「ボウズ」でも 何故かうれしい 釣り広告

2012/04/11 06:55

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笑顔の釣り人釣り用語の一つに「坊主(ボウズ)」というものがある。本来釣ろうとしていた対象の魚を一尾も釣れない状態を指すもので、お坊さん・坊主頭には髪の毛が一本も生えていないことを由来としているとの説がある(同様の理由で「おでこ」とも呼ばれることも)。対象以外の魚、さらには長靴をはじめとしたゴミを釣っても「ボウズ」扱いで、本来釣り主本人は落ち込みたくなるものだが、なぜか「ボウズ」状態の釣り人がニコニコと笑顔で満ちあふれるシーンを描いた広告がある。それが今回紹介するSurfrider Foundation: Boot, Couch, Bottle, Shoe(I Believe in Advertising)である。


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↑ 長靴を釣ってボウズ状態。でも二人はニッコリ
↑ 長靴を釣ってボウズ状態。でも二人はニッコリ

これは波乗りをする人達による「海を大切にし、次の世代に残すべく環境保全に励もう」という主旨で設立された【サーフライダー財団(Surfrider Foundation)】のポスター。中央に描かれた釣りをしていたと思われる中堅夫婦が抱えているのは、大きな、古ぼけた長靴。恐らくは長い間海底に眠っていたのだろう、コケなどが各所に見受けられる。いわゆる「ボウズ」状態。

普通の釣りシーンならここで「何だ、魚では無くて長靴じゃないか、ゴミだゴミ」とばかりにがっかりしてしまう。ところがどこから見ても二人は満面の笑顔を浮かべている。なぜ「ボウズ」でそこまで嬉しい顔をしているのか……。

メッセージ部分そして左下を見ると、その理由が分かる。そこに書かれているのは「(ボウズでも)むしろ立派ですよ。(それを釣りあげたことで)海岸を、海をキレイに出来たのですからね。3月22日から25日は海岸美化デーです」とのメッセージ。本来の「魚釣り」という視点では失敗だったが、「海をキレイにする」という大義を果たしたのだから、それはそれで喜ぶべき、誇りにすべきということ。

同財団では同様のコンセプトで、色々な「ボウズでハッピー」なポスターを展開している。



↑ 上から、ソファー・洗剤か何かの容器・サンダルを釣りあげて、はちきれんばかりの喜びを浮かべる釣り人たち
↑ 上から、ソファー・洗剤か何かの容器・サンダルを釣りあげて、はちきれんばかりの喜びを浮かべる釣り人たち

「ポジティブシンキング」「災い転じて福となす」とはやや主旨を異にするが、世の中への貢献は、普段こそ「失敗」「避けるべきもの」と判断されるようなものでも出来る。見過ごしがちな物事の中にも、解釈の仕方、発想の転換をすることで為し得られる「素敵なこと」があるという事実を思い知らしめてくれる。

何よりも釣り人たちの笑顔で、見ている方も嬉しくなってくるのがまた素晴らしい。メッセージ性も兼ね備えた、素敵な広告といえよう。


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