全体ではわずかにプラスを確保、雑誌はマイナス6.6%と軟調(経産省広告売上推移:2012年4月発表分)

2012/04/13 06:45

経済産業省は2012年4月12日、特定サービス産業動態統計調査において、2012年2月分の速報データを発表した。それによると、2012年2月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス0.9%と増加していることが明らかになった。主要項目別では「雑誌」がマイナス6.6%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元や選択項目の詳細などは記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2012年2月分データ(公開は2012年4月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている(今回は過去1年分において、やや大きな修正があった)。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年1-2012年2月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2012年1月-2012年2月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にした。今回月では「インターネット」はプラスだが、それ以外のいわゆる「4マス」はすべて前年同月比でマイナス。ただし金額で大きな「テレビ」のマイナス幅が小さいこと、「インターネット」や今件グラフでは反映させていない項目(例えば「交通広告」)も奮闘しており、「売上高合計」ではかろうじてプラスを示している。このパターンは先月と変わらず。また「インターネット」の上げ幅が小さいとの感想を持つ人もいるかもしれないが、これは1年前の「2011年2月における」前年同月比(つまり2010年2月との比較)がプラス29.7%と大きな値だったため、伸び率が圧縮された感はある。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚える部分もあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年2月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年2月、億円)

金額面で見ると昨今では何度か「新聞」を抜き、主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを得る機会を持つようになった「インターネット広告」(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(月次・-2011年12月版)】)。今月発表分は「インターネット広告」が「新聞」に競り勝つ形となった。「追いつ追われつを繰り返しながら」とは最近両者の金額動向を評する際に使っている言い回しだが、前回月では「新聞」の金額が上だったことを思い返すと、まさにその言葉通りの流れ。

次に、公開されているデータの中期的推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年2月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年2月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災による影響で2011年3月分から、グラフは大きなうねり・変移を起こしている。今回月は「インターネット広告」が戻しを見せているが、それ以外の項目では前年同月比マイナスを起こしており、震災前の動向に戻ったような雰囲気はある。

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け(紙媒体のすべてが電子媒体に移行する・できるわけではない。そして紙媒体にもメリットは多い)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の正当評価は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行する。日本の場合は諸外国と事情が異なり、「既得権益を悪と決めつけ、それを打破すべし」と語る報道メディア自身が大きな既得権益を握り、それを守り通そうとする動きが各所で見られ、結果として各メディアの「立ち位置の正常化」「世界の流れに追随する歩み」は遅延しているのが現状。

一方で東日本大地震・震災とそれに伴う各種震災・人災、そしてその後の消費者の中に芽生えた心理変化は、広告出稿側のコスト意識の変化(多くは費用対効果の厳粛・厳密化)、地震報道などで一部ながらも露呈した各媒体の「真の価値」への、視聴者・広告主による意識の移り変わりのきっかけとなり、広告業界ですらも一部軌道修正の上で、全体における変化の「時計の針」を押し進めている。この「動き」は目立ったものではないが、少しずつ、確実に人々のライフスタイル、そして広告業界にも影響を及ぼしていくだろう。

なお【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2012年3月分)】でも触れているが、次回掲載分(2012年3月分)からは震災直後のイレギュラー的な下げと比較した値となり、必然的に大きなプラスを見せることが予想される。個々の事例については記事展開のたびに触れ、精査をしていく予定。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡に傾注し、メディアと広告の状況変化の移り変わりのチェックをお勧めしたい。単月ではつかみとれないことが、数か月、数年の流れを見て行くうちに、頭にイメージされるはずだ。

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