中学3年生では公立は私立の約1.8倍…公立中学では受験勉強に塾への投資額が急増加(最新)

2023/01/12 02:56

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2022-1223文部科学省は2022年12月21日、最新版にあたる2021年度(2021年4月1日-2022年3月31日)版の「子供の学習費調査」の概要を発表した。その内容によれば、子供の学習費のうち習い事の月謝がメインの「学校外活動費用」において、おおよそ公立学校よりも私立学校の方が平均額は高いものの、中学3年生では逆転現象が起きていることが分かった。構成項目のうち主に学習塾費が該当する「補助学習費」で、公立では中学校の1年生から3年生で私立を上回る平均額が出ているのが原因となっている。今回はこの動きもあわせ、高校生までの「学校外活動費用」の動きを確認していくことにする(【子供の学習費調査】)。

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先行記事【私立学校の学費は公立の2倍近くから5倍近く…幼稚園・小中高校までの年間学習費総額(最新)】などで記した通り、直近2021年度における学習費総額は総じて私立の方が高い。また子供の年齢が上になるに連れて総額が上がるのではなく、公立は中学校、私立は小学校の方が(他の学校種類よりも)多くの学習費がかかる。これは両者とも主に「学校外活動費」がふくらむのが原因(「学習費総額」は「学校教育費(授業料やPTA会費、制服、遠足代など)」「学校給食費」「学校外活動費(家庭内学習費や各種塾月謝、図書費など)」で構成されている)。

↑ 学校種類別学習費総額(万円/年)(2021年度)(再録)
↑ 学校種類別学習費総額(万円/年)(2021年度)(再録)

↑ 年齢・学年別学習費総額(万円/年)(2021年度)(再録)
↑ 年齢・学年別学習費総額(万円/年)(2021年度)(再録)

今回はこの「学校外活動費」にスポットライトをあてることにする。

まずは年齢・学年別の「学校外活動費」の実情確認。私立では断然小学生がピークで、公立ではむしろ中学生の方がおおよそ多少ながらも額が高めになる。意外かもしれないが、「学校外活動費」においては高校生は全般的に額は抑えられており、小中学校よりも低い。

↑ 年齢・学年別学校外活動費(公立・私立別、万円)(2021年度)
↑ 年齢・学年別学校外活動費(公立・私立別、万円)(2021年度)

「学校外活動費」には学習塾や家庭教師以外に、ピアノ、各種図書品、習字やそろばん、英会話教室などの教養的な塾、そして各種スポーツや芸術文化活動方面での塾の月謝も含まれる。私立小学生が特にふくらんでいるのは、詳細は別途解説するが、一般の学習塾に加えてこれら「学習塾”以外”の塾」に通わせている事例も多いのが要因。

↑ 小学6年生における学校外活動費(公立・私立別、円)(2021年度)
↑ 小学6年生における学校外活動費(公立・私立別、円)(2021年度)

「学習費総額」同様、「学校外活動費」に限っても私立が公立以上に額面が大きいのは見ての通りだが、唯一中学3年生では「公立が私立を上回る」現象が起きている。これは主に補助学習費(もっと詳細を述べれば「学習塾費」)の額において、公立が私立を大幅に上回るため。「学校外活動費」の逆転までには至らないものの、「学習塾費」では中学1年生・中学2年生でも公立が私立以上の額面を示している。

↑ 中学校における学年別校外活動費のうち補助学習費内の学習塾費(学年別、万円)(2021年度)
↑ 中学校における学年別校外活動費のうち補助学習費内の学習塾費(学年別、万円)(2021年度)

学習塾費用の点で公立の中学3年生が跳ねあがる理由について、資料では一切触れていない(そもそも公的機関のデータ発表系資料のため、分析は最小限にとどまっている)。そのため類推でしかないが、小中学校と異なり、はじめての非義務教育の教育機関となる高等学校の受験のためには、公立中学3年生は私立と比べ、学習塾で学校の学習内容を補完する必要性に強く迫られている。そのため学習塾に通う人が多く、場合によっては複数か所への通塾もあり、額面が大きく底上げされてしまうのだろう。

実際、「学校外活動費」でも、その中の「補助学習費」でも、公立は中学3年生が最高額を示している。公立学校生(を持つ保護者)の高等学校進学への気合いの入れ方が、この金額の動向からも推し量ることができよう。


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