BostonDynamicsの人型ロボット「PETMAN」、階段を登るシーンが公開

2012/04/12 12:10

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PETMAN階段を登る先日、軍事用の技術の収斂(しゅうれん)と開発を幅広い分野で行うDARPA(国防高等研究計画局:Defense Advanced Research Projects Agency)の支援を受け、【BostonDynamics】が開発している人型ロボット「PETMAN」についてお伝えした。その「PETMAN」の開発状況に関して2012年4月11日に新たな映像が公開され、階段を難なく登る機能が実装されたことが明らかになった(【PETMANの解説ページ】)。


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↑今回公開されたPETMANの映像。
↑ 今回公開されたPETMANの映像。

今回公開された「PETMAN」はBostonDynamicsで提示されているプロジェクト名「PETMAN」と同じ。公式ページの解説によると次のような仕様となっている(最終目的としての実装予定装備)。

↑ 多種多様な挙動が可能
↑ 多種多様な挙動が可能

↑ 今はまだ機械がむき出しの状態だが、最終的にはこのようなカバーがかぶせられるようだ
↑ 今はまだ機械がむき出しの状態だが、最終的にはこのようなカバーがかぶせられるようだ

↑ 走行実験中の想像図
↑ 走行実験中の想像図

・化学保護用装備(衣服)をテストするために作成された擬人化ロボット。
・人間の挙動を極力シミュレートし、着衣の動きなどを調べるのが目的。
・必要に応じて人間と同じような温度(体温)、湿度、発汗などのコントロールも行い、人間の生理学的な面でのシミュレーション用機材として用いられる。
・兵士の動きを再現するため、自然でかつ機敏な運動が求められている。また、標準的な人間のサイズ、造型をしている。
(動画コメントではスクワットや歩行、簡単な運動が出来ると言及)
・デザインに13か月、実際の製作に17か月の月日を要している。そして現在も調整は続いており、2011年中には完成予定。
・MRI(Midwest Research Institute)やMeasurement Technologies Northwest、SCC(Smith Carter CUH2A)、HHI Corporationが協力している

前回紹介した映像では複数のヒモ(ケーブル)や配線で補助された状態で、歩行や腕立て伏せのシーンが描写されていた。一方で仕様内には「人間の挙動を極力シミュレート」「自然でかつ機敏な運動」とあり、人のさまざまな動きを再現することで着衣の機能性を調べることが求められており、今後さらなる「人間らしい挙動」の実装が予想されていた。今回の「階段登り」も、着衣の変化を調べるには欠かせない動きの一つに他ならない。

↑ 右足、左足と交互にステップを登っていく
↑ 右足、左足と交互にステップを登っていく

映像では階段を登る時の足の動きが繰り返し、実速やスローモーションで再生されているが、膝の部分の折り曲げ具合、足の裏と階段との接地面のバランス、交互に足を上げて登っていく際の「もう一方側の」足の動きなど、細かい部分で人間の動作を再現しているのが分かる。これなら下半身部分に装着した特殊な衣服が、階段を登った際にどのような伸び縮みをして、着ている人に影響を及ぼし得るのかも把握しやすくなるというものだ。

↑ 登る足、留まる足双方とも、足のつま先部分でのみステップにかかっている
↑ 登る足、留まる足双方とも、足のつま先部分でのみステップにかかっている


↑ 足の屈折具合なども合わせ、日常生活では意識もせずに繰り返している挙動が、実に巧みに再現されているのが分かる
↑ 足の屈折具合なども合わせ、日常生活では意識もせずに繰り返している挙動が、実に巧みに再現されているのが分かる

今回の映像で気になったのは、階段が用意してあるにも関わらず「階段を降りる」シーンが公開されなかったこと。「登る」と「降りる」はまた別の仕組みとなり、映像の逆再生のように単純なものではない(むしろ降りる挙動を再現する方が難しいかもしれない)。恐らくはその部分はまだ公開できる段階では無いのだろう。

最終的な目標(生活行動における着衣の動向・耐久性などを検証する)から察するに、今後「階段を降りる」はもちろんのこと、「椅子に座る、椅子から立ち上がる」「しゃがむ、あるいは前かがみになってモノを拾う」「モノをかついで他の場所に移動させる」など、日常生活で起きうる体の動きを再現する挙動が出来るように、改良が施されていくものと思われる。

さらにDARPA側のコメント(投稿動画の説明文)によれば、今回公開された技術もまた、DARPAが目指している目標の一つ「ロボット工学などの専門知識を持たない人でも操作できる、災害現場で活躍可能な人型ロボット」に貢献するものであり、歓迎すべき成果とコメントしている。

どこまでPETMAN、さらにそこから生み出される各種技術の開発状況が公開されるかは未知数だが、今後も注意深く見守りたいところだ。


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