任天堂ゲーム機の販売動向をグラフ化してみる(ソフト編)(最新)

2019/05/07 05:35

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2019-0503携帯電話、特にスマートフォンの躍進で風雲急を告げる家庭用ゲーム機業界。その業界で大きな影響力を誇る任天堂が発売中の家庭用携帯ゲーム機ニンテンドー3DSの販売動向に関して、当サイトでは同社の四半期決算短信の発表毎に、その内容を精査していた(【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】。現在は更新を終えている)。一方同社では短信とは別に、随時ライブラリーの【ヒストリカルデータ】で、経年の各種計算書、そして主要販売機種販売台数と対応ソフトのタイトル数についてもデータ化して公開を行っている。そこでその公開値を活用する形で、任天堂発のゲーム機に関する販売動向をグラフ化し、状況の掌握を行うことにする。今回はソフト編として、ソフトウェアの販売タイトル数を見ていくことにしよう。

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積み上げグラフで経年推移を確認


まずはタイトル数動向の年単位での動き。2001年3月末期(2000年4月から2001年3月、以下同)以降の年次販売タイトル数について、任天堂自社のみの本数と、任天堂発に加えて他社(OEM:Original Equipment Manufacturer。他社ブランドの製品を製造。この場合は任天堂以外の会社製として、任天堂ハード向けタイトルを発売すること)まで含めた本数を見ていくことにする。なお今回記事のグラフでは、基本的に青系統色が携帯型ゲーム機、赤系統色が据え置き型ゲーム機。色が薄いほど昔の、濃いほど新しいハード(向けソフト)を指している。

↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数(日本国内、年次、自社のみ)
↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数(日本国内、年次、自社のみ)

↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数(日本国内、年次、自社+OEM)
↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数(日本国内、年次、自社+OEM)

先行する記事「ハード編」のデータを見る限り、「色々と」難儀したことが推測される(実際その通りなのだが)ゲームキューブ向けに、任天堂は一定数ソフトを供給し続けていたことが分かる。それがWiiの登場でぴたりと止み、以降はWii向けタイトルが一定数出され続けている。この世代交代はニンテンドウ64からゲームキューブに移行する際にも起きているので、驚くにはあたらない。

さらにこの世代交代は、2014年3月末期において携帯型ゲーム機・据え置き型ゲーム機双方で起きている。前者はニンテンドーDSからニンテンドー3DSへの、後者はWiiからWii Uへの完全な移行である。任天堂のみの年間販売総タイトル数はこの数年大きな変化を示していないことから、任天堂は半ば総力戦でニンテンドー3DSとWii Uの活性化に望んでいたことが分かる。

もっとも2018年3月末期ではWii U向けの任天堂発タイトルは皆無となっている。同時に据え置き型ゲーム機の最新機種であるNintendo Switchへのタイトルが前年度の2本から9本へと急増しており、任天堂における据え置き型ゲーム機のシフトが完全な形で生じたことが確認できる。

一方携帯型ゲーム機向けでは2006年3月末期以降3年間にわたり、大規模なニンテンドーDS向け攻勢をかけ、ハードの躍進に一役買ったことが確認できる。

↑ 任天堂・国内ハード販売動向(日本国内、年次、万台)(再録)
↑ 任天堂・国内ハード販売動向(日本国内、年次、万台)(再録)

任天堂発タイトルの躍進で大きくハード数が増え、それに伴い2007年3月末期あたりから他社OEMタイトルも増え、全体数においてもニンテンドーDS向けタイトルが飛躍的に増えて行く。「任天堂発」のタイトル数動向と、「全体」のタイトル数動向では1年から2年のずれがあり、「任天堂タイトルでハード数の底上げを行い市場を創り、他社が大きな市場でソフト展開を楽しむ」形に、ニンテンドーDSはズバリはまったことになる。

一方、似たような「3年プッシュ」の動きが3DSでも確認できる…のだが、肝心のタイトル数がニンテンドーDSの時と比べて約半分の年あたり11本から12本に留まっている。他にも要因は多々あるが、この「任天堂の後方支援的タイトル」数の少なさが、ニンテンドー3DSがニンテンドーDSほどには増えなかった一因として考えられる。

ただし2016年3月末期以降は、単なる偶然かあるいは市場に活力を入れるためか、任天堂発のタイトル数は本体発売後同様、あるいはむしろ多い本数を示している。2019年3月末期では7本と1ケタ台に減ったことから、恐らくはラストスパート的な意味合いがあったのだろう。

任天堂オリジナル作の比率を算出してみる


任天堂のソフト開発の思惑に係わる動きがよく分かるのが、毎年の販売タイトル数について、任天堂発の割合を計算した次のグラフ。例えば2019年3月末期のニンテンドー3DSにおける自社タイトル数比率は58.3%。この期に発売された3DS向けタイトル12本のうち、任天堂発は7本なので、7÷12=58.3%となる次第。

↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数における自社タイトル数比率(日本国内、年次)
↑ 任天堂・発売ソフトタイトル数における自社タイトル数比率(日本国内、年次)

このグラフからはいくつかの法則が見受けられる。つまり「赤(据え置き型)が高め、青(携帯型)が低め」「ハードの発売当初は高く、じきに下がり、最後にまた上がる」。それぞれ、

・「赤(据え置き型)が高め、青(携帯型)が低め」
据え置き型ゲームは開発ハードルが高く、参入他社数・タイトル数が少なめになり、必然的に任天堂発タイトルの比率が上がってしまう。

・「ハードの発売当初は高く、じきに下がり、最後にまた上がる」
ハードの発売当初は任天堂発のタイトルを多めに出して他社タイトルの準備期間を創るとともに、ハード市場の拡大を目論み、他社参入がしやすいようにする。ハードの寿命が近付くと最後のテコ入れを行う(&他社は腰が引ける)

と読めば道理は通る。

この規則性が正しいとすれば、ニンテンドーDSは実質的に商品寿命は終わったことになる(最後のピークが2013年3月末期に起き、2014年3月末期以降はゼロ)。ニンテンドーDSはすでに後継機種のニンテンドー3DSが発売中のため、ソフト開発上の世代交代がなされても何ら不思議では無い。また、同様のパターンがWiiとWii Uとの間でも同時期に起きている。

前世代機とだぶる形で任天堂が双方機種にタイトルを出すのは長くて3年(ゲームボーイアドバンスとニンテンドーDSがよい事例となる)。この法則が継承され、ニンテンドーDSからニンテンドー3DSへのバトンタッチは行われた。一方WiiとWii Uとの間では重複期間は正味1年しか無い。それだけWii Uへのテコ入れが前倒しされたことを意味する。そのWii Uも2年連続自社タイトル数がゼロのため、商品寿命が尽きたと認識されても不思議では無い(Nintendo Switchへのシフトによるものだろう)。

また、ニンテンドー3DSは末期における自社タイトル比率上昇の場面に突入しているとも解釈できる。Nintendo Switchは携帯もできる据え置き型ゲーム機とのコンセプトであることから、ニンテンドー3DSからのシフトの意味合いも合わせ持っているのかもしれない。

現在進行年度(2020年3月末期)におけるニンテンドー3DSの世界全体での年間販売目標台数は100万台、Wii Uはゼロ、Nintendo Switchは1800万台。ニンテンドー3DSとWii UからNintendo Switchへのシフトは間違いない。他方、Nintendo Switchも2019年3月末期における世界全体での販売実績は1695万台で、目標はそれにわずかな上乗せをした程度。天井感を覚えさせる。

遊びの本質すら変わりつつある昨今において、現行世代機たるNintendo Switchがどのような世界を提案し、見せてくれるのか。これから数年の間、任天堂にとってはまさに正念場となるに違いない。


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