便利な都心部では低普及率、それでは…人口集中化と乗用車普及率に関係は?(2012年)

2012/05/18 07:00

先日【乗用車の普及率現状をグラフ化してみる(2012年版)】で内閣府の【消費動向調査】を元にした、主要耐久消費財(テレビや自動車など、長期に渡って使用される商品。原則的に1年以上)の普及率に関する分析のうち、乗用車についてやや突っ込んだ形での状況確認をした。その中で一つ目に留まったテーマとして「世帯主の居住地別の普及率」というものがある。要は「大都市圏ほど公共交通機関が便利で、生活を支える施設が近場にあるため、乗用車保有の必然性が下がるからか、保有率が下がる傾向が見られる」というもの。今回はこの件に関して、もう少し詳しく見て行くことにする。

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「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

全般的な乗用車世帯普及率だが、単身世帯は42.5%、一般世帯は84.2%。一人身は5人に2人、二人以上世帯では5世帯に4世帯強が乗用車持ちという計算になる。

↑ 乗用車世帯主性別普及率(2012年3月末)(再録)
↑ 乗用車世帯主性別普及率(2012年3月末)(再録)

そして世帯主の居住地域別では、「別掲大都市」(県庁所在地以外の大規模な都市を意味し、具体的には「札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市」が該当)が一番低く、単身世帯では26.4%でしかない。

↑ 乗用車世帯主居住地都市規模階級別普及率数(2012年3月末)
↑ 乗用車世帯主居住地都市規模階級別普及率数(2012年3月末)(再録)

直近単年を見ると、人口密集地帯の居住者ほど、乗用車普及率が低いようにみえる。理由は冒頭にある通りで、さらに付け加えるとすれば「人口密集地帯では駐車場の確保の点でランニングコストが高くなる」あたりが該当する。

それではこの「人口密集地帯の居住者ほど、乗用車普及率が低い」のは昔からだろうか。地域別普及率データが存在する2006年分以降について、直上のグラフの拡大版を生成したのが次のグラフ。

↑ 乗用車世帯主居住地都市規模階級別普及率数(一般世帯)
↑ 乗用車世帯主居住地都市規模階級別普及率数(一般世帯)

↑ 乗用車世帯主居住地都市規模階級別普及率数(単身世帯)
↑ 乗用車世帯主居住地都市規模階級別普及率数(単身世帯)

人口密集地帯ほど普及率数が低くなること、単身世帯では一般世帯と比べて普及率が低いことなどは直近データと変わらない。そし単身世帯ではややばらつきがあるものの、少なくとも2006年以降は都市規模と乗用車普及率の関係に違いは生じていないことが分かる。

先の「人口密集地帯の居住者ほど、乗用車普及率が低い」に対する理由を考えれば、都市部の構造・定義づけの根本的な変化(あるいは乗用車を取り巻く社会文化の変化)が無い限り、昔でも今でも同じような結果が出るのはごく当たり前の話となる。

ここで考えられるのが「昔も今も人口密集地帯の居住者ほど、乗用車普及率が低いのなら、昨今の自動車離れの一因は『人口の都市集中化』にあるのでは」という仮説。つまり「都市部=普及率低い」「近郊・地方=普及率高い」で、都市部の人口が(絶対数・全体比に)増えて近郊・地方の人口が減れば、全体としての乗用車普及率は下がるというものだ。

そこで5年おきに行われる国勢調査を元に、人口集中地区(【用語解説】にもある通り、市区町村の境域内において、人口密度の高い基本単位区(原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4000人以上)が隣接し、かつ、その隣接した基本単位区内の人口が5000人以上となる地域)とそれ以外の地区別の人口推移を示したのが次のグラフ。「人口集中地区」は人口の増減と共に変動しうるので一定では無いが、全体面積の1-3%内外に留まっており、ごく限られた地域への人口集中が進んでいる事が分かる。

↑ 居住地区の人口集中地区か否か別人口推移(国勢調査)(万人)
↑ 居住地区の人口集中地区か否か別人口推移(国勢調査)(万人)

↑ 居住地区の人口集中地区か否か別人口推移(国勢調査)(全体比)
↑ 居住地区の人口集中地区か否か別人口推移(国勢調査)(全体比)

交通機関や各種商業施設の観点で便利な人口集中地区に住む人が増えれば、乗用車を利用する人も減っていく。可処分所得の変化、世帯構成人数の減少・単身世帯の増加、生活社会文化の変化、昨今では特にインターネットの普及など、「乗用車(保有)離れ」を後押しする要因は山ほど考えられる。さらに今件のグラフにある通り「乗用車をあまり使わなくても済む環境に居住する人が増えてきたから、乗用車の需要は減りつつある」もまた、特に若年層の乗用車離れが進んでいる原因と考えて良いのではないだろうか。


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