ギリシャが90%超えで再び登場、関係が深いキプロスも上位入り(国債デフォルト確率動向:2012年4月)

2012/04/15 12:00

経済動向を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つCPDを元に、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月から1か月単位で確認している。今回は2012年4月分として、15日時点の数字についてグラフ化を試みることにした。

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国公債のデフォルト確率を表すCPD(5年以内のデフォルト可能性)そのものの細かい定義、データの取得場所、そして各種概念は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で解説済み。そちらを参照してほしい。

今件のグラフは日本時間で2012年4月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。今回は先月分と比べ、(先月同様)大きな違いが確認された。債権(債券)動向が激しく動いているようすがうかがえる。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年4月15日時点)

先月「デフォルト扱いされて『確率』の上で100%となり掲載対象外になった」「CAC(ギリシャ債務交換において発動された集団行動条項)でランキングのはるか下までCPD値が減少した」のいずれかに該当するかは不明だが、ともあれ上位10位からきれいさっぱり消えていたギリシャが、何事も無かったかのように復活している(ちなみに2か月前のギリシャCPD値は86.90%)。

「ギリシャは債務の整理統合再構築が成された後、状況次第では再び顔を見せることもあるだろう」とは先月の記事での言い回しだが、CPD市場では「CAC周りでハードルを超えていても、ギリシャのCDSリスクは高いまま」という認識と考えられる。

ポルトガルは先月比でやや減少(=リスク低減)しているものの、他の常連国、例えばアルゼンチン、パキスタン、ウクライナ、スペインなどは軒並み値を上げている(=リスク拡大)。ギリシャの問題で「越えたハードルの先に山ほどのハードルがあることに気が付き始め」、金融市場全体が非常にナーバスになっている現れといえる。昨今のリスク拡大懸念のトリガーは、ギリシャの問題に加え、スペインの債券周りの懸念拡大の露呈によるところが大きい。

そして債券でも低リスク・低リターンを求める動きが活性化しており、同じヨーロッパでも比較的リスクが低いと評価されるドイツの債券は、利回りを落とす傾向にある(あまりにも利回りが低く魅力が無いため、需要が弱まるという事態まで起きている。【ドイツ国債10年 (GDBR10) 指数概要(ブルームバーグ)】も参考の事)。

これまで見受けることが無かったキプロスが突然上位に顔を見せているが、これは西欧諸国の国債リスク指標「マークイットiTraxx SovX西欧指数」にキプロス債CDSが加わったことによるもの(【ギリシャ債CDS決済:売り手負担は25億ドルに、入札最終結果(ブルームバーグ)】)。この他にもアメリカ合衆国内のイリノイ州の公債CPDが上位10位に収まるなど、債券リスクも大きなうねりを見せていることがつかみとれる結果となっている。各国首脳や金融関係者は事態打開のため、逐次各種手立てを講じてはいるものの、それぞれの国内事情や解決への道筋への理念・方向性の違い、「解決の過程で少しでも自国に有利な」「自国の損失を少なくするような」思惑の対立があり、迷走を続けている感は否めない。

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2011年第4四半期リスクレポート(CMA Global Sovereign Debt Credit Risk Report、PDF)】で確認できる。それによると、CPDは11.2%・格付けはaa-で順位は20位。2011年第3四半期の値がCPD値11.3%・格付けaa-・順位18位なので、状況は改善、世界各国との相対的なリスクは増加している。少々妙な結果だが、世界のリスク改善の流れに日本が乗り遅れていると考えれば、この動きにも納得はできる。

先月のギリシャ問題の進展も、結局付け焼き刃的な雰囲気は否めない。炭にくすぶる火種が、一見消えたように見えても、実はくすぶり続けていることが多いのとよく似ている。欧州各国の国内情勢を見ても、例えば【スペイン若年層の失業率50%を超える…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2012年2月分)】にある通り、雇用市場は危機的な状況が続いている。債券リスクに絡むCPDの値は、各国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つであるだけに、今後も注意深く監視を続けて行きたいところだ。


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