販売ビデオを支えるコア層・ビデオソフトの販売実態をグラフ化してみる(2011年分反映版)

2012/04/24 06:50

ビデオ購入【日本映像ソフト協会】は映像ソフト(ビデオソフト、DVDやBD(ブルーレイディスク))業界に関する動向情報・市場調査の結果を「ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査」というレポート名で、毎年公開・報告している。今回はその中から、販売ビデオを支えるコア層・ビデオソフトの販売実態をグラフ化した記事を更新する形で、コア層ともヘビーユーザーとも表現できる、一年間に多くのビデオソフトを購入する人たちと、ビデオ販売部門との関係についてグラフ化し、状況を眺めて行くことにする。同業界の動向の一端を推し量れるはずだ(【ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査 2011(PDF)】)。

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今調査は2012年1月にインターネット経由で2011年に関する動向を16歳-69歳の男女に対して尋ねたもので、有効回答数は1200人。性別・年代別・都道府県別構成比を住民基本台帳に基づいて割り付け、さらにビデオリサーチ社によるACR(Audience and Consumer Report)調査結果を用いて、同世代の一般個人によるデータとして推計するよう補正を行っている。

今調査結果報告書に併記されているデータによれば、ビデオソフト(DVD&BD、特記無い場合は以下同)の市場規模は2006年-2007年にやや変わった動きが見られるものの、全般的にはセル(販売)・レンタル(貸出)共に縮小傾向にある。特にレンタル市場は減退状況が著しい。

↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)
↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)(再録)

レンタル市場と比べて減退率が大人しく見えるセル市場。しかしその市場でも小さからぬ動きが起きている。それが今回スポットライトを当てる「ヘビーユーザー」問題。

今件では年間3万円以上のビデオソフトを購入する人を「ヘビーユーザー」と定義しているが、ビデオソフト購入者全体に占める「ヘビーユーザー」の比率は減少傾向にある。

↑ ヘビーユーザー(年間3万円以上購入者)の全購入者比率
↑ ヘビーユーザー(年間3万円以上購入者)の全購入者比率

2007-2008年は日本映像ソフト協会側が、比較対象可能な設問で調査を行わなかったので、データが空白になっている(それ自体は残念な話ではある)。2006年にやや増加しているが、それ以外は一様にヘビーユーザーは減少する傾向にある。

ところが、そのヘビーユーザーが購入するビデオソフトの金額は、人数比率と同じように減るのではなく、一時的な盛り返しを見せつつ減少している。最新のデータ、2011年分では2010年から転じて値を減らしている。

↑ ヘビーユーザーの「全ユーザーの購入総額」に占める割合
↑ ヘビーユーザーの「全ユーザーの購入総額」に占める割合

直近の2011年なら、ビデオソフト購入者の1/31の人が、半分強を占める額を購入している状況になる。1年前の2009年との比較はもちろん、5年前の2005年と比べても、ヘビーユーザーの購入ぶりがますますヘビーになっているのが理解できよう。

その「ヘビー化」をもう少し分かりやすくしたのが次のグラフ。一つ目は上記2グラフを一つにまとめたもの、もう一つは「ヘビーユーザーの、購入者全体の人数比1%分で、購入額全体比の何%を購入しているか」を算出したもの。

↑ ヘビーユーザーの比率
↑ ヘビーユーザーの比率

↑ ヘビーユーザーの全体比人数1%分で、全体比購入額何%を購入しているか
↑ ヘビーユーザーの全体比人数1%分で、全体比購入額何%を購入しているか

購入者全体に占めるヘビーユーザー数の比率は減っているが、購入額比率の減少具合はユーザー数ほどではない。ビデオソフトの購入集中化が起きているのが分かる。見方を変えれば、現在のビデオソフト・セル市場はごく一部のヘビーユーザー(言い換えればマニア層)が支えていると評しても、あながち間違いではないことになる。

それを裏付けるのが次のグラフ。DVDとBDにおける、ヘビーユーザーの人数・金額比率を示したもの。ビデオソフトの「作品」そのものにこだわりを持つ人は当然「良い画質のものを手元に残したい」と考え、DVDよりはBDを購入する傾向が強くなる。ゲームソフトも単行本も、その作品に深い造詣・愛着を持っているのなら、普及廉価版よりも、初回販売限定版を購入したくなる心理と同じこと。

↑ ヘビーユーザーの比率(2010年、フォーマット別)
↑ ヘビーユーザーの比率(2010年、フォーマット別)(再録)

↑ ヘビーユーザーの比率(2011年、フォーマット別)
↑ ヘビーユーザーの比率(2011年、フォーマット別)

2011年においては、BDの場合はBDソフト購入者のうちヘビーユーザーはわずか1/50程度。しかしその1/50程度の人が、購入額全体の2/3の金額分を購入していることになる。

さらに2010年のグラフと比べれば分かるが、ヘビーユーザーが2011年では人数比率・額面共に大きく減少している。グラフ化は略するがヘビーユーザーにおける平均購入金額も減っており、いわば「ヘビーユーザーの勢力縮小(息切れ)」が、2010年と比較した2011年における、セル市場全体の減退傾向の一因と位置付けることもできる。



レンタル熱烈なファンによって市場が支えられる状況は、一概に悪い話では無い。しかしコアユーザーが多数を占める市場は得てして、縮小再生産を繰り返してしまう傾向がある。決して先が明るい話ではない。現実問題として2010年から2011年にかけて、コアユーザーの息切れとも見られる動きがあり、これが2011年におけるセル市場の低迷のトリガーと考えることもできる。

ビデオソフト市場、特にセル市場においては、今後いかにコア、ヘビーユーザーのハートをキャッチし続けつつ、ライトユーザー(世間一般の、ごく普通のユーザー)の数を増やし、裾を広げていくかが求められている。ライトユーザーの数を増やすことができれば、その中から新たなコアユーザーも生まれ得る。どちらか一方だけを向いても、明るい未来は望めない。色々な、そして新たな切り口が求められよう。


■関連記事:
【映像ビデオ市場の推移をグラフ化してみる(2011年分反映版)】

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