すき家は客数減で売上減だが昨年の反動の影響も小さくない…牛丼御三家売上:2012年4月分

2012/05/08 06:45

[吉野家ホールディングス(9861)]は2012年5月7日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2012年4月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス8.3%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年4月における売上前年同月比はマイナス2.3%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス6.7%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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吉野家のこの1、2年での動向を確認すると、同社では2010年9月から、メインメニューの牛丼より安価な「牛鍋丼」を発売、これが売上高アップに大きく貢献した(同月の売上高は前年同月比でプラス5.9%を記録している)。しかしその後は大きな新商品展開のイベントなども無く、オプションメニューの「小鉢」も大きな影響は与えていなかった。そして【吉野家でカレー…吉野家から「こく旨カレー」「旨辛カレー」登場】にもあるように2011年8月から「こく旨カレー」「旨辛カレー」の発売を開始。さらにトッピングとしてチーズも登場させている。

2011年9月には昨年発売した「牛鍋丼」をリニューアルすると共に、「追っかけ」のバリエーションを変更(【吉野家、「牛鍋丼」を新味に・「おくらとろろ」「とろりチーズ」を「追っかけ」に追加】)。これらの動きを受けて客単価は大きく上昇していたものの、11月にはそれも失速。昨月2011年12月分では【吉野家の「焼味豚丼 十勝仕立て」 、販売累計数300万食突破】にもある通り同年12月8日から発売を開始した新メニュー「焼味豚丼 十勝仕立て」 が好評を博して客数・売上共に5か月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。

今回の2012年4月分では3月分から転じて売上をマイナス圏に戻してしまっている。同月では【牛丼並盛は270円に…吉野家が「春の牛丼祭」開催、1週間期間限定で主力商品110円引き】で伝えているように、主力商品の牛丼の期間限定割引を行ったが、客単価はさほど下がらず、むしろ客数が大きく減り、これが売上減につながってしまっている。

↑ 牛丼御三家2012年4月営業成績
↑ 牛丼御三家2012年4月営業成績

昨年夏以降「復調」「本格的な回復はまだ先」という表現を重ねていた吉野家の客数だが、2011年12月分でようやく前年同月比プラスを記録した後は、起伏の激しい動きをしていた。今回計測月からは一か月全日で震災後の影響を受けた月との比較になるが、当月2011年4月の売上はその時の前年同月比でマイナス10.2%。それと比較してなお1割近いマイナスを見せており、営業成績の事態の深刻さがうかがえる。

松屋の牛カルビ丼松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続している。今回4月分では【松屋で新メニュー「牛カルビ丼」発売】【松屋、フレッシュトマトカレーを4月19日から発売】など単価が高めのメインメニューや人気の期間限定商品を投入、客単価・客数の減退を他の二社よりも小さめに抑えている。

すき家も【すき家で「春の牛丼祭」開催・期間限定で牛丼並盛30円引きの250円に】の通り主力商品の牛丼値引きで攻勢をかけたものの、客数の減少を押しとどめることはできず、これが売上減につながることとなった(もっともすき家の「2011年4月における」客数前年同月比はプラス8.9%。つまり2010年4月時点と比べた2012年4月の客数はプラス2.6%となるため、すき家の客数に関しては多分に昨年の反動という見方もできる)。

3月分を各社一言ずつでまとめると「吉野家…客単価はかろうじて維持するも客数大幅減で売上マイナス」「松屋…客数やや減少だが売上減は最小限に」「すき家…客数減で売上減だが昨年の反動の影響も小さくない」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年4月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年4月)

すき家の成長戦略の基本のように見える「客数増加」は2011年頭から歩みがゆっくりとしたものになり、同年8月以降はギリギリプラスを維持していた。そして同年12月分以降はマイナスに転じたまま。すき家は継続的な客単価減少傾向にあるため(他社も似たようなものだが、まだ起伏がある)、客数の増加でしか売上のアップを見込めない状態であり、客数の減少は他の2社以上に大きな影響を与え得る。

店舗数比較では、すでにすき家がはるかに吉野家を超える形で推移している(【牛丼御三家の店舗数推移をグラフ化してみる(2011年12月版)】)。そして今でもすき家の拡大戦略は続いているものの、昨今では歩みをゆるやかなものにしている。一方で松屋は昨年後半以降、積極的な店舗展開を進めているように見える。吉野家だけでなく、すき家・松屋もまた、少しずつ、そして確実に大きなかじ取りをしはじめたようだ。

総論として一つ加えておくと、今回の2012年4月分は新年度という「心機一転感」があった月で、三社ともさまざまな新商品の展開や主力商品の牛丼(牛めし)の期間限定値引きサービスが行われたにも関わらず、客数の大幅減に伴う売上減退を起こしている。牛丼業界全体に渡る特別な事象が起きた話は、特に耳にしていない。昨年の反動とも解釈できるすき家はともかく、吉野家と松屋、特に吉野家の客入りの減り方が非常に気になるところではある。

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