高齢・高学歴・高年収…米新聞、雑誌定期購読層

2012/04/20 06:45

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新聞購読2012年4月4日にアメリカの調査機関【Pew Research Center】が発表した、電子書籍を中心とする同国内での読書性向に関する調査レポート【The Rise of E-Reading】では、モバイル端末、とりわけ電子書籍リーダーの登場・普及で大きな変化をとげている、同国の読書の現状を知れる貴重なデータが山ほど盛り込まれている。今回はその中から「新聞や雑誌の定期購読層」にチェックを入れることにする。


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調査要項は先行する記事【テクノロジーは読書のアプローチに…デジタル機器と米の読書性向との関係】で解説している。

なお今調査では特記無き限り、「紙媒体としての書籍」の購読以外に「電子書籍を読む」ことも「読書」と見なしている。日本では一部で「電子書籍を読むのは読書とは呼ばない」とする意見もあり、今件データの確認・他調査結果との比較時には注意が必要である(今件は書籍ではなく雑誌・新聞を対象としているが、電子書籍周りの扱いも同じ。つまり電子書籍リーダーなどデジタル系ツール経由による雑誌・新聞もまた「購読」と見なしている)。

今レポートでは書籍の購読以外に、雑誌や新聞、機関紙などの「読み物」に関する調査結果も盛り込まれている。その中で新聞や雑誌、機関紙などに関する定期購読動向について触れたのが今項目。紙、電子書籍を問わず「新聞や日刊紙(要は週一、月刊、日刊などインターバルを問わずの新聞)」「雑誌や機関紙」を「定期的に」購入している人は前者が6割近く、後者は5割近くとなった。

↑ 定期新聞・雑誌購読者率(米、2011年)
↑ 定期新聞・雑誌購読者率(米、2011年)

【米雑誌業界の動向(紙媒体編)】などで触れているが、アメリカでは特に雑誌は定期購入者に多大なメリットを提供し、安定的な販売部数の維持に努めている。日本と比べると5割近くという値は高めのイメージがある。

これを各属性別に区分した結果が次のグラフ。

↑ 定期新聞・雑誌購読者率(米、2011年)(属性別)
↑ 定期新聞・雑誌購読者率(米、2011年)(属性別)

性別による差異はあまりなく、雑誌の定期購読率でやや女性が多い程度。一方世代別では(雑誌の65歳以上がやや落ち込む以外は)新聞・雑誌とも一様に高年齢ほど高購読率を示している。特に新聞は歳の経過による購読率上昇の度合いが大きく、16-17歳と65歳以上とでは2倍以上もの差がある。新聞や雑誌、特に新聞を高齢者が好む傾向は日本とさほど変わりがない。

そして学歴・年収別では一様に高学歴・高年収ほど定期購読率が高い傾向が確認できる。単発購入ならともかく定期購入の場合、前者は内容への興味関心の高さが前提になり、後者はそれなりの金銭的裏付けが求められる(例えばお財布事情が厳しい状態で、生活必需品とは言えない趣味趣向の専門誌に、定期的な支払いを続けるのは難しい)。このあたりの事情は日本とさほど変わりが無い。



具体的な値は掲載されていないものの、他の属性との関連については次のような言及が確認できる。

・タブレット機や電子書籍リーダーの保有者は、非保有者よりも新聞・雑誌双方で非常に高い定期購読率を示している。
・インターネット利用者、携帯電話利用者はそうでない人よりも雑誌定期購読率が高い。
・書籍を頻繁に読む人は、そうでない人と比べ、雑誌の定期購読率が高い。

今件の新聞・雑誌購読も紙媒体に限らず電子書籍形態を含むのが大きな要因ではあるが、【「新聞の代わりに」6割近く…米のタブレット機でニュースを読む人の購読スタイルとシフト】などにもある通り、デジタル機器が新聞や雑誌への興味関心を底上げした可能性がある。逆に「元々新聞や雑誌に深い興味を持つ人は、電子書籍リーダーの取得意欲も旺盛。結果としてリーダー保有者≒定期購読者となる」という考え方もある。

いずれにせよ、電子書籍(リーダー)と新聞や雑誌の相性は決して悪くない、むしろ良い部類に入ると見て良いだろう。


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