「時事問題」で毎日読書をする人は2人に1人…米の目的別読書性向

2012/04/15 06:50

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読書アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年4月4日、電子書籍を中心に、アメリカの読書性向に関する調査報告書【The Rise of E-Reading】を発表した。モバイル端末、特に電子書籍リーダーの登場・普及で大きな変化をとげている、アメリカの読書の現状をかいまみられる貴重なデータが、数多く盛り込まれている。今回はその中から「目的別読書性向」にチェックを入れることにする。いわば以前【テクノロジーは読書のアプローチに…デジタル機器と米の読書性向との関係】で取り上げた全体像の詳細版である。


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今調査は16歳以上のアメリカ合衆国国内に住む人を対象とし、2011年11月16日から12月21日にかけて、RDD方式で抽出された電話番号に対し、電話による音声インタビュー形式で英語及びスペイン語で行われたもので、有効回答数は2986人。対象電話は固定電話が1526人、携帯電話が1460人(そのうち固定電話非保有者は677人)。国勢調査結果に基づくウェイトバックが行われている。また今調査全体のうち一部項目では同様の調査スタイルながらも「18歳以上」「2012年1月20日から2月19日」「有効回答数は2253人」による(より現在に近い)取得データを用いたものもある。こちらを用いている場合は逐次その旨言及する。

なお今調査では特記無き限り、書籍の購読以外に「電子書籍を読む」ことも「読書」と見なしている(今件では「新聞」を読むことも含めている)。日本では一部で「電子書籍を読むのは読書とは呼ばない」とする意見もあり、今件データの確認時には注意が必要である。

書籍や雑誌を読む動機としては多種多様なものがあるが、今件では「娯楽として」「時事問題(を確認、追随するため)」「個人的趣向(の情報補完など)」「仕事や学業(で使うため)」の4通りに大別。それぞれの事由別に、「それを理由として読書をどの程度で行うか」を尋ね、集計したのが次のグラフ。以前の記事での回答率は青系統部分、つまり「頻度はともあれ、それを目的に読書をする」と回答した人の合計である。

↑ 事由別読書性向(米、2011年、16歳以上)(※紙媒体・電子書籍双方)
↑ 事由別読書性向(米、2011年、16歳以上)(※紙媒体・電子書籍双方)

調査母体の半分が「時事問題のためにほぼ毎日読書をする」と答えている。多分に日々投函される新聞も含めての結果と考えれば、十分納得の行く結果といえる。一方で「雑誌や書籍はともかく、新聞を読むのは「読書」には該当しないのでは」との意見もあるだろうが、原文では「Read」という単語が用いられており、これは書籍・新聞どちらを読む場合でも使われるので、新聞も含まれると考えて問題は無い(書籍に限定した狭義の「読書」では別途対象物として「book(書籍)」と記述されている)。

頻度の上では「時事問題」の方が上だが、読者率そのものは「娯楽として」の方が上。また、娯楽性の高さでは類似項目といえる「個人的趣向」と合わせ「読者率は高いが頻度は低い」という共通項が見られる。次のグラフは「読書をする人のうち『毎日読んでいる人』」の割合。

↑ 事由別読書性向(米、2011年、16歳以上)(頻度を問わず「読んでいる」人の合計に占める、「毎日読んでいる」人の割合)(※紙媒体・電子書籍双方)
↑ 事由別読書性向(米、2011年、16歳以上)(頻度を問わず「読んでいる」人の合計に占める、「毎日読んでいる」人の割合)(※紙媒体・電子書籍双方)

娯楽で読書をする人は、その読書に対してさほど切羽詰まることが無く、頻度もさほど高くない。一方で仕事や時事問題など、真面目に、あるいは半ば必要に迫られて読書をする人はその必要が生じるたびに読書をする場合が多く、必然的に頻度が高くなる。これは先の記事【テクノロジーは読書のアプローチに…デジタル機器と米の読書性向との関係】で触れた「自らの意思が強い事由では、デジタル機器の有る無しで、読書性向の差が大きく出ている」と連動性があると見てよいかもしれない。

つまり「必要性が高い『読書』なので、便利なツール(デジタル機器)を使えれば、ありがたみが増すため、読書性向が強くなる」というわけだ。



レポートには詳細は一部しか記載されていないものの(数値を明記した原文データ版にも無い)、個々の事由別における各種階層別の概要にも触れられている。それによれば高年収・高学歴ほど読書性向が強い傾向があるとの事。

先の記事で「デジタル機器を所有・利用している人の方が読書性向が強い」ことは確認されているので、「高年収・高学歴でデジタルガジェット持ちが、バリバリの読者っぽい」というイメージが出来上がる。「いかにも」という感じではあるが、あながち間違っていないというのも興味深い話ではある。


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