ビデオソフトのレンタル動向をグラフ化してみる(2011年分反映版)

2012/04/23 06:50

映像ソフト(ビデオソフト、DVDやBD(ブルーレイディスク))業界に関する動向を推し量れる、【日本映像ソフト協会】が毎年発表している市場調査情報「ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査」には、多種多様なデータが盛り込まれている。今回はその中から、ビデオソフトのレンタル動向を精査した過去の記事を更新する形で、直近の2011年におけるビデオソフトのレンタル動向を中心にデータをグラフ化し、状況を眺めて行くことにする。同業界の動向の一端を推し量れるはずだ(参照資料:【ビデオソフト市場規模及びユーザー動向調査 2011(PDF)】)。

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今調査は2012年1月にインターネット経由で2011年に関する動向を16歳-69歳の男女に対して尋ねたもので、有効回答数は1200人。性別・年代別・都道府県別構成比を住民基本台帳に基づいて割り付け、さらにビデオリサーチ社によるACR(Audience and Consumer Report)調査結果を用いて、同世代の一般個人によるデータとして推計するよう補正を行っている。

今調査結果報告書に併記されているデータによれば、ビデオソフト(DVD&BD、特記無い場合は以下同)の市場規模は2006年-2007年にやや変わった動きが見られるものの、全般的にはセル(販売)・レンタル(貸出)共に縮小傾向にある。特にレンタル市場は減退状況が著しい。

↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)
↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)(再録)

このような状況下で、該当年の1年間でビデオソフトの購入やレンタル経験があったか否かを尋ねた結果が次のグラフ。購入率は微増しているが、レンタル者率は大きく減少している。結果として1年間で購入もレンタルもしなかった人は0.2ポイント増加し、半数に達してしまった。

↑ 1年間のビデオソフト(DVD&BD)購入・レンタル状況
↑ 1年間のビデオソフト(DVD&BD)購入・レンタル状況(再録)

「購入」を兼ねた「レンタル」も含めた、レンタル率は前年比で1.7ポイント減。前回の2.7ポイント減から比べれば小さい値ではあるが、減少を続けていることに違いは無い。

実際、もう少しさかのぼった形でデータを見ても、ビデオソフトのレンタル経験者の比率そのものが減退傾向にあるのが分かる。

↑ ビデオソフトのレンタル経験率
↑ ビデオソフトのレンタル経験率

直近の2011年と2010年に限定し、レンタル利用者に「前年と比べてレンタル枚数は増えたか減ったか(、ゼロまで減った=借りなかったか)」を聞いたのが次のグラフ(参考値として同様の方式で計測した2010年・2009年の全体値も併記する)。「去年は借りて今年は借りなかった」人が約3割、「減った」が「増えた」を数ポイント上回る。仮に各項目回答者における、一人ひとりの増えた枚数と減った枚数が同数だとしても、かなり厳しい減少を覚悟する必要がある。

↑ 調査年における1年間のビデオソフト(DVD&BD)のレンタル枚数増減(前年と比べて)(調査年と前年におけるレンタル経験者対象)
↑ 調査年における1年間のビデオソフト(DVD&BD)のレンタル枚数増減(前年と比べて)(調査年と前年におけるレンタル経験者対象)

2011年は2010年と比べて多少ながらも「今年はレンタルしなかった」との回答が減ったのは幸いだが、女性が男性以上にレンタルビデオ離れが進んでいるのは昨年からの継続傾向。そしてグラフ作成は略するものの、レンタル1枚あたりの単価、利用者の平均利用金額も減少している(平均枚数はかろうじて増加した)。低単価のソフトを借りているので枚数は少し増えたが、1枚単価も利用者の平均額も減ったという次第。値引きで客の引き寄せを画策しているようだが、値引き分をカバーするだけの集客効果が得られていない雰囲気ではある。

ちなみに2010年-2011年のどらちか1年の間でもレンタルソフトの利用経験者で、2011年は2010年と比べて利用機会が減った、あるいは無くなった人に対し、「なぜ借りる枚数が減った、借りなくなったのか」の理由を聞いた結果が次のグラフ。

↑ ビデオソフトのレンタル枚数が減った理由(複数回答、2010-2011年のレンタル経験者で、2011年は2010年と比べて減ったか借りなかった人限定)
↑ ビデオソフトのレンタル枚数が減った理由(複数回答、2010-2011年のレンタル経験者で、2011年は2010年と比べて減ったか借りなかった人限定)

トップは「ビデオソフトを観る時間のゆとりがなくなった」、次いで大きく値は下がるが「返却するのがめんどう」。時間的制約が厳しくなった、見方を変えれば時間を費やすほどの価値を、ビデオソフトのレンタル視聴に見出せなくなったようすがうかがえる。

上位回答陣には他にも「テレビ(録画)視聴の機会が増えた」「有料放送を観る機会が増えた」など、元々ビデオソフトそのものに強い執着を持たなかった人が、他の代替手段を手に入れることでそちらに乗り換えた、ビデオレンタル離れを起こしているようすがうかがえる。

また「観たいソフトが減った」のように、作品そのものへの執着も薄れている。「どうしてもこの作品を観たい」と作品へ固執するなら、レンタルでは無く購入する意欲が働くはず。ところが「レンタルでは無く購入することが多くなった」はごく少数派。「レンタルで観れれば良い」という程度の軽い気持ちの需要だからこそ、レンタル以上に気軽な、そして選択肢が豊富な手立てがあれば、そちらに移ってしまう。上位回答陣の「テレビ放送」「有料放送」はまさにそれに他ならない。

先に別記事で、ビデオソフトの購入層は二極化傾向にあり、コアユーザーが大量にソフトを購入する事で市場を支えていると言及した。レンタルはその二極化が起きないからこそ(作品へのコアなユーザーはレンタルしまくるのではなく、直接購入に向かう)、メディアやエンターテインメントの大きな質的変化が起きた2007年-2008年以降(不景気の到来も同時)、一様に市場が減退していると考えられる。DVDとBDのフォーマット別市場規模比率を見ても、レンタルにおけるBD率は極めて少ない。

↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(比率、2009-2011年)
↑ セル・レンタルのフォーマット別市場規模(比率、2009-2011年)(再録)

元々レンタルショップ側が「BD再生可能なプレイヤーの普及率を考えれば、BDを置いても借りる人は少数だから」と目論んで、BDタイトルを置いている店舗が少ない事も考えられる。しかし「少しでも良い画像で観たい」というレンタル利用者が多ければ、導入率も増えるはず。にも関わらずこの値に留まっている状況を見るに、「こだわり」を持つレンタル利用者はそれほど多くないと考えるのが納得しやすい(ちなみに今調査において、BD再生可能機器の所有率は50.7%に達している)。

レンタル市場の縮小を食いとめるには、「それなりに観たい」人の足を引きとめ、他の娯楽・手段に向かわせない工夫が必要になる。例えば一部の総合書店では、その書店のビデオレンタル部門における割引券を、書籍購入者に無料配布している。また、返却の手間をできるだけ省かせる工夫も凝らしている。今後はさらなる工夫を凝らすか、あるいは発想の転換が求められよう。

もっとも対抗馬がテレビやインターネットである以上、よほど賢い仕組みを生み出さない限り、起死回生的な効果は望めないものと思われる。


■関連記事:
【映像ビデオ市場の推移をグラフ化してみる(2011年分反映版)】

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