テクノロジーは読書のアプローチに…デジタル機器と米の読書性向との関係

2012/04/13 12:10

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 Nookアメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年4月4日、電子書籍を中心に、アメリカの読書性向に関する調査報告書【The Rise of E-Reading】を発表した。モバイル端末、特に電子書籍リーダーの登場・普及で大きな変化をとげている、アメリカの読書の現状をかいまみられる貴重なデータが、数多く盛り込まれている。今回はその中から「デジタル技術と読書性向の関係」の部分にチェックを入れることにする。


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今調査は16歳以上のアメリカ合衆国国内に住む人を対象とし、2011年11月16日から12月21日にかけて、RDD方式で抽出された電話番号に対し、電話による音声インタビュー形式で英語及びスペイン語で行われたもので、有効回答数は2986人。対象電話は固定電話が1526人、携帯電話が1460人(そのうち固定電話非保有者は677人)。国勢調査結果に基づくウェイトバックが行われている。また今調査全体のうち一部項目では同様の調査スタイルながらも「18歳以上」「2012年1月20日から2月19日」「有効回答数は2253人」による(より現在に近い)取得データを用いたものもある。こちらを用いている場合は逐次その旨言及する。

なお今調査では特記無き限り、書籍の購読以外に「電子書籍を読む」ことも「読書」と見なしている。日本では一部で「電子書籍を読むのは読書とは呼ばない」とする意見もあり、今件データの確認時には注意が必要である。

さて一般的な読書の習慣として4つの事由を挙げ、それぞれの場合で読書をするか否かを尋ねた上で、「時折」以上、つまり頻度は別にしても読書をすると答えた人の割合をまとめたのが次のグラフ。今件に該当しない人は、その事由では読書をすることがない、あるいは条件そのものが当てはまらない(例えば「学業・仕事のため」ならば学生では無く失職中など)ことを意味する。

↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由別)
↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由別)

やはり楽しみとして読書をする人が多く、全体の8割。次いで「この本が流行っている」「昨今の社会問題でこの本が詳しい説明をしている」など時事問題と関連して読む人が78%。仕事や学業のために読む人も56%ほどいる。

これをデジタル技術機器、具体的には「インターネット」「携帯電話」「タブレット機」「電子書籍リーダー」の4つについて「使っている・持っている」か否かで回答者を区分し、その上で各項目の「読書をしているか」率を計算したのが次のグラフ。

↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・インターネット利用の是非別)
↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・インターネット利用の是非別)

↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・携帯電話利用の是非別)
↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・携帯電話利用の是非別)

↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・タブレット機の有無別)
↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・タブレット機の有無別)

↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・電子書籍リーダーの有無別)
↑ 「しばしば」「時折」読書をする人(各事由・電子書籍リーダーの有無別)

すべての場合において、デジタル機器を有している・使っている人の方が、そうでない人よりも読書性向が強い傾向を示している。レポートでは「テクノロジーが読書性向を押し上げる」とだけ説明しているが、特に「インターネット」「携帯電話」において、大きな差異が出ているのが分かる。また、「娯楽」「時事問題」という「何となく」的な要素が強い事由より、「個人的趣向」「仕事や学業」のような自らの意思が強い事由ほど、技術の有る無しによる読書性向の差が大きく出ている(例えば「インターネット」の「仕事や学業」は、有る無しで3倍近い差が開いている。「個人的趣向」でも2倍)。

以前【タブレット機は魔法のツール…米タブレット機利用者のニュース購読上の変化】で、タブレット機の導入によりニュース取得の願望が底上げされ、ニュースを読む時間が増えたとの結果を解説した。

↑ タブレット機の利用で生じたニュース周りの変化(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率(全タブレット保有者の77%))
↑ タブレット機の利用で生じたニュース周りの変化(対タブレット機で週一以上頻度でニュースを読む人比率(全タブレット保有者の77%)) (再録)

インターネットにしても携帯電話、そしてタブレット機や電子書籍リーダーにしても、割り切った見方をすれば「便利な道具・ツール」でしかない。便利なツールが使えるのなら、そのツールを使って出来ること、したいことへのモチベーションが高まるのも当然といえよう。


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