「非鉄金属」は2割増近い大きなプラス・前年同月比でプラス6.8%(2012年3月分大口電力動向)

2012/04/21 12:05

電気事業連合会は2012年4月20日、2012年3月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年3月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で766億kWhとなり、前年同月比でプラス6.1%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス6.8%を記録し、13か月ぶりに前年同月の実績を上回ることになった。久々のプラスだが、これは前年同月が大きなマイナスだったことに起因するところが多分にある(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめた一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そのページでチェックしてほしい。

2012年3月においては大口全体で前年同月比プラス6.8%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)増えたことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2012年02月-2012年03月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2012年02月-2012年03月)

今月は複数項目で前年同月比プラス、特に「非鉄金属」は2割増し近い大きなプラスを見せており、頼もしい結果に見える。ただし1年前の記事を見ればお分かりの通り、2011年3月以降は東日本大地震・震災の影響を受けて物理的な電力需要の減退、さらには電力需給の問題からの節電を余儀なくされており、その反動によるプラス化もあるため、一概に諸手を挙げて喜ぶわけにもいかない。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月は多くの項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。

今月は大きく持ち直したが、それは前述の通り東日本大地震・震災により減少の反動によるもの。2011年3月の全体値における「当時の」前年同月比がマイナス6.3%のため、今回の2012年3月・全体値の「前々年」同月比はプラスマイナスゼロという計算になる((1-0.63%)×(1+0.68%))。来月以降は震災による大きな電力需給の減退、特に夏期における電力使用制限令下での大幅な減少があった昨年との比較になるため、容易にプラス値が出ることが予想されるが、あくまでも「イレギュラー的に減った月との比較」であることに留意しなければならない。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、(電力の安定供給を含めた)回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、節電対策による消費電力減退、景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そしてこれから気候が暖かくなるにつれ、電力周りの問題はクローズアップされていく。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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