在庫増加傾向も足踏みか、店舗数は漸減続く…CDレンタル店舗数動向(2012年発表)

2012/04/16 12:10

先日【減るCD購入、増えるヘビーレンタルユーザー…CDの購入・レンタル性向をグラフ化してみる】でレンタルCDの動向について触れたが、その際に以前の記事、レコード・CDレンタル店舗数をグラフ化し精査する記事を調べる機会があった。今件につき、日本レコード協会にて最新データが【CDレンタル店調査 2011年度】として掲載されているのが確認できた。今回はこのデータを基に、2011年度(2011年6月末調査(原則))におけるCDレンタル店の動向をグラフ化・記事データの更新を行うことにした。

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同調査は店舗規模・業態を勘案したサンプル調査方式で、931店を訪店調査した結果によるもの(全店舗数は2810店舗)。それによれば2011年におけるCDレンタル店舗の特徴として、

・店舗数減少傾向継続
・大型化はストップ
・アルバムCD増加

などの傾向が確認できる。

店舗数縮小・店舗規模拡大化の動き、鎮静化
まずは店舗数の動向だが、これは昨年までの記事データに、今回確認できた最新版【CDレンタル店調査 2011年度】のものを反映させている。さらに別途調べたところ、【「日本のレコード産業2012」】では2011年12月末時点のデータが掲載されており、直近値はこちらを利用する。

↑ レコード・CDレンタル店数の推移(各年年末)
↑ レコード・CDレンタル店数の推移(各年年末、店舗数)

ゆるやかなカーブを見せてはいるものの、減少の傾向を続けていることに違いは無い。ここ数年は減少率が落ち着きを見せているが、せいぜい「減少に歯止めがかかった、かも」という程度。

そして店舗数の縮小が「単純な縮小」ではなく、一側面に過ぎないことが理解できるのが次のグラフ。

↑ CDレンタル店のコーナー別店舗面積(1店舗平均、平方メートル、コーナー別)※コーナーの重複計算のためか一部の年では全項目を足すと全体数以上になる
↑ CDレンタル店のコーナー別店舗面積(1店舗平均、平方メートル、コーナー別)※コーナーの重複計算のためか一部の年データでは全項目を足すと全体数以上になる

データが確認できる1994年以降、「その他」の売り場も含めた平均店舗面積は年々拡大を続け、単純に「店舗数の縮小」では無く「多様化・兼業化の促進」と「規模の拡大」(あるいは小規模店舗の統廃合、自然淘汰)が行われていたのが分かる。

そして2009年度以降は店舗面積の均一的な増加傾向に歯止めがかかり、ここ数年はもみ合いの状況にある。直上グラフの店舗数推移も(数字の増減における方向性は逆だが)同様の動きを見せていることから、「規模の拡大・店舗数の減少」という変化に一段落ついた雰囲気が感じられる。

1店舗あたりの在庫数はやや増加
レンタル用CDの在庫だが、シングルの減少・アルバムの増加という傾向に変わりは無い。ただし総数増加率は微々たるもの。店舗数減少率もブレーキがかかっているので、1店舗あたりの平均在庫数の増加もゆるやかなものとなりつつある。

↑ CD総在庫数(千枚)
↑ CD総在庫数(千枚)

↑ 1店舗平均在庫数
↑ 1店舗平均在庫数

各店舗側は在庫を増やし、多種多様なニーズに対応すべく努力しているように見える。

また、2002年-2003年以降はシングルCDそのものの売上急減(≒需要減退)に伴い、在庫をシングルからアルバムにスライドしている。いまや在庫の大部分(2011年では93.5%)をアルバムCDが担っている状態。

兼業傾向は……?
昨年の記事ならここで「CDレンタルショップの兼業状況」に解説が移るのだが、「CDレンタル店調査 2011年度」では関連するデータの開示は無く、文面で「CDセルコーナーは縮小し、書籍レンタルやゲーム、古着売場等へ他業種への移行が進んでいる」と説明されているだけ。

↑ CDレンタルショップの兼業状況
↑ CDレンタルショップの兼業状況(2010年分までのもの、再録)

2010年時点で指摘した「CDレンタルだけでは経営を支え辛く、兼業種類の多様化、トレンドに合わせた類似業種の追加で、少しでも利益を確保しようとする動き」が継続していることは確か。今回2011年分のレポートでは前回見受けられなかった「古着売場」という文言があることから、さらに多様化が進んでいるのが推測できる。それだけに、具体的な動きが確認できないのは残念な話。



レンタルCDショップが、商品のオンライン販売や、楽曲そのもののデジタル販売の普及化の中で『大型化・多様化』によって最適化を図ろうとしている様子に大きな違いは無い。店舗数の減少が続いていることを考えると、これに『自然淘汰』も加わるのだろう。この流れは【書店数とその坪数推移をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】【本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】でも指摘しているような、書店業界の動きと変わらない。

書籍もCDも、そしてゲームですらも、他人の創造した文化的作品を楽しむ商品との観点では何ら変わるところはない。インフラとしてのインターネットとデジタル系の商品が普及しつつある今、これらの商材(書籍・CD・ゲーム、そしてDVD)の物理的店舗が生き残るには、「文化メディア会館」をイメージさせる大型・総合店舗の構築を目指すか、本当の意味での専門特化店(例えば各分野のコンシェルジュ的な存在の店員がいるような)化するのが一つの方策といえる。だからこそ、書店・本屋とCDなどの音楽系メディアの店舗が融合しつつあると考えれば、昨今の動向も納得がいく。

モバイル端末の普及率がさらに高まり、デジタル機器に慣れ親しんだ世代(デジタルネイティブ)が歳を重ねていくにつれ、CDそのものやCDレンタルのニーズはますます減少していく(【じりじり枚数が減る中で、唯一増えるアルバムレンタル…CDの購入・レンタル性向をグラフ化してみる(全体平均枚数編)】にもあるがレンタル「アルバム」CDの利用性向は増加している。しかし多分にデジタル化の材料として用いられている可能性が高く、CDの需要減退を加速化させているに過ぎない)。リアルからデジタルへの移行は完全に為されることは無いが、比率適正化への動きはまだしばらく継続することは間違いない。

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