やPTA会費、制服、遠足代など)」「学校給食費」「学校外活動費(家庭内学習費や各種塾月謝、図書費など)」で構成されている。今回はこのうち最後の「学校外活動費」に含まれている「補助学習費」(学校外活動費=補助学習費+その他の学校外活動費)にスポットライトを当てていく。

その「学校外活動費」の学年別推移だが、私立では小学生がピークで、公立ではおおよそ中学生の方が額が高めになる。

↑ 年齢・学年別学校外活動費(万円)(2021年度)(再録)
↑ 年齢・学年別学校外活動費額(2021年度時点)(万円)(再録)

この「学校外活動費」のうち、「家庭内学習費(参考書や百科事典など)」「家庭教師費」「学習塾費」などで構成される「補助学習費」について、まずは全体の年齢・学年別推移を見ていくことにする。全般的には私立の方が高めとの結果が出ている。特に小学校高学年では、私立の額が飛び抜けている。

↑ 年齢・学年別補助学習費(公立・私立別、万円)(2021年度)
↑ 年齢・学年別補助学習費(公立・私立別、万円)(2021年度)

一概に「私立の方が高く、公立の方が安い」ではない。特に中学校では公立・私立の差は縮まり、3年生に至っては逆転現象まで起きている。この逆転現象の理由が分かるのが、次に示す、詳細区分化した上での積み上げグラフ。公立・私立別に作っているが、縦軸は同じ水準で区切りをしているので、長さでの単純比較が可能。

↑ 年齢・学年別補助学習費(私立、内訳、円)(2021年度)
↑ 年齢・学年別補助学習費(私立、内訳、円)(2021年度)

↑ 年齢・学年別補助学習費(公立、内訳、円)(2021年度)
↑ 年齢・学年別補助学習費(公立、内訳、円)(2021年度)

まず私立だが、小学校では高学年となるに連れて「学習塾費」が大きくふくらみ、これが「補助学習費」全体をかさ上げする要因となっている(ただし小学1年生はやや大きめな額となっている)。さらに小学5年生・6年生では「家庭教師費など」も増え、節目となる50万円を超えてしまっている。

一方公立では私立のような小学生時の急こう配による大きな盛り上がりはなく、漸増の動きのみ。そして中学校になると2年生から3年生にかけて大きく額が膨らみ、中学校3年生では高等学校までをも併せて最大額、さらには同学年の私立よりも大きな金額となる。

これは別記事でも言及しているが、「高校受験のためには公立中学校3年生は私立と比べ、学習塾で学校の学習内容を補完する必要性が高い、と多くの保護者が考えている」とすれば道理が通る。高等学校は中学校までと違って義務教育課程から外れるため、公立の中学校生を持つ保護者も、ここぞとばかりに気合いを入れるのだろう。またややざっくばらんな表現となるが、私立学校生における中学校受験の難関が、公立学校生では高等学校受験で到来すると考えれば、納得もいく。

無論、家庭教師費用、学習塾費用を上乗せすれば、必ず思い通りの学校に合格するわけではない。しかしその確率を上げる、もっとも容易で分かりやすい手法には違いない。これらは子供よりもむしろ保護者たちの思いが反映されている数字なのかもしれない。


■関連記事:
【塾通い「親に言われて仕方なく」通信講座は「自分のペースで」】
【中学生の塾通い47.3%、「勉強は授業だけ」はわずか17.8%】
【進学塾通い、中学生は約3割・時間も費用もかなりの負担に】
【相場はおいくら? 高校生までの家庭教師や学習塾の年間支払額(最新)】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS