値下げ効果あるも期末未達度4%、年末商戦の反動大きく目標未達成…ニンテンドー3DS販売数動向(2011年度4Q)

2012/04/27 12:00

先に【任天堂、業績公開以来初の期末連結赤字】で記したように、[任天堂(7974)]は2012年4月26日、2011年度(2012年3月期、2011年4月-2012年3月)期末決算短信を発表した。為替差損やニンテンドー3DSのソフト・ハード両面での売れ行き不振などから内容は思わしいものではなく、期末連結決算として1981年に連結決算移行・業績開示後はじめての「期末純損益での赤字」となった。今回はそれらの業績はさておき、過去の記事に続く形で、ニンテンドー3DSの販売動向をまとめ、グラフ化してみることにする。

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データの取得場所の解説、対象としている機種(3DSシリーズ)の概要などは一連の記事まとめページ【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

今回発表されたデータを元に、先の記事と同様に同機の販売動向をグラフ化したのが次の図。なお元データは万台単位までの表記で、今回はその値を差し引きしているため、項目によっては実数値と2-3万台程の差異が生じている場合がある。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)

現時点で発売開始からの累計販売台数は、全世界で1713万台。今期に限れば1353万台。今期販売分の6割強、累計の半数近くを値下げ後初となる年末商戦時期を含むの2011年度第3四半期のみで売りあげており、いかに値下げが年末商戦に大きな加速を与えたのかが分かる。なお最初の期「2010年4月-2011年3月」は一年分の時間区分ではあるが、発売日が2011年2月26日以降(日本での発売が世界で最初)のため、実質的に他の期同様四半期と見て問題は無い。

そして直近の2011年度第4四半期(2012年1月-3月)においては、主要エリア区分すべてで、前四半期の反動を受ける形で大きく落ち込んでいる。日本はそれでも半分近くまでの下げで済んだが、アメリカ大陸・その他地域共に約15%のみ(約85%分の減少)という急落ぶり。これが後ほど触れる「今期販売目標1400万台の未達」に大きく関与したと考えてよい。

これを販売時期に区分し、それぞれの時期における各地域での販売数を積み上げた形にしたのが次のグラフ。2011年度第1四半期の不調ぶり、そして値下げ効果と年末商戦効果が第3四半期の大きな上昇気流となったこと、さらにはその反動で直近四半期が再び大きく落ち込んだのが良く分かる。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(期別推移)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(期別推移)

日本での値下げ発表は2011年7月28日、値下げ開始は同年8月11日。値下げ発表後は買い控えが起きるので売上はそれ以前より落ち、そして第2四半期における値下げ効果が発揮された時期は2か月足らずでしか無い(日本国内の話)。にもかかわらず販売台数は日本国内だけで4倍強(21万台→87万台)に達している。そしてそこからさらに3倍以上もの売上が第3四半期に発生しており、年末商戦の勢いが改めてうかがい知れる。その分、第4四半期の失速ぶりが目立つ。

海外でも同様の動きで、例えばアメリカでは当初249.99ドルから8月12日以降169.99ドルに値下げしている(【What Is the Nintendo 3DS Ambassador Program?】))。アメリカでは前四半期比で7倍近いセールスを挙げた第2四半期と比較しても、さらにそこから4倍強もの伸びを第3四半期で示しており、日本以上に価格が大きな要因足り得たことが分かる。

気になるのは年末商戦を迎えた後の各販売地域の動向の違い。日本は第3四半期と比べて半分近くに落ち込んだものの、値下げ前の第2四半期と比べれば上乗せされた値を示している(87万台→118万台)。ところが米大陸・その他地域共に第4四半期の値は値下げ前の第2四半期ですら下回っており(米大陸は71万台→51万台、その他地域は79万台→38万台)、単なる「年末商戦明けの反動」以外の要因が働いていることが容易に想像できる。

前回の記事で呈しているが、任天堂では第3四半期決算短信の発表において、今期(2012年3月期)におけるニンテンドー3DSの全世界での販売目標台数を1600万台から1400万台に下方修正している。そこで最終的な2011年度期における販売目標台数に対する、進捗状況結果をグラフ化したのが次の図となる。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2011年4月-2012年3月期における目標販売台数1600万台に対する達成状況)(期末時点での同期内販売累計)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2011年4月-2012年3月期における目標販売台数1600万台に対する達成状況)(期末時点での同期内販売累計結果)

達成率はおおよそ96%。第3四半期の勢いは続かず、結局わずか4%であるが目標未達状態となってしまった。前期分析記事で「最後の四半期がゲーム業界においては閑散期であることから、残りの四半期で下方修正した1400万台に届くか否かは微妙なところ」としたが、その懸念がそのまま体現化された形になる。



おもちゃ・ゲーム類は年末年始が一番のかきいれどき。そして任天堂は毎年のように年末年始のゲームソフトランキングで、軒並み上位陣を独占していることからも分かるように、この時期には非常に強い底力を発揮する。3DSの販売動向でもそれが顕著な結果として表れている。

一方、直近四半期である第4四半期における挙動は、少々留意する必要がある。繰り返しになるが、日本に比べ欧米その他地域での急落ぶりがあまりにも大き過ぎる。【アメリカの子供達はクリスマスにどんなプレゼントを欲しがっているのか】などの調査結果にあるように、若年層のデジタルグッズにおける需要がゲーム機からモバイル端末(スマートフォンやタブレット機、電子書籍リーダー)に移り変わりつつある動きを見ると、これらハードに3DSの需要が「食われた」感は否めない。

4月26日の時点で記者会見をした岩田聡・任天堂社長の会見を伝える話【任天堂、13年3月期営業損益は350億円の黒字に転換(ロイター)】によれば、

・3DSの採算性の問題は現在進行期半ばまでに解消する。めどは立っている。
・3DSの販売動向で欧米の動きが鈍いことについて「アメリカ、ヨーロッパでの盛り上がりが、まだまだ勢いが足りない」と言及し、今しばらくの時間が必要との認識を示す。夏商戦で勢いをつけ、年末で上乗せを目指したい。
・期の途中で業績予想の下方修正という事態は絶対にいけない。
・「Wii U」の発売が年末を予定しているため、例年以上に「年末商戦の比重が高くなる」。

などの言及が確認できる。詳細は定例通りなら数日中に開催・資料発表が行われる、決算説明会及びその資料で語られることだろう。

なお資料の限りでは現在進行期における3DSの期内目標販売目標台数(合計)は1850万台(前期比1353万台に対してプラス36.7%)と、かなり強気な目標を立てている。有力ソフトの投入効果と欧米市場の躍進に期待している面が強いが、昨今の情勢を見る限り、状況は流動的といえる。これまで以上に注意深く動向を見守る必要がありそうだ。

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